慶應SFC環境情報2024英語:解答解説と全文和訳 / 人間は何歳まで生きるか?

2024年2月18日に行われた、慶應義塾大学SFC環境情報学部一般選抜の英語入試問題の解答と長文の全文和訳を紹介しています。

ご参考までどうぞ。

SFC環境情報学部2024年の合格最低点

環境情報学部2024年の入試結果は次表の通りです。

受験科目に関わわらず合格最低点が259点、400点満点のため約65%の得点率で合格でした。

この結果は、概ね例年通りです。

慶應一般選抜 得点状況(2024年度)より

ただし、得点調整は行われているので、実際は65%以上得点していないと合格しない可能性があります。その点ご注意ください。

それでは、各大問の内容と解答をみていきましょう。

大問1:小論文で書き間違いをするのはなぜ?

  • 題名:Why It's So Hard to Catch Your Own Typos
  • 著者:Nick Stockton(2014)
  • 単語数:約700語 (設問含めると約1000語)

著者は、世界200万人の読者を持つAIに関する週刊ニュースレター「The Batch」編集者、Nick Stockton。

...がフリーランサー時代にWIREDに寄稿した記事が元ネタ。

自身のタイプミスを悔しなりながら、脳の構造上避けられない事を書いた文章。

サブタイトルとして"The reason typos get through isn't because we're stupid or careless, it's because what we're doing is actually very smart."(誤字脱字がまかり通るのは、私たちが愚かだからでも、不注意だからでもない)と続きます。

What's Up With That: Why It's So Hard to Catch Your Own Typos | WIRED

The reason typos get through isn't because we're stupid or careless, it's because what we're doing is actually very smart.

【問題文冒頭】

You have finally finished writing your article. You've sweat over your choice of words and agonized about the best way to arrange them to effectively get your point across. You comb for errors, and by the time you publish you are absolutely certain that not a single typo survived. But, the first thing your readers notice isn't your carefully crafted message, it's the misspelled word in the fourth sentence.

大問1:解答

問題解答
313
322
332
341
351
問題解答
363
373
383
393
401
問題解答
414
422
431
441
453

大問1:設問解説

[41] この記事で説明されているようなエラーの例として最も可能性が高いのはどれですか?

  1. データの捏造または改ざん:意図的な不正行為にあたるため、説明されている無意識のミスとは異なる。
  2. 別の著者のテキストの誤解釈:理解の誤りによるものであり、説明されている認知バイアスによるミスとは異なる。
  3. 反証を意図的に除外する: 意図的な行為であり、無意識のミスではない。
  4. 自分の名前を大文字で書くのを忘れる: 本文で説明されている注意欠陥によるミスの一例。

[42] 段落1の "pass" という単語の意味として最も適切なのはどれですか?

  1. 試験の合格:文脈上、履歴書が「選考落ち」になるというネガティブな意味なので反対の意味。
  2. 選択範囲から除外される: 履歴書が選考から外されることを指しており、本文の内容と合致。
  3. 1人から他の人へと受け渡される:特に記述なし
  4. 競争相手を追い抜く:特に記述なし

[43] この文章によると、自分の書いた文章の間違いを見落としやすいのはなぜですか?

  1. 脳はすでにレビューしている文章のイメージを持っているから:本文で説明されている通り、脳は書いた内容のイメージを保持しており、実際の文章との相違に気づきにくくなる。
  2. 脳はテキストを注意深くチェックする能力が十分ではないから:本文では脳の能力不足ではなく、認知バイアスが原因であるとしている。
  3. 私たちは自分自身ではなく、他人の書いたものを読むことに慣れているから::自分の文章に慣れていることが原因、他者との比較は記述なし。
  4. 書いたものを何度も読み直すのに十分な時間を費やさないから: 読み直す時間不足ではなく、脳の働きによる盲点が原因としている。

[44] Stafford氏と彼の協力者による研究は、タッチタイピストに関して何を示しましたか?

  1. 彼らは誤りをする直前に無意識的にタイピング速度を遅らせる:本文の内容と一致
  2. キーボードと画面が隠されていると、より多くのタイプミスをする:本文によると視覚情報は関係ない
  3. 彼らはタイピング中に指の動きを微調整することができる:細かい調整ではなく、速度の変化がポイント
  4. 彼らは時には目的地ではなく慣れ親しんだ場所に向かって車を運転してしまうことがある:タイピストとは別の話題

[45] 段落6のアドバイスと一致する、校正効果を向上させる方法はどれですか?

  1. テキストを何度も読んだと想像する:想像ではなく、実際に見慣れないようにすることが重要・
  2. 難しい単語やフレーズのタッチタイピングを練習する:視覚的な変化がポイントであり、タイピングスキルとは直接関係ない。
  3. ドキュメント内のすべてのテキストの書体を変更する: 新しい書体にすることで慣れをなくし、ミスを見つけやすくなるという点で、本文のアドバイスと一致。
  4. テキストの下書きを確認しながら単語を声に出して読む:本文に記述なし(正しいかもしれないが真偽判定はつかない)

大問1:全文和訳&語彙

大意としては以下の通りです。

【第1段落】

あなたはついに記事の執筆を終えました。 言葉選びに悩み、文章構成に頭を悩ませ、読者にポイントが伝わるよう最善を尽くしました。 誤りを徹底的にチェックし、公開する頃には、ひとつのタイプミスも残っていないと確信します。 しかし、読者が最初に気づくのは、練りに練ったメッセージではなく、4文目のスペルミスなのです。

タイプミスは厄介です。 それは妨害工作であり、あなたの意図を損ない、履歴書が「不採用」の山に積まれる原因となり、うるさい批評家たちにネタを提供します。 腹立たしいことに、たいていは正しく綴れるはずの単語なのに、編集作業のどこかで見落としてしまうのです。 もし私たち自身が最も厳しい批評家であるなら、なぜこのようなわずらわしい小さな欠落を見逃してしまうのでしょうか。

  • comb:念入りにチェックする(名詞だと「櫛」くし)
  • agonized: 苦悶した
  • comb for: 念入りに探す
  • misspelled: 誤字の
  • saboteur: 破壊工作員
  • pedantic: うるさ型、細かいことにこだわる
  • frustratingly: 腹立たしいことに
  • skimmed over: 見落とした
  • annoying: わずらわしい

【第2段落】

タイプミスが通り抜けてしまうのは、私たちが愚かだったり注意散漫だったりするからではなく、実はとても賢いことをしているからだ、とイギリスのシェフィールド大学でタイプミスを研究する心理学者トム・スタッフォード氏は説明します。「文章を書くとき、私たちは意味を伝えようとしています。これは非常に高度な作業です」と彼は述べました。

他の高度な作業と同じように、脳は単純な構成要素 (文字を単語に、単語を文章にするなど) を一般化し、より複雑な作業 (文章を組み合わせて複雑なアイデアにするなど) に集中できるようにします。「私たちは感覚情報を処理し、それを予想されるものと組み合わせて、意味を抽出します」

  • component: 部分
  • generalize: 一般化する
  • sensory information: 感覚情報
  • extract: 抽出する

【第3段落】

他の人の作品を読むとき、このプロセスは少ない脳力でより速く意味を理解するのに役立ちます。 自分の作品を校正するとき、私たちは伝えたい意味を知っています。 期待している意味がそこにあると考えるため、欠けている部分 (または全体) を見落とす方が簡単なのです。 私たちが自分のタイプミスを見逃してしまうのは、画面に表示されているものと頭の中にあるものが競合しているからです。

それは、「the」の文字が入れ替わって「hte」になってしまうような些細なことから、論文の中核となる説明が抜けてしまうような重大なことまでありえます。

  • trivial: 些細な
  • significant: 重大な
  • omisit: 抜け落ちる
  • core explanation: 核心的な説明
  • compete: 競合する

【第4段落】

一般化は、すべての高次脳機能の特徴です。 これは、脳が馴染みのある場所の地図を構築し、その場所の光景、匂い、ルートの感覚を統合する方法に似ています。 このような「メンタルマップ」は、脳を解放して別のことを考えることができるようにします。 時にこれが裏目に出ることがあります。 例えば、バーベキューに行く途中でうっかり職場に行ってしまったりするのは、友人の家への道が普段の通勤路の一部だからです。 脳は本能で動いているため、細部に気づかないことがあるのです。 自分の作品を校正する頃には、脳はもう目的地を知っています。

  • hallmark: 典型, 特徴
  • compile: まとめる
  • instinct: 本能
  • destination: 目的地

【第5段落】

しかし、慣れ親しみが長期的にはミスを見つける能力を鈍らせるとしても、私たちは実際にはミスを犯した瞬間に気づくのがかなり上手なのです。 実際、タッチタイピングができる人 (指を見ずにタイピングできる人) は、タイプミスが画面に表示される前に、自分がミスをしたことに気づきます。 彼らの脳は、考えを文字に変換することに慣れているため、キーを間違えたり文字を入れ替えたりするような小さなミスでも、すぐに知らせてくれます。

スタッフォード氏と彼の同僚は今年初めに発表された研究で、タイピングしている人の画面とキーボードの両方を覆い、タイピング速度をモニタリングしました。 これらの「盲目」のタイピストは、ミスをする直前にタイピング速度を遅くしました。 脳はエラーを感知すると、指に信号を送って速度を落とし、修正するための時間を稼ぎます。

  • handicap: 妨げる
  • subconscious: 潜在意識
  • lag: 遅れ
  • adjust: 調整する

【第6段落】

タイピストなら誰でも知っているように、キーを押すのはあまりにも速く、ミスをしている最中に指を止めることはできません。 しかし、スタッフォード氏によると、これは先祖の脳が槍を投げる際に微調整を行うのを助けたのと同じ精神的メカニズムから進化してきたものであるといいます。

残念なことに、編集プロセスにはこのような本能的なフィードバックは存在しません。 校正をしているときは、脳をだまして初めて読むかのように装わせようとしているのです。 スタッフォード氏は、自分のミスを見つけたいのであれば、自分の作品をできるだけ見慣れないものにするよう勧めています。 フォントや背景色を変更したり、印刷して手で編集したりしてみてください。「一度何かを特定の方法で学習してしまうと、視覚的な形式を変えない限り、細部を見るのは難しいのです」と彼は述べました。

  • divert: 切り替える
  • instinctual: 本能的な
  • feedback: フィードバック
  • proofreading: 校正
  • font: フォント
  • background color: 背景色
  • unfamiliar: 不慣れな
  • visual form: 視覚的な形式

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大問2:人間がいなくなった後の自然

カル・フリン「人間がいなくなった後の自然」より
  • 題名:The World is Becoming Uninsurable, Part 3
  • 著者:Michael Bruce Sterling(1998)/ ミカエル・ブルース・スターリング
  • 出典:https://www.viridiandesign.org/notes/1-25/Note%2000023.txt
  • 単語数:約550語 (設問含めると約850語)

アメリカの代表的SF作家で環境保護主義者、ミカエル・ブルース・スターリング氏の文章から出題。

氏は、1980年代のサイバーパンク運動で中心的役割を果たした人物です。

【問題文冒頭】

The invisible loss in climate change, that terrible loss which cannot show up on the Munich Re books, is the loss of natural areas. Genuine climate change renders moot the 20th century's many struggles to preserve and conserve the wilderness. There can be no true "wilderness" in a Greenhouse Earth. All creatures are under the same gray sky. There can be no refuge, nothing can go untouched. "Nature" is over; there is no sanctity left to defend; all that breathes is breathing unnatural air.

ブルース・スターリング、"The World is Becoming Uninsurable, Part 3"

そのため、出題英文全体にディストピア的な世界観が漂い、文学的な表現も多い文章でした。

Involuntary parkとは何か

SF作家らしく、新しい言葉を使ってきました。それがInvoluntary parkです。

この言葉自体ブルース・スターリングによって考案された新語です。

まだ日本に届いていない概念なので、ここでは「不本意な公園」「強制公園」と便宜上呼称します。

「不本意な公園」は、環境、経済、政治的な理由により「テクノロジーによる利用価値を失った」地域が、放置され、雑草が生い茂り、荒野のような状態に戻った状態を指します。

日本で言えば、政治的な意味では「福島第一原子力発電所の周辺」、単に使われなくなったという意味では「廃墟」がイメージしやすくしっくりくる言葉かもしれません。

それらは20世紀の国立公園と少し似ている。

政府が所有する区域で、しっかり洗脳された森林レンジャーが『我々の自然遺産』を厳しく守っている。例えば、とても緑豊かであり、おそらく野生動物も多い。

しかし、種の構成はもはや自然ではない。主に成長の早い雑草、クズや竹のコスモポリタンジャングルとなっており、海水浸潤に耐えられるように遺伝子操作された種もいるかもしれない。

スクラップにすることができない水没都市は、不自然な藪の中に完全に消えて行くだろう。

ブルース・スターリング、"The World is Becoming Uninsurable, Part 3"

スターリングの当初の構想では、経済崩壊や海面上昇により放棄された場所が「不本意な公園」に該当しました。

しかし現在では、軍事施設、地雷原、汚染により危険とされる地域など、何らかの理由で人間が居住・利用していない土地であればどこでも使われるようになりました。

大問2:解答

問題解答
462
473
483
492
501
問題解答
512
522
532
543
551
問題解答
563
572
584
594
601

大問2:設問解説

[50] cybernetically drafted :サイバーネティックに徴兵される = 身体の一部を機械化された兵士として徴兵される

[56] この記事で示されている現代の「自然」に対する著者の見解を最もよく表しているものはどれですか?

  1. 「自然」は、私たち人間の生活様式を無制限に支えるものではないかもしれない。
  2. 権力者たちはもはや「自然」を利用して利益を上げることはできない。
  3. 「自然」は、人間によって変形された風景を含むようになってしまった。
  4. 「自然」に見えるものは、綿密に計画された景観である。

本文の「自然」は、気候変動、汚染、「Involuntary Parks」のような強制的な介入など、人間の行動によって大きく影響を受け、変化している と描写されています。

選択肢1と2は本文によって完全に裏付けられておらず、選択肢4は主に「Involuntary Parks」の人工的な側面に焦点を当てています。

[57] 段落3の内容に基づくと、「国内ビザ」を導入する目的は何ですか?

  1. 新しい移民の人数を制限するため。
  2. 市民の国内旅行の自由を制限するため。
  3. 経済復興のための観光業を促進するため。
  4. 人口流出を防ぐため。

「国内ビザ」は「スラム街」や「強制送還」 といった概念と並んで言及されており、これは資源の不足や不安定さのために、国内の移動を制御するために使用されることがわかります。

[58] 段落4で著者が「コスモポリタンジャングル」という言葉で表している状況はどのようなものですか?

  1. その地域は政府ではなく国際機関によって管理されている。
  2. 都市生活は、多文化主義を試すための新たな実験場として機能している。
  3. CO2を吸収するために遺伝子組み換え植物が導入されている。
  4. 地元の生物と、異なる場所から導入された新しい生物が共存している。

[59] 「Involuntary Park」の可能な例として考えられるものはどれですか?

  1. シベリアにあるウソリェヒムプロム化学工場。現在は廃墟となっており、有毒廃棄物がすべての動植物の生存を阻害している。
  2. サハラ砂漠のような広大な砂漠にあるオアシス。旅行者がさまざまな国の植物の種を落とし、意図せずにエキゾチックな植生を作り出している。
  3. ロサンゼルスのような巨大都市の一角にある小さな区画。住民たちが自発的に緑地帯の世話をするために集まる場所。
  4. 朝鮮半島の幅約1マイルにわたって南北に走る非武装地帯(DMZ)。在来種以外の生物が発見されている。

「Involuntary Parks」は、政治的または経済的な理由で放棄され、雑草が生い茂るように放置された地域です。選択肢4.のDMZは、活動が制限されており、非在来種が存在するため、この説明に当てはままります。

他の選択肢は、選択肢1.生物が生存していない、選択肢2&3.放置されていない、の理由で基準を完全に満たしていません。

難しい設問です。

[60] この記事の最適なサブタイトルは次のうちどれですか?

  1. 荒野の逆襲
  2. 運命を変えるチャンス
  3. 都市景観はスケープゴートか
  4. 自然を守る、尊厳を守る

人間が放棄や放置した結果について書かれた文章。そのニュアンスを汲んでいるのは1です。

大問2:全文和訳と語彙

大意としては以下の通りです。

【第1段落】

気候変動における目に見えない損失は、自然地域の喪失です。深刻な気候変動は、20世紀の自然保護活動や維持活動の多くの努力を無意味なものにしてしまいます。温室効果ガスで覆われた地球には、本来の意味での「自然」は存在し得ません。すべての生き物は同じ曇った空の下にいます。もはや逃げ場はなく、 untouched(手つかずのままの)ものはありません。「自然」は終わり、守るべき神聖さは残されていません。すべての生き物は不自然な空気を吸っているのです。

  • renders moot::無意味にする、無効にする
  • moot(ムート):議論の余地がある、非現実的な、無意味な
  • wilderness:手つかずの自然、荒野
  • gray sky:汚染された暗い空
  • refuge:避難所、逃げ場
  • sanctity:神聖さ、不可侵性
  • unnatural air:不自然な、汚染された空気

【第2段落】

21世紀には自然が存在しないかもしれませんが、それは野蛮さが存在しないという意味ではありません。むしろ、地球上の広大な地域は、技術的な道具主義にとって価値を失うことになるでしょう。収益源として放棄されたこれらの地域は、定住や開発にはあまりにも不安定です。スラム街になる可能性もありますし、二酸化炭素の吸収源になる可能性もあります。

  • savagery (サヴィジリィ) :野蛮さ
  • technological instrumentalism: 自然を単なる道具や資源として利用する考え方
  • lose their value for technological instrumentalism: 技術的な道具主義における価値を失う
  • abdicated: 見捨てられた、放棄された
  • profit centers: 利益を生み出す場所、経済的に価値のある場所
  • unstable: 安定していない、危険な
  • slums: スラム街、貧困地区
  • carbon-dioxide sumps: 二酸化炭素を吸収する場所

【第3段落】

以下のシナリオを考えてみてください。急速な気候変動に翻弄され、熱帯雨林や国立公園は洪水や火災でひどく損傷します。CO2は恐ろしい脅威であり、どこかへ置き去りに(処理)しなければならない。自然は打ち負かされ、もはやその役割を果たすのに適していません。そのため、人間が介入する必要があります。

独裁的な政府が荒々しく風景を大々的に作り替える様子が想像できます。彼らは、熱狂的な「血と土」のイデオロギー的ニュアンスを持つ二酸化炭素配給国家を作るかもしれません。母国が明らかに危険にさらされているため、国民全体が人民戦争に相当する道徳的行為のためにサイバーネティックに(身体の一部を機械化された兵士として)徴兵されるでしょう。大規模な人口の強制移住、国内ビザ、居住スペースの問題が政治的に当たり前の話題となります。残された荒野と新しく水没した地域は、密猟者や不法滞在者を追う入国管理局によって、神経質にパトロールされ、赤外線とDNA鑑定装置が用いられます。

第3段落が問2で最も難しい文章です。一文一文じっくり精読して、正確に読めるまで復習しましょう!

  • Outflanked by rapid climate change:急激な気候変動に追い込まれる
  • outflanked:翻弄される、迂回される
  • CO2 is a terrifying menace:CO2は恐ろしい脅威
  • Nature is beaten:自然は打ち負かされた、機能不全になった
  • fit for the job: その役割を果たすのに適している
  • harshly authoritarian government: 独裁的な政府
  • carbon-dioxide ration-states:炭素排出量を厳しく管理する国家
  • reshape the landscape wholesale :風景を大々的に作り替える
  • ration-states :配給国家 (資源が限られているため、配給制を敷く国家)
  • zealous(ゼラス):熱狂的な
  • blood-and-soil:血と土のイデオロギー、自民族の血と土地を神聖視する国家主義(ナチスドイツで使われた民族的・国家主義的なイデオロギー)
  • cybernetically drafted :サイバーネティックに徴兵される (身体の一部を機械化された兵士として徴兵される)
  • massive deportations : 大規模な強制移住
  • deportations:強制移住
  • living-space issues: 居住スペース不足の問題
  • poacher(パウチャァ):密猟者
  • infra-red and DNA sniffers: 赤外線カメラとDNA鑑定装置
  • DNA sniffers: DNAスニッファー (DNAを検出する架空の装置)

【第4段落】

このような地域は経済的に利用できないため、政府の命令で意図的に緑化が進められます。これは理にかなっています。CO2を吸収する速度が速いほど、気候変動のスピードを遅らせることができるからです。

したがって、危機に瀕した地域は、新しいタイプの景観、「不本意な公園 (Involuntary Parks)」へと姿を変えます。これらは、森林警備隊によって守られた政府所有地である20世紀の国立公園と少し似ています。例えば、非常に緑豊かであり、おそらく野生動物もたくさんいます。しかし、そこにいる生物の組み合わせはもはや自然ではありません。主に成長の速い雑草、クズやタケなどのメトロポリタンジャングルで、染み出る塩水に対処できる遺伝子操作された種も多いかもしれません。スクラップにすることができない水没都市は、不自然な植生の中に消えていくでしょう。

このアイデアは奇抜ですが、前例がないわけではありません。以下は、不本意な公園の現代的な例です。

・チェルノブイリの放射能の影響を受けた広大でわずかに有害な地域。野生のイノシシや、やや歪な形の野菜や昆虫が生息しているという報告があります。

・トルコ系キプロスとギリシャ系キプロス間のグリーンライン。不法侵入者は射撃されるか逮捕されるため、長年の間にこの地域は再び森林化されました。

・ アメリカ合衆国の非常に古く朽ち果てた鉄道路線。逆説的ではあるが、皮肉なことに、北アメリカに残された最後の、手付かずの草原生態系の一部を含んでいます。

  • financially exploited:経済的に利用される
  • overgrown by government order:政府の命令で意図的に緑化される
  • suck up: 吸い上げる
  • imperiled:危機に瀕した
  • Involuntary Parks:政府の命令で意図的に放置された、不本意な公園
  • cosmopolitan jungle:様々な種類の植物が混在するジャングル
  • seeping saltwater: 浸透する海水、染み出る塩水
  • paradoxically: 皮肉にも、矛盾している
  • decaying railroad lines :非常古びて朽ち果てた鉄道路線
  • untouched prairie ecosystems:手付かずの草原生態系

【第5段落】

Involuntary Parks(不本意な公園)は、手つかずの自然ではなく、「復讐に燃えた」自然の代表であり、 政治的および技術的な崩壊に陥った地域で 自然のプロセス(力)が再び主張しているものです。20世紀には恥ずべき存在だった不本意な公園は、21世紀には地味な必需品となる可能性があります。不本意な公園の世界地図は、予測不可能なリスクのある私たちの世界の新しい地図への興味深く、おそらく啓発的な追加となるでしょう。

  • vengeful nature:復讐的な自然、怒りに満ちた自然
  • somber necessity:重苦しい必要性、不本意な選択、地味な必需品
  • uninsurable world: 保険が適用されない、予測不可能なリスクのある世界

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大問3:100歳越えの超高齢者を調べてみたら、21世紀に130歳が誕生するかもしれない件

  • 題名:Human life span may have no limit, analysis of supercentenarians suggests
  • 著者:Tom Siegfried(2021) / トム・ジーグフリード
  • 単語数:1,300語程度

テーマは、人間の寿命。もっと言えば寿命に上限が存在するかどうか。

人間の寿命に上限があるのか、医学の進歩とともに寿命が延び続ける可能性があるのかについて研究者たちの中でも意見が分かれているようです。その手がかりとして、超高齢者 を研究することで、人間の寿命の可能性について洞察を得ることができるのではないか

といった話でした。

【問題文冒頭】

In 1875, Harper's Weekly declared one Lomer Griffin of Lodi, Ohio, to be, "in all probability," the oldest man in the union. His age, allegedly, was 116. There were doubters. Lomer's own wife, for instance, said he was only 103. And William John Thoms, an English author and demographer who had just written a book on human longevity, expressed skepticism all such centenarian claims. A human's maximum life span was about 100, Thoms asserted. Certainly no claim of an age over 110 had ever been verified.

Human life span may have no limit, analysis of supercentenarians suggests

出典はサイエンス系ライター、トム・ジーグフリード氏の記事から出題。

衝撃なのが、英文冒頭に登場するロマー・グリフィン氏は、筆者トム・ジーグフリード氏の曾曾曾祖父にあたるとのことなのだ。なんというマッチポンプ。

タイトルの"Human life span may have no limit, analysis of supercentenarians suggests"を直訳すると「超高齢者分析から、人間の寿命に限界はないかもしれない」となります。

ハザード関数とは

本文中に出てくる「ハザード関数」とは、ある時点において、特定のイベントが発生する確率を表す関数です。

今回の本文は寿命がテーマなので、ある年齢に達した人があと1年生きられる可能性を示す尺度として登場します。言い換えると、1年以内に死亡する確率が示されています。

具体的には下記図の通りです。

例えば、10歳の子供が11歳になる前に亡くなる確率は非常に低いのに対し、80歳の人が81歳になる前に亡くなる確率は高くなります。

様々な分野で応用されており、その他分野では以下のように使用されています。

  • 医療: 患者の生存率を予測したり、治療効果を評価する。
  • 工学: 機器の故障率を予測したり、製品の信頼性を評価する。
  • 保険: 保険料を算定したり、リスクを評価したりする。
  • 金融: 金融商品の価格を分析したり、投資リスクを評価する。

大問3:解答

問題解答
611
623
632
643
652
663
671
682
693
703
問題解答
712
723
731
742
753
762
772
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問題解答
812
822
831
844
853
861
874
884
891
903

設問86と90は解答速報では解答が割れていましたが、それぞれ1と3で確定です。

大問3:設問和訳と解答根拠解説

[81] ウィリアム・ジョン・トマスは、ハーパーズ・ウィークリー誌が伝えるロマー・グリフィンの長寿について、どのような反応を示すでしょうか?

  1. 慎重に、そのような年齢に達することは可能だと同意するでしょう。
  2. その情報をばかげたものとして全面的に否定するでしょう。
  3. グリフィン氏の生活様式について、即座に調査するよう求めるでしょう。
  4. グリフィン氏の話を自分の研究の裏付け(正当化)と見なすでしょう。

トマスは人間の最大寿命は約100歳と信じており、110歳を超える主張には懐疑的な見解を示していた。

本文的には第1段落後半の以下が解答の根拠

And William John Thoms, an English author and demographer who had just written a book on human longevity, expressed skepticism all such centenarian claims. A human's maximum life span was about 100, Thoms asserted. Certainly no claim of an age over 110 had ever been verified.

そのため2が正解。

  • guardedly: 慎重に
  • wholeheartedly: 心から、全面的に

[82] 1800年代後半、ウィリアム・ジョン・トマスを最も困惑させたのは誰の立場でしょうか?

  1. 人間は110歳まで生きられないと考えていた医師
  2. より健康的な生活習慣が寿命を1世紀以上に延ばすと考えていた医師
  3. 既存のデータは人間の寿命が厳しく制限されていることを示唆していると考えた医師
  4. ハーパーズ・ウィークリー誌のロマー・グリフィンに関する記事の正当性を疑問視した医師

トマスと立場が異なるのは2。

本文的には第2段落の以下の部分が解答の根拠になる

He expressed bewilderment that some medical authorities still believed that a lifetime might exceed nature's rigorously imposed limit.

[83] 筆者はギネス世界記録について言及するのはなぜでしょうか?

  1. 誰かが虚偽の個人情報を提供する可能性があるケースを示唆するため
  2. 世界記録のために収集された情報は常に変化していることを指摘するため
  3. ギネス世界記録は現代版のハーパーズ・ウィークリー誌であると主張するため
  4. 人間の寿命は今後も延び続ける可能性が高いことを示すため

第4段落の冒頭を参考にすると、ギネスに載りたくて年齢を偽る人がいることがわかるので、1が正解。

 It's a question with importance beyond just whether people lie about their age to get recognized by Guinness World Records.

これは単にギネスワールドレコーズに認定されるために年齢を詐称するかどうかという問題を超えた重要性を持っています。

[84] レオ・ベルジルとその共同研究者が人間の寿命の上限を見直した結果、導き出された数字は

  1. 1875年のロマー・グリフィンの推定年齢に近いです。
  2. 最終的にウィリアム・ジョン・トマスの信念を支持します。
  3. 現在の基準から見ると長いが、それほどでもないです。
  4. 前例のない進歩の可能性を示唆しています。

設問に"reconside"とあるので、これに該当する部分を探すと、第4段落後半に"reanalysis"があり言い換え表現だと気づく。

Their own reanalysis of data on extreme lifetimes indicates that any longevity cap would be at least 130 years and possibly exceed 180.

その先を読み進めると、「人間の寿命に上限を設けていない」いかなる個人の寿命をもはるかに超えていることを示唆している」とあるので、4が正解。

And some datasets, the authors report, "put no limit on the human life span." These analyses "suggest that the human life span lies well beyond any individual lifetime yet observed or that could be observed in the absence of major medical advances."

[85] バッフォンの研究に関して、複数の文化の寿命を比較する際に言及されていないライフスタイルの側面は?

  1. 栄養の充足度
  2. 日常的な行動
  3. 国家の法律
  4. 文化的な習慣

第5段落真ん中の、以下が読めれば正解できる問題。言い換え問題。

"It will at once be seen that the duration of life depends neither upon habits, nor customs, nor the quality of food, that nothing can change the fixed laws which regulate the number of our years," he wrote.

「寿命の長さは、習慣、慣習、食物の質に左右されず、我々の寿命を定める不変の法則を変えることはできない」と彼は書いています。

3のnational law(国家の法律)をnatural law(自然の摂理)と見間違えると正解できない。

見間違いダメ絶対。

[86] 本文によると、ウィリアム・ジョン・トマスが研究で遭遇したような混同の例として、どれが最も適切でしょうか?

  1. 出生証明書でジョージ・ジョンソンが誤って弟とされている。
  2. 政府機関がマーガレット・ブラウンの重要な個人記録を紛失してしまう。
  3. メアリー・A・デイビスとされている女性は、実はメアリー・B・デイビスである 。
  4. 出生証明書でウィリアム・ミラーは実際よりも10歳年上とされている。

難問。解答速報でも割れた問題。

先ずは解答の根拠となる、第5段落の最後を丁寧に読んでみる。

 Thoms' own investigation into reports of super long lifetimes found that in every instance mistakes had been made a father confused with a son, for instance, or a birth record identified with the wrong child. And of course, some people simply lied.

トムス自身も超長寿の報告を調査しましたが、父親が息子と勘違いされたり、出生記録が別の子供のものと間違えられたりなど、すべての場合で何らかの間違いが見つかったとしています。もちろん、単に嘘をついた人もいるでしょう。

トムスが超長寿の人を調べたら、全ての記録に間違いが含まれていた。

そのパターンをまとめると、

  • 別人と勘違いされる
  • 出生記録が別人と間違えられる
  • 嘘をつく

このパターン当てはまってるのは選択肢1。

選択肢3は名前の表記が間違っている例だと思われるが、別人と間違われた例にも見える。その意味で良くはない問題。

[87] 著者によると、「ハザード関数」は研究者が何をよりよく理解するのに役立つのでしょうか?

  1. 特定の年齢における特定の種類の死の確率
  2. 70代の米国男性の主な死因
  3. 青少年の生活が比較的安全な理由
  4. 人が次の誕生日を迎える前に亡くなる可能性

第7段落の「ハザード関数」の説明が読めれば解ける問題。

"hazard function," a measure of how likely someone reaching a given age is to live a year longer.

「ハザード(危険)関数」、これは、ある年齢に達した人がさらに1年間生きられる確率を測定する指標です。

[88] 晩年の死亡率の減速を考慮すると、潜在的な寿命の上限を宣言することにおいて、誰のデータが最も役立つでしょうか?

  1. 87歳の男性
  2. 97歳の女性
  3. 57歳の男性
  4. 107歳の女性

第8段落を全体的に丁寧に読む必要がある問題。

8段落の3文目から読んで行くと、

But after age 80 or so, the rate of mortality increase begins to slow down (an effect refetTed to as late life mortality deceleration). Equations that quantify changes in the hazard function show that it levels off at some age between 105 and 110. That means equations derived from lower age groups are unreliable for estimating life span limits; proper analysis requires statistics derived from those aged 105 and up.

ハザード関数と呼ばれる、死亡率の変化を定量化する式によると、この関数は105歳から110歳の間のどこかで一定値に達することが示唆されています。つまり、若い年齢層のデータから導き出された式は、寿命の限界を推定するのに信頼性がないということです。正確な分析を行うためには、105歳以上の高齢者から得られた統計データが必要となります。

ここまで詳細が読めなくても、「若年層のデータは役に立たない、105歳以上が必要」ぐらいまでわかれば、正解はできる問題です。

[89] レオ・ベルジルとその共同研究者が「数学的な真実を日常的な言葉に慎重に翻訳する」必要があると主張しているのは、どのような問題に対処しているのでしょうか?

  1. 理論的な知見を現実世界に適用する際には慎重さが必要である。
  2. 彼らの研究に基づいて、日常の人間の行動を変える必要がある。
  3. 科学的な計算を利用して魅力的なクリックベイトを生成すべきである。
  4. 高齢者に関する主張は通常、厳しく調査する必要がある。

抽象度が高く、短時間で正解を出すのが難しい問題。

しかも、選択肢自体も単語のレベルが高いです。

該当箇所は9段落の最後

 "so careful translation of mathematical truths into everyday language is required."

ここで述べている「数学的な真理日常用語に慎重に翻訳する」を言い換えると、

理論現実に 慎重に当てはめる」等と考えられます。

つまり、数式上や理論的に一見正しいことを実践するときは慎重に、ということです。

この言い換えが脳内でできれば、選択肢1を選ぶことができます。

  • discretion: 思慮深さ、慎重さ、自由裁量
  • scrutinize: 精査する、詳しく調べる
  • entice: 気を引く、誘惑する
  • clickbait: クリックベイト(読者の興味を引いてクリックさせるための誇張されたタイトルや内容)

クリックベイトは「へー」ぐらいでもいいのですが、discretionscrutinizeenticeは慶應志望なら覚えておきましょう。

[90] 著者によると、延長された寿命に関する計算が信頼できるものである場合、

  1. 人々は通常130歳まで生きるようになる。
  2. 超高齢者の数は最終的に安定する。
  3. 「最長寿の人物」の記録は定期的に更新される必要がる。
  4. ロマー・グリフィンの誇張された長寿はさらに調査される必要がある。

解答速報で割れた設問。

第10段落を丁寧に読む必要がありますが、特に以下の部分を精読します。

 Nevertheless, if the math is correct in indicating no true longevity cap, the old-age record could continue to climb to ages now unimaginable. Other researchers have pointed out that, with an increasing number of supercentenarians around, it's conceivable that someone will reach 130 in this century. "But a record much above this will remain highly unlikely," Belzile and colleagues note.

しかしながら、数学的に寿命の上限が存在しないという説が正しければ、現在の想像を超える年齢まで最高齢記録は更新され続ける可能性があります。他の研究者たちは、最高齢者(スーパーセンテナリアン)が増えていることを踏まえ、今世紀中に130歳に到達する人も出てくるかもしれないと指摘しています。「しかし、それ以上の記録は極めて稀なままでしょう」とベルジル氏とその研究者たちは述べています。

選択肢1か3で迷うが、選択肢1は"routinely"が言い過ぎとなり、3が正解になる。

「今世紀中に130歳が登場するだろう」とは言っているが、それが日常になるとは言っていません。

消去法でなければ、本文"the old-age record could continue to climb"の言い換えが選択肢3であると分かる必要があります。

  • continue to climb: 上昇し続ける

大問3:全文和訳と語彙

大意としては以下の通りです。

【第1段落】

1875年、ハーパーズ・ウィークリー誌はオハイオ州ローディ在住のロマー・グリフィン氏を「おそらく」全米最高齢の男性と宣言しました。彼の年齢は116歳と推定されていました。

しかし、懐疑的な声もありました。例えば、グリフィンの妻は彼が103歳しかないと主張しました。また、当時人間の長寿に関する著書を出版したばかりの英国人作家・人口統計学者ウィリアム・ジョン・トムス氏は、100歳を超えるという主張すべてに懐疑的な見解を表明しました。トムス氏は、人間の最大寿命は100歳程度だと主張し、110歳を超えるという主張は検証されたことがないと述べました。

https://geneticliteracyproject.org/2022/04/27/human-life-span-may-have-no-limit-analysis-of-supercentenarians-suggests/
  • Harper's Weekly:19世紀後半から20世紀初頭に発行されていたアメリカ合衆国の政治週刊誌
  • allegedly: 推定によると
  • doubters: 懐疑的な人、懐疑論者
  • demographer: 人口統計学者
  • expressed skepticism: 懐疑的な見解を示す
  • centenarian: 100歳以上の人
  • maximum life span: 最大寿命
  • asserted: 主張する、懐疑論者
  • certainly: 確かに
  • verified: 検証された

【第2段落】

トムス氏は著書の中で、「130歳や140歳ではなく、110歳という年齢に達した人間がいるという証拠は、綿密な調査の結果、全く無価値であることが判明するだろう」と述べています。

何世紀にもわたる専門家の証言(保険会社のデータは言うまでもない)から、100歳が人間の最長寿命であると確立されていると、トムス氏は主張しました。「極めて稀な」例外を除いては、です。彼は、一部の医学者たちが依然として、人間の寿命は自然が厳格に課した限界を超える可能性があると信じていることに困惑していました。

  • attained: 達成する
  • utterly worthless: 全く無価値な
  • testimony: 証言
  • established: 確立する
  • insist: 主張する
  • bewilderment: 困惑
  • authorities: 専門家
  • rigorously imposed limit: 厳格に課された限界

2段落では、19世紀後半における人間の寿命に対するトムス氏の見解を述べています。トムス氏は、100歳を超える長寿は極めて稀であり、110歳を超えるという主張は信用できないと考えていました。現代では、医学の進歩により、100歳を超える人も珍しくなくなりました。トムス氏の主張は、当時の科学的知見に基づいたものである点に注意です。

【第3段落】

しかし、1878年にロマー・グリフィン氏が亡くなった(一部の説によると119歳)今から1世紀半近く経った今でも、科学者たちは、人間最長寿はどのくらいになり得るのか、そもそも限界があるのかどうかについて議論を続けています。

何しろ、現在、検証済みの110歳を超える生存者は十数人以上います(記録されていないだけで、もっと多くの人がその年齢に達している可能性があります)。しかし、120歳を超えたのはたった一人、1997年に122歳で亡くなったフランス人女性ジャンヌ・カルマンだけです。

「人間の寿命の上限、つまり限界が存在する可能性については、激しく議論されています」とレオ・ベルジル氏ら共著者は『Annual Review of Statistics and Its Application』誌に掲載予定の論文で述べています。「人間寿命の限界、もしあるならば、それを理解することに対する持続的で広範な関心があるのです。」

  • validate: 確認する
  • validated: 検証された
  • document: 文書化する
  • upper limit: 上限
  • hard upper limit: 厳格な上限
  • cap: 上限
  • debate: 議論
  • hotly debated: 激しく議論される
  • sustained: 持続的な
  • widespread: 広範な

【第4段落】

これは単にギネスワールドレコーズに認定されるために年齢を詐称するかどうかという問題を超えた重要性を持っています。まず第一に、上限年齢が存在しなければ、社会保障や年金制度の存続可能性に影響を与えるおそれがあります。そして、人間の寿命に絶対的な上限があるのかどうかを解明することは、老化の仕組みを理解するための手掛かりになるだけでなく、寿命を延ばすための研究にも役立つかもしれません。

しかし、最近の研究はまだこの問題を解決しておらず、むしろ競合する主張から生じる論争を生み出している、とカナダのHECモントリオール経済大学で統計学者を務めるベルジル氏とその共同研究者は指摘しています。彼らによると、論争の一部は、統計分析の誤った方法に起因している可能性があるとしています。極端な寿命に関するデータの彼らによる再分析は、寿命の上限は少なくとも130歳以上であり、おそらくは180歳を超える可能性があると示唆しています。

さらに著者らは、一部のデータセットは「人間の寿命に上限を設けていない」と報告しています。これらの分析は、「人間の寿命は、これまで観察された、あるいは重大な医学的進歩がなければ観察され得るであろう、いかなる個人の寿命をもはるかに超えていることを示唆している」のです。

  • viability: 存続性
  • inviolate: 侵すことのできない
  • inviolate maximum: 侵すことのできない上限
  • claim: 主張
  • stem from: 起因する
  • arising from: 生じる
  • competing claims: 競合する主張
  • reanalysis: 再分析
  • longevity cap: 寿命の上限
  • cap: 上限
  • put no limit on: 上限を設けていない
  • lies well beyond: はるかに超えている
  • absence of: 不存在
  • major medical advances: 重大な医学的進歩

【第5段落】

これらの結論は、トムスをはじめとする「自然が寿命に厳しい制限を課している」という過去の主張に反論するものです。トムスは、18世紀フランスの博物学者ジョルジュ・ルイ・ルクレール、ビュフォン伯爵を引用してこの見解を支持しました。ビュフォンは、生活習慣や食生活の違いがあっても、文化によって寿命の制限は大きく変わらないと指摘しています。「寿命の長さは、習慣、慣習、食物の質に左右されず、我々の寿命を定める不変の法則を変えることはできない」と彼は書いています。

トムス自身も超長寿の報告を調査しましたが、父親が息子と勘違いされたり、出生記録が別の子供のものと間違えられたりなど、すべての場合で何らかの間違いが見つかったとしています。もちろん、単に嘘をついた人もいるでしょう。

  • strict limit: 厳格な制限
  • quote: 引用する
  • naturalist: 博物学者
  • despite: にもかかわらず
  • vary: 変化する
  • fixed laws: 不変の法則
  • regulate: 規制する
  • investigation: 調査
  • confused: 混同する
  • birth record: 出生記録
  • identify: 識別する

【第6段落】

今日でも、高品質なデータの不足は、統計学による人間最長寿の推定を妨げています。「とても長寿であることは非常に尊敬されるため、年齢のサバ読みは頻繁に見られます。そのため、最高齢者(スーパーセンテナリアン)のデータは、報告された死亡年齢が正確であることを確認するために、慎重かつ個別的に検証されなければなりません」と、ベルジル氏とその共同研究者は記しています。

幸いなことに、一部のデータベースは、最高齢者に関する検証済みのデータを提供しています。そのようなデータベースの一つである「International Database on Longevity(国際長寿データベース)」には、13ヶ国からのスーパーセンテナリアン(110歳以上まで生きた人)の情報と、10ヶ国からのセミ・スーパーセンテナリアン(105歳に達したが110歳にはならなかった人)の情報が収められています。

  • confound: 混乱させる
  • statistical attempts: 統計学による試み
  • overstatement: 過大申告
  • age overstatement: 年齢のサバ読み
  • supercentenarian: 超高齢者
  • semisupercentenarian: 準超高齢者
  • reported age at death: 報告された死亡年齢
  • validate: 検証する
  • verified data: 検証済みのデータ

【第7段落】

このようなデータセットを分析するには、最大寿命を推定するために、複数の統計学的手法を巧みに用いる必要があります。その点で重要な概念が「死亡率」または「ハザード(危険)関数」と呼ばれるものです。これは、ある年齢に達した人がさらに1年間生きられる確率を測定する指標です。(例えば、70歳のアメリカ人男性は、71歳になる前に死亡する確率が約2%です。)

当然のことながら、死亡の危険性は年齢とともに変化します。例えば、一般的に若い人は、百歳の人よりもはるかに1年間生き続ける可能性が高いのです。統計的手法は、死亡率が年齢とともにどのように変化するかを把握することで、最大到達可能寿命を推定することに応用できます

  • maximum longevity: 最大寿命
  • force of mortality: 死亡率
  • hazard function: ハザード関数
  • reaching a given age: ある年齢に達した人
  • live a year longer: さらに1年間生きられる
  • changes over time: 時間とともに変化する
  • change with age: 年齢とともに変化する

【第8段落】

統計によると、50歳前後から死亡リスクは年々上昇していきます。実際、成人期の大半において、死亡率は指数関数的に上昇します。しかし、80歳前後になると死亡率の上昇速度は鈍化し始めます(この現象は晩年死亡率減速と呼ばれています)。

ハザード関数と呼ばれる、死亡率の変化を定量化する式によると、この関数は105歳から110歳の間のどこかで一定値に達することが示唆されています。つまり、若い年齢層のデータから導き出された式は、寿命の限界を推定するのに信頼性がないということです。正確な分析を行うためには、105歳以上の高齢者から得られた統計データが必要となります。

このような高齢者グループを分析した結果、110歳前後になると、毎年死亡する確率は男女ともにほぼ50パーセント程度に落ち着くことが示唆されています。そして、現時点までのデータは、その後さらに死亡確率が低下する可能性も否定していません。

  • exponentially: 指数関数的に
  • onward: 以降
  • deceleration: 減速
  • late life mortality deceleration: 晩年死亡率減速
  • equation: 方程式
  • level off: 横ばいになる、安定する
  • reliable: 信頼できる
  • roughly: およそ
  • so far: 今までのところ
  • succeeding year: 次の年
  • annual chance of death: 毎年の死亡確率

【第9段落】

データセットの詳細(例えば、どの年齢層が含まれているのか、どの国のデータかが含まれているか)によって、推定される寿命の上限は130歳から180歳の間とされています。しかし、統計によっては、上限が少なくとも130歳はあるものの、それ以上の限界がない場合もあります。数学的に言うと、十分な規模の人口集団においては、最高齢は無限大になる可能性があることを意味します。

これは、不死を意味しているように聞こえますが、現実には誰も聖書のメトシェラのような969歳という年齢記録を破ることはできません。数学的には上限がないとしても、実際には無限に生きられるわけではないのです。

「これまで観察された全ての寿命は有限であり、これからもそうである」とベルジル氏とその共同研究者は述べています。「したがって、数学的な真理を日常用語に慎重に翻訳することが求められます。」

  • imply: 示唆する
  • finite: 有限
  • infinite: 無限大
  • immortality: 不死
  • upper bound: 上限
  • potentially infinite life span: 潜在的に無限の寿命
  • observed lifetime: 観察された寿命
  • Methuselah: メトシェラ (聖書に登場する人物で、969歳まで生きたとされる)

【第10段落】

まず、110歳の人が130歳まで生きる確率は、毎年50%の確率で生きられるとしても、非常に低いです。それは、コインを投げて20回連続で表が出るのとほぼ同じ、100万分の1くらいの確率なのです。

しかしながら、数学的に寿命の上限が存在しないという説が正しければ、現在の想像を超える年齢まで最高齢記録は更新され続ける可能性があります。他の研究者たちは、最高齢者(スーパーセンテナリアン)が増えていることを踏まえ、今世紀中に130歳に到達する人も出てくるかもしれないと指摘しています。「しかし、それ以上の記録は極めて稀なままでしょう」とベルジル氏とその研究者たちは述べています。

  • slim: 少ない
  • odds: 確率
  • equivalent: 同等
  • about one chance in a million: 100万分の1くらいの確率
  • tossing coins: コインを投げること
  • in a row: 連続して
  • conceivable: 考えられる
  • highly unlikely: 極めて起こりづらい

【第11段落】

関しては、119歳に達したという主張は明らかに誇張されていました。彼の(3番目の)妻の計算によると、死去時の年齢は106歳であり、墓石にも1772年から1878年までの生没年が刻まれています。

しかし残念なことに、彼の出生記録(コネチカット州シムズベリーに記録されている)は、ロマー(本名チェドルラオマー氏の短縮形)が実際には106歳にも達していなかったことを示しています。彼は1774年4月22日に生まれ、死去時には104歳にすぎませんでした。

しかし、それでもなお彼は米国で最高齢の市民だった可能性が高いと言えます。なぜなら、もっと高齢だと主張していた人たちも、おそらく年齢を詐称していたからです。

  • reckoning: 計算、見積もり
  • As for: について言えば (regarding, concerning)
  • tombstone: 墓石
  • alas: ああ、残念なことに(unfortunately, sadly)
  • birth record: 出生記録
  • short for: の短縮形
  • a mere: たったの

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