慶應SFC【総合政策】2023年英語:解答解説と大問3全文和訳 / 僕らの日常は作られている

慶應義塾大学総合政策学部の2023年入試の英語について、解答解説と赤本未掲載の大問3の全文和訳を掲載しています。

各段落の要約やプチ解説も入れておりますので、参考までにどうぞ。

総合政策2023合格最低点

2023年の総合政策学部の合格最低点は257~268点。

得点率にすると64.3~67.0%でした。

慶應義塾大学ガイドブック2024 より

大問1:シャチの赤ちゃんが群れに希望を光を灯す

https://www.popsci.com/environment/endangered-orca-baby/
  • 題名:A baby orca sparks a glimmer of hope for an endangered group of whales
  • 著者:ミヨ・マッギン / MIYO MCGINN
  • 語数:650語程度

フリーライターのミヨ・マッギン氏がPopular Scienceに投稿した記事が元ネタ。

サブタイトルに「The survival of southern resident killer whales is inextricably tied to the health of Chinook salmon.」と続きます。訳すると「ミナミシャチの生存は、キングサーモンの健康と切っても切り離せない」的な意味です。

【問題文冒頭】

This summer, a baby killer whale is swimming with a local pod in the Salish Sea (the inland marine waters along Washington state and British Columbia) for the first time since 2011. The newest little whale’s birth into the K-pod, one of three family groups that make up the southern resident killer whales, is cause for celebration in a population that’s been struggling for decades.

それでは、各パラグラフをまとめながら、内容をざっくり把握してみましょう。

大問1:各パラグラフ要約

各パラグラフをざっくりまとめると以下の通りです。

  • 2011年以降、初めてシャチの赤ちゃんが生まれたという喜ばしいニュースがあるが、シャチの出産がうまくいくことはますます稀になってきている。
  • 妊娠した雌シャチの69%が妊娠を満期まで迎えることができておらず、ストレスと栄養不足で、シャチの個体数は2005年の89頭から、現在は74頭まで減ってきている。
  • シャチは様々な脅威にさらされているが、研究者が最も懸念しているのが主食であるキングサーモンの不足である。キングサーモンの減少とともに、シャチの栄養状態も悪くなっている。
  • 絶滅の危機にあるシャチを保護するためには、絶滅の危機にあるキングサーモンを保護しなけれなならない。
  • シャチが妊娠しているニュースを受け、(観光である)ホエールウォッチングの新たな規制が設けられたが、これだけでは不十分である。
  • 食物連鎖の頂点にいるシャチの保護に失敗すると、生態系全体に影響が出てしまい、ひいては人間にも影響を与える。

内容解説

シャチは知っていても、その生態を知ってい人は多くないと思うので、少し解説します。

北太平洋東部には、アラスカレジデント、ノーザンレジデント、サザンレジデントの3つのシャチの集団が存在します。

今回の英文に出てくるのはサザンレジデントで、3つの集団のなかでもっとも規模が小さく、主にブリティッシュ・コロンビア州、ワシントン州、オレゴン州の沖合に生息しています。

今回はアメリカのワシントン州とカナダのブリティッシュ・コロンビア州の間にあるセイリッシュ。

Googleマップ

パラグラフ1に「Kポッド」が登場しますが、これはシャチの母系社会単位を指します。サザンレジデントのシャチにはJポッド、Kポッド、Lポッドと呼ばれる3つのポッドが存在しています。

つまり、今回の話は、北太平洋東部にある3つの集団の1つであるサザンレジデントの、3つの群れの1つであるKポッドで生まれた赤ちゃんシャチ、そこから話が始まります。

大問1:解答(確定)

問題解答
311
323
332
342
352
問題解答
363
372
383
391
402
問題解答
412
421
432
442
454
慶應専門塾GOKOについて

大問2:シャーロック ・ホームズになくてブラウン神父にあるもの

  • 題名:Lessons for Philosophers and Scientists from Sherlock Holmes and Father Brown
  • 著者:チャールズ・フォスター / Charles Foster
  • 語数:600語程度

出典はイギリスの名門オックスフォード大学が運営するサイト「Practical Ethics」から。書いたのは同大学の研究員チャールズ・フォスター。

オックスフォードのライバル校、ケンブリッジ大学で医療法と医療倫理の博士号を取得。獣医外科医の資格も持つ人物で、旅行や哲学、法律などについて書いています。

肩書きとは裏腹に、体当たり系の取材が多く、近著でも動物と同じ生活をしてみたり、原始人類と同じ暮らしに挑戦したりしています。

そんなフォスター氏が、イギリスの名探偵ホームズとブラウン神父の違いを語った2021年の寄稿から出題です。

日本で例えると「金田一耕助と明智小五郎の違い」「金田一少年とコナンの違い」ぐらいな感じでしょうか。

【問題文冒頭】

Arthur Conan Doyle’s estate has issued proceedings, complaining that Enola Holmes, a recently released film about Sherlock Holmes’ sister, portrays the great detective as too emotional.Sherlock Holmes was famously suspicious of emotions. ‘ [L]ove is an emotional thing’, he icily observed, ‘and whatever is emotional is opposed to that true cold reason which I place above all things.

http://blog.practicalethics.ox.ac.uk/2021/01/lessons-for-philosophers-and-scientists-from-sherlock-holmes-and-father-brown/

大問2:解答(確定)

問題解答
463
473
482
491
503
問題解答
513
522
531
541
551
問題解答
563
572
581
592
604
慶應専門塾GOKOについて

大問3:私たちの生活は誰かにデザインされている?

http://www.ellenbard.com/david-cain-raptitude-interview/
  • 題名:Your Lifestyle Has Already Been Designed
  • 著者:デビッド・カイン / David Cain
  • 語数:1350語程度

カナダに住む作家兼起業家、デビッド・カイ氏の文章から出題。

元記事は1,750字程度なので20%ほど削られています。

【問題文冒頭】

I am back in the working world again. I’ve found myself a well-paying gig in the engineering industry, and life finally feels like it’s returning to normal after my nine months of traveling. Because I had been living quite a different lifestyle while I was away, this sudden transition to 9-to-5 existence has exposed something about it that I overlooked before.

出典元というか、本文全体は以下のリンク先より読むことができます。

▶️Your Lifestyle Has Already Been Designed

大問3:各パラグラフ要約

各パラグラフをざっくりまとめると以下の通りです。

  • 旅から戻り仕事に就いてから、お金の使い方が雑になってきたことに気がついた。
  • 収入が確保されることで、ある種の身分を得た気分になり、ちょっとしたお金使いが荒くなってきた。ただしこれは、普通の消費者心理に戻っただけ。
  • 王部では、無駄な出費をするライフスタイルが、大企業によって巧妙に仕組まれている。
  • 企業はマーケティングのために大金を費やし、必要以上のものを買い、不満をお金で解決しようとする文化を作ってきた。
  • 企業がこの文化を維持する究極の手段は、週40時間労働のライフスタイルでさる。この労働条件では、夕方以降や週末に生活を築かなければならない。
  • 8時間労働は大企業にとって非常にメリットがある。それは、8時間でできる仕事量のためではなく、自由時間を少なくすることで、利便性や満足感を求める購買意欲の高い国民を作ることができるからである。
  • 自分の人生に漠然とした不満を抱き、持っていないものを欲しがり続けるように仕組まれた文化が設計されています。西洋経済、特に米国経済は不必要な消費の上に成り立っています。
  • 米国が経済的に「健全」であるためには、国民は不健全であり続けなければなりません。8時間労働の文化は、消費者を不満足な状態に保つために最も効果的な方法なのです。
  • 収入が増えれば、その分、支出が増えていきます。必要なものが増えたのではなく、買えるから買う。大企業は、そんな消費者を作り上げることに成功したのです。
  • あなたが異常な人でない限り、あなたのライフスタイルは既にデザインされています。

大問3:解答(確定)

問題解答
612
623
631
642
652
663
672
683
691
702
問題解答
712
723
731
742
751
761
773
783
791
801
問題解答
812
823
833
843
854
864
874
884
891
901

大問3:全文和訳

本問題(2023年総合政策学部英語入試の大問3)は、著作権の問題で数研出版の赤本に掲載されていないとのことです。

過去問自体は何らかの手段で手に入れることはできると思います。一方、和訳の入手は困難だと思いますので、本記事にて無料公開いたします。

周りに慶應SFCや総合政策学部を目指している人がいたら、ぜひ教えてあげてください。

但し、日本語訳は、本来は何人ものチェックを受けて公開されるものです。そのため、あくまで参考程度でお願いします。

第1段落

【第1段落 英文冒頭】

I am back in the working world again. I’ve found myself a well-paying gig in the engineering industry, and life finally feels like it’s returning to normal after my nine months of traveling.

【語句】

flat whites:コーヒーの飲み方の一つ。エスプレッソを使ったカフェオレ的な感じ。
offhand:思いつきの

【日本語訳例】

さて、私は再び実社会に戻ってきました。エンジニアリング業界で高収入の仕事を見つけ、9ヶ月の旅行からようやく普通の生活に戻った感じです。旅行中はかなり異なる生活を送っていたので、この突然の9時から5時の生活への移行は、以前見落としていた何かを露呈しました。仕事のオファーを受けた瞬間から、お金の使い方が以前と比べてだいぶ無頓着になった気がします。

愚かなことではなく、ただ少し財布を早めに取り出す傾向があるようです。一つ例を挙げると、ニュージーランドの素晴らしいフラットホワイトほど美味しくない高価なコーヒーを再び買ってしまうことがあります。そして、それを晴れたカフェのパティオで味わうこともできません。旅行中は、こうした買い物はそれほど気軽なものではありませんでしたし、より楽しんでいたように思います。

語句にも出てくる、フラットホワイトを上手く説明する方法はないかと考えていましたが、最近では飲み物として普通に販売されているみたいです。

参考までにコカコーラ社から販売されているフラットホワイトを掲載しておきます。

第2段落

【第2段落 英文冒頭】

I’m not talking about big, extravagant purchases. I’m talking about small-scale, casual, promiscuous spending on stuff that doesn’t really add a whole lot to my life.

【語句】

promiscuous:見境のない
hindsight:後知恵
in hindsight:後になって考えてみると
flush:勢いのある(トイレを流す栓を”フラッシュ”バルブという)
flush time:好景気、調子のいい時、勢いのある時

【日本語訳例】

大きな贅沢な買い物の話をしているのではありません。私が言っているのは、ちょっとした規模の、気軽で気ままな支出であり、私の生活にあまり多くのプラスをもたらさないものです。ちなみに、次の給料日は2週間後です。

振り返ってみると、私はいつも仕事がうまく行ってる時、つまり金回りがいい時には喜んでお金を使っていた気がします。収入のないバックパック生活を9ヶ月間送ったことで、この現象について少し意識せざるを得なくなりました。おそらく、十分な給料を得る仕事を再び得たことで、ある種の身分を取り戻したと感じるからなのでしょう。その結果、ある程度の浪費が許されるような気がしてしまうのです。

批判的な考えをまったく持たずに、数十ドル(数枚の20ドル札)をサッと使えるという不思議な力を感じるんです。そして、それがすぐに「戻ってくる」とわかっているときに、ドルの力を行使することは気分がいいものです。

私の行動は決して珍しいものではありません。他のみんなも同じようにやっているようです。実際、私はこの普通の消費者心理に戻ることが、一時的に離れてみて初めてできたのだと思います。

第3段落

【第3段落 英文冒頭】

Here in the West, a lifestyle of unnecessary spending has been deliberately cultivated and nurtured in the public by big business.

【語句】

have a stake in: 〜と利害関係がある、〜に関心を寄せる
nag:うるさく言う

【日本語訳例】

ここ欧米において、大企業が意図的に育て上げ、一般大衆に浸透させた不必要な出費のライフスタイルが広まっています。あらゆる業種の企業が、大衆がお金の使い方に無頓着であることに大きな関心を寄せているのです。彼らはできる限り、大衆の何気ないまたは不要な出費の習慣を助長しようとします。

ドキュメンタリー映画『ザ・コーポレーション』では、あるマーケティング心理学者が売上を伸ばすために用いた手法について語っています。彼女のチームは、子供が親におもちゃを買ってもらうためにどれだけしつこくせがむかについて調査しました。その結果、子供がしつこくせがまなければ、おもちゃの購入が20%から40%減少していたことがわかりました。また、4人に1人がテーマパークを訪れることをやめていたでしょう。彼らはこうした調査を利用して、子供たちに直接商品を売り込み、親にせがんで買ってもらうように促していたのです。

第4段落

【第4段落 英文冒頭】

This marketing campaign alone represents many millions of dollars that were spent because of demand that was completely manufactured.

【語句】

chase away:〜を追い払う

【日本語訳例】

このマーケティング・キャンペーンだけでも、完全にでっち上げられた需要のために、何百万ドルも費やされたことになります。これは、非常に長い間続いてきたことのほんの一例に過ぎません。大企業は、自社製品の良さを熱心に宣伝することで巨万の富を築いたのではなく、必要以上のものを買わせ、不満をお金で紛らわせようとする何億もの人々の文化を作り上げたのです。

私たちがモノを買うのは、自分を元気づけるため、他の人と比べて追いつこうとするため、子供の頃に描いた大人のビジョンを実現しようとするため、自分のステータスを世界にアピールするためなど、多くの心理的な理由がありますが、その製品が本当に役立つかどうかとはほとんど関係ありません。地下室やガレージに、この1年使っていないものがどれだけありますか?

第5段落

【第5段落 英文冒頭】

The ultimate tool for corporations to sustain a culture of this sort is to develop the 40-hour workweek as the normal lifestyle.

【語句】

this sort:この種の、この類の

【日本語訳例】

企業がこのような文化を維持するための究極の手段は、週40時間労働を一般的なライフスタイルとして確立させることです。この労働条件のもとでは、人々は夕方や週末に生活を築かなければなりません。私たちの自由な時間が非常に限られているため、自然と娯楽や便利なものに多額のお金を使いがちになります。

私は仕事に戻って数日しか経っていませんが、既にウォーキングやエクササイズ、読書、瞑想、そして執筆など、より健全な活動が私の生活から急速に失われつつあることに気づいています。これらの活動に共通する点は、お金はほとんどかからないが時間を要するということです。

第6段落

【第6段落 英文冒頭】

The eight-hour workday developed during the industrial revolution in Britain in the 19th century, as a respite for factory workers who were being exploited with 14- or 16-hour workdays.

【語句】

gratification:満足させること
trigger-happy:やたらと銃を撃ちがたがる
slap:平手打ち

【日本語訳例】

8時間労働制は、19世紀のイギリスの産業革命期に、14時間や16時間の労働で搾取されていた工場労働者の息抜きとして生まれました。技術と方法が進化するにつれて、あらゆる産業の労働者が短時間でより多くの価値を生み出せるようになりました。だから、労働時間が短縮されると思われるかもしれません。

しかし、実際には1日8時間労働は大企業にとってあまりにも利益があります。その理由は、8時間でこなす仕事の量が多いからではなく(平均的なオフィスワーカーが8時間で行う仕事は、実際には3時間の労働にも及びません)、購買意欲の高い一般市民を生み出すからです。

自由な時間が制約されると、人々は便利さや満足感、他の安らぎを買うために多額のお金を支払う傾向にあります。彼らはテレビを観続け、テレビコマーシャルに影響されます。それによって、人々は仕事以外の野心を持ちにくくなるのです。

第7段落

【第7段落 英文冒頭】

We’ve been led into a culture that has been engineered to leave us tired, hungry for indulgence, willing to pay a lot for convenience and entertainment, and most importantly, vaguely dissatisfied with our lives so that we continue wanting things we don’t have.

【語句】

engineered to V:Vするように設計された
fluff:つまらないもの、くだらないもの、綿ぼこり、綿毛

【日本語訳例】

私たちは、疲れ果て、道楽に飢え、便利さや娯楽に多額のお金を払うことを厭わず、そして何よりも重要なことは、自分の生活に漠然とした不満を抱くように仕向けられた文化に導かれてきました。だからこそ、何かがまだ足りないと感じてしまい、買い物を繰り返すのです。

西洋経済、特にアメリカの経済は、満足感、中毒性、不要な出費の上に、非常に計算された方法で構築されてきたのです。私たちは自分を励ますため、ご褒美をあげるため、お祝いするため、問題を解決するため、地位を向上させるため、そして退屈を紛らわすためにお金を使います。もしアメリカ全体が、私たちの生活に本当の価値をもたらさない不必要なモノを買うのをやめたら、どんな変化が起こるか想像できるでしょうか?経済は崩壊し、2度と回復しないでしょう。

第8段落

【第8段落 英文冒頭】

All of America’s well-publicized problems, including obesity, depression, pollution and corruption are what it costs to create and sustain a trillion-dollar economy.

【語句】

end up Ving:結局Vすることになる

【日本語訳例】

肥満、うつ病、公害、汚職など、アメリカのよく知られた問題はすべて、1兆ドル規模の経済を生み出し、維持するために必要なものです。経済が「健康」であるためには、アメリカは不健康であり続けなければなりません。

健康で幸せな人々は、まだ持っていないものをあまり必要だと感じません。つまり、ガラクタをたくさん買わず、娯楽をあまり必要とせず、コマーシャルをたくさん見ることもありません。1日8時間労働の文化は、あらゆる問題に対する答えが「何かを買う」ことであるような、不満足な状態に人々を保つための大企業の最も強力な手段です。

「パーキンソンの法則」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは時間の使い方について言及する際によく使われる言葉で、何かをするために与えられた時間が多ければ多いほど、それをするのにかかる時間も長くなるというものです。20分しか時間がない場合、その20分で驚くほどたくさんのことができます。(直訳:どれだけのことができるかは驚くべきことだ)。しかし、午後いっぱい時間があれば、おそらくもっと時間がかかるでしょう。

第9段落

【第9段落 英文冒頭】

Most of us treat our money this way. The more we make, the more we spend. It’s not that we suddenly need to buy more just because we make more, only that we can, so we do.

【語句】

shun:避ける、遠ざける

【日本語訳例】

ほとんどの人はお金をこのように扱います。稼げば稼ぐほど、使う額も増えていきます。私たちが稼ぐ金額が増えたからといって、急にそれに見合った買い物をする必要はなく、ただ買い物ができるから買ってしまうのです。実際、給料が上がるたびに生活水準(少なくとも支出率)を上げることを避けることはかなり難しいのです。

ホールデン・コールフィールドがよく空想したように、醜いシステムの全てを避けて森の中で生きる必要はないと思います。しかし、大企業が私たちに本当はどうなってほしいかを理解することはできるはずです。彼らは何十年もかけて理想的な消費者を何百万人も作り出すために努力し、その目標を達成しています。

この段落には、原文の以下の箇所が削除されています。

I don’t think it’s necessary to shun the whole ugly system and go live in the woods, <<pretending to be a deaf-mute, >>as Holden Caulfield often fantasized.

上記"pretending to be a deaf-mute, "の部分が削除されていますが、意味としては「聾唖者のフリをしながら ≒ 聞こえないフリをしながら ≒ 耳を塞ぎながら」ぐらいの意味です。

なくても意味は通ることに加え、聾唖者(ろうあしゃ)の表現を避けたかった様子が伺えます。

ちなみに「ホールデン・コールフィールド」とは小説「ライ麦畑でつかまえて」の主人公。若者ゆえのナイーブさと、世の欺瞞に怒りを覚えながら、自分なりの道理を通そうとした人物として知られています。

慶應文学部2018年度入試の冒頭でも登場するなど、たびたび引用されるぐらい有名なキャラクターです。

【慶應文学部2018年度 英語入試問題 冒頭】

Near the end of .J D. Salinger's The Catcher in the Rye (1951), the novel's hero Holden Caulfield buys his sister Phoebe a ticket to the carousel in the park and watches her ride it.

ざっくり訳:小説の主人公のホールデン・コールフィールドは、妹にメリーゴーランドのチケットを買い、彼女が乗っている様子を眺めている。

どれくらい有名か、無理やり日本文学を例に取ると、

  • 夏目漱石「こころ」のK
  • 太宰治「人間失格」の大庭葉蔵
  • 村上春樹「ノルウェーの森」のワタナベ君

程度には有名で、半ばミーム化(ネタ化)しています。

第10段落

【第10段落 英文冒頭】

Unless you’re a real anomaly, your lifestyle has already been designed.

【語句】

anomaly:特異点、異常、例外
get by:うまく切り抜ける、なんとか生きていく

【日本語訳例】

あなたが特別な例外でない限り、あなたのライフスタイルは既にデザインされているのです。完璧な顧客とは、不満を抱えながらも希望に満ちており、真剣な自己成長にはあまり興味がなく、テレビをよく見る習慣があり、フルタイムで働き、まずまずの収入を得て、自由な時間に贅沢を楽しんで、どうにかこうにかやりくりしている人のことです。

これはあなたのことでしょうか?2週間前の私なら「そんなことはない」と断言したかもしれません。しかし、毎週が今週のようだったら、それは希望的観測かもしれません。

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