関正生の英語長文ルールズ2:レベルや使い方、出題大学や出典まで徹底レビュー
この記事では、関正生先生のTheRules2(入試標準)を、実際に全問解いた上でレビューします。
ルールズ2はシリーズの中で一番「使われる」一冊です。共通テストから中堅私大、地方国公立まで、受験生のボリュームゾーンど真ん中のレベル設定です。
この記事では難易度の実感値から全12レッスンの出典、そして元記事がネットで読める問題の一覧まで、購入前に知りたい情報をまとめました。
この記事を読むメリット
- ルールズ2の対象レベルと、始めていいタイミング目安がわかる
- 収録英文の総語数と全12レッスンのテーマ・出題大学がわかる
- 元記事がWebで無料公開されている問題がわかり、購入前にレベルを確認できる
それでは早速いってみましょう!
ルールズ2の特徴
ルールズシリーズ全体に言えますが、解説がとにかく丁寧で、英語が得意な人が頭の中でやっていることを見事に言語化しています。
その丁寧さは相変わらずですが、2には2の個性があります。
まず、国公立の過去問が入ってきます。茨城・琉球・宇都宮の3大学で、レッスン1から全問和訳。マーク模試しか経験のない受験生が最初にぶつかる「書けない」の壁を、早い段階で越えさせる構成です。
次に、英文が本格的に長くなります。ルールズ1の最長は624語でしたが、2では900語級が2本待っています。共通テスト型の広告問題・図表問題も1問ずつ確保されているので、記述とマークの両方がカヴァーされています。
後述しますが、スタートラインとして、共通テスト60%得点できる力が望ましいです。
ルールズ2のレベルと難易度
TheRules2の公式難易度は共通テスト〜国公立標準となっています。
中堅私大や地方国公立志望の受験生をターゲットにしているのがわかります。

言い換えると、日東駒専、成成明学、地方国公立志望の受験生向けの教材です。
地方国公立とは旧帝大(東京・京都・大阪・東北、名古屋、九州、北海道)や難関国公立(筑波・お茶の水・神戸・千葉・横浜)を除く国公立大学を主に指します。
実際、成成明学の一角である成蹊大学の問題がレッスン4に収録されているので、この大学群を狙う人にはレベル感の生きた演習になります。
- 共通テストで安定して6割を超えている
- 偏差値でいうと50以上
- ルールズ1を仕上げている(または同等の長文経験がある)
- 高校で習う基本的な単語・文法が頭に入っている
ルールズ2の推奨レベル:いつやる?使用するタイミング
入試基礎レベルの英語力がついてからが適切なタイミングです。
具体的には、英語対策参考書ルートLevel1で紹介している参考書を終えていること。その上で、共通テストや共テ型模試で平均点(60%程度)が取れていれば、取り組む価値は十分あります。
推奨レベルの目安をまとめるとこうなります。
- 共通テストは安定して6割超えている
- 偏差値50以上
- ルールズ1はやりこんで完璧
- 高校で習う基本的な単語や英文法は頭に入っている
取り組んでみて歯が立たないと感じたら、恥ずかしがらずに1へ戻ってください。
ルールズ2を解いてみて正答率が50%を下回る様なら、まずは以下の参考書ルートレベル1からスタートするのがオススメです。
>>>【慶應英語対策】偏差値40→50|英語が苦手な人が、慶應英語の土台を作る基礎固め参考書ルート
ルールズ2とポラリス1
著者である関正生先生には、別のレベル別英語長文シリーズ「ポラリス」があります。
こちらも(0,1,2,3)の4段階で、同じレベル帯のポラリス1とどちらを買えばいいか迷うと思います。
結論として、TheRulesシリーズを推します。
どちらも良い英語長文なのは大前提ですが、ポラリスはテーマや背景知識に重きを置いているのに対して、TheRulesは問題の解き方を重視している感じです。
まずは英語や問題へのアプローチ方法を学んで、その上でポラリスを多読教材として使うのがオススメです。
それでは次に、実際に掲載されている出題大学をみてみましょう。
ルールズ2出題大学一覧
こちらがTheRules2に掲載されている問題の出題校一覧です。
国公立3題、私立9題のバランスです。茨城大学、琉球大学、宇都宮大学といった、地方国公立も出題校に含まれています。
<国公立>
- 茨城大学 1題
- 琉球大学 1題
- 宇都宮大学 1題
<私立>
- 甲南大学 1題
- 藤女子大学 1題
- 成蹊大学 1題
- 龍谷大学 1題
- 國學院大学 1題
- 札幌大学 1題
- 駒澤大学 2題
- 東京福祉大学 1題
また、駒澤・甲南・龍谷大学も収録されているので、日東駒専*や産近甲龍*を目指す受験生はTheRules2まで仕上げて過去問に進むのがオススメです。
*大学群の解説
日東駒専 :日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学
産近甲龍 :京都産業大学・近畿大学・甲南大学・龍谷大学
\ちょっと休憩/
ルールズ2出題問題の語彙数と設定時間
収録されている問題の語数とと設定時間は次の通りです。
TheRules1では収録されていなかった700語を超える問題が収録されるようになりました。
| レッスン | 出題大学 | テーマ | 語数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 茨城大学(国立) | アポロ13号に学ぶ問題解決法 | 268語 |
| 2 | 甲南大学 | コーヒーの歴史 | 370語 |
| 3 | 藤女子大学 | 犬が人を飼いならした? | 366語 |
| 4 | 成蹊大学 | 頭を打つと天才が生まれる? | 512語 |
| 5 | 龍谷大学 | 語学を学ぶのに史上最高の時代 | 687語 |
| 6 | 國學院大学 | 絵文字の歴史 | 638語 |
| 7 | 札幌大学 | アメリカ入植とボストン茶会事件 | 693語 |
| 8 | 駒澤大学 | 共通テスト型・広告問題 | 241語 |
| 9 | 駒澤大学 | 共通テスト型・図表問題 | 285語 |
| 10 | 東京福祉大学 | バイリンガルの脳 | 298語 |
| 11 | 琉球大学(国立) | 幼少期の飢えと学力 | 927語 |
| 12 | 宇都宮大学(国立) | 風をつかまえた少年 | 828語 |
総語数に関して、TheRules1では4,688語でしたが、TheRules2では1,500語ほど増えて6,113語になりました。
見どころは終盤です。琉球大927語、宇都宮大828語と、1,000語に迫る勢いで、このレベル帯としては長めの英文が出題されています。
900語の英文を最後まで読み切った経験は、それ自体が自信になります。
ルールズ2のオススメの使い方と音声
やることはルールズ1と同じです。解いて丸付けして終わりでは、この本の価値の1割も回収できません。
解説を人に説明できるレベルまで読み込み、そこに書かれた読み方を意識しながら音読を繰り返す。
大事なのは復習です。解説に書かれていることを人に説明できるレベルで読み込んでください。
そうした上で、解説に書いてある読み方を意識しながら何度も音読を繰り返してください。
最低30回、目標100回。英文を覚えてしまって、フレーズが勝手に口から出てくるようになればグッドです。
音源は旺文社の公式アプリで聴けるほか、以下からダウンロードもできます。
ルールズ2のよくある質問
Q. ルールズ1を飛ばして2から始めてもいいですか?
共通テストで安定して6割取れているなら2からで大丈夫です。2の本文理解や正答率が50%を切る様であれば、1に戻るか単語や文法の復習推奨です。
Q. 私立志望なのに国公立の記述問題解く意味はありますか?
あります。形式が選択だろうが記述だとうが、本文を正確に読めているか問いています。最後のアウトプットが違うだけで、正しく読めなければ安定して正解できません。誤魔化しできない分、次第志望であっても記述問題でトレーニングを積むのがオススメです。
Q. MARCH・関関同立志望ですが、2だけで戦えますか?
厳しいです。2で読み方を固め、3で入試難関レベルの英文に慣れてから過去問へ行くのが、結果として円滑な過去問演習になると考えています。
ルールズ2全12レッスンの出題大学と出典まとめ
ここからは収録されている12問を、出題大学や出典元も含めて紹介していきます。
ルールズ2の出典はニュースメディアや一般書が中心で、元記事がそのままWebで読める問題がいくつもあります。読んでみたけどよくわからなかった、この話が面白かったから続きを読みたい、という時にご活用ください。購入前のレベル確認にも使えます。
*追記:2024年夏期に著者本人の音声コメントが公開されました。各問題に合わせて紹介します。
レッスン1:茨城大学 / 最速の仕事術

- 原題:SPRINT: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in Just Five Days
- 原題訳:たった5日間で大きな問題を解決し、新しいアイデアをテストする方法
- 著者:プジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー、ブレイデン・コウィッツ(Simon & Schuster、2016年)
- 出題大学:茨城大学
Googleで働いていたジェイク・ナップ氏らが、5日間で新規事業のアイデアを検証する手法「デザインスプリント」を解説したビジネス書からの出題です。
3人の共著で、日本語版は「SPRINT 最速仕事術」。翻訳版でタイトルががらりと変わるのは出版のあるあるです。
本文はアポロ13号の1995年の映画版、管制室のジーン・クランツが黒板に帰還ルートを描く場面を引いています。
失敗という選択肢はない、はない
ここで映画好きに知られたこぼれ話を。実際の交信記録は「Houston, we've had a problem」と過去形で、現在形の「we have a problem」は映画の脚色です。
クランツの代名詞になった「Failure is not an option」も映画のために書かれたセリフで、本人が気に入って自伝のタイトルに逆輸入しました。(以下の最後のセリフです)
映画は史実を書き換え、ビジネス書が映画を引用し、それが日本の国立大の入試になる。英文の旅路としてなかなか味わい深い一問です。
これがまわり回ってドジャース山本投手の「負けるという選択肢はない」(Losing is NOT an Option)になったと勝手に思っています。
関先生の解説動画はこちら
レッスン2:甲南大学 / イケてる関西の旅
- 原題:Kansai Cool: A Journey into the Cultural Heartland of Japan
- 著者:クリスタル・ウィーラン / Christal Whelan (タトル出版)
- 出題大学:甲南大学
著者クリスタル・ウィーラン(Christal Whelan)氏が関西を旅した記した本が元ネタ。
英文の中身は「シルクロードならぬコーヒーロード」。エチオピアのカッファ地方に生まれたコーヒーが、イエメン、トルコ、ヨーロッパと旅をして、最後はオランダ商人と共に出島から日本へ入る世界史の話です。
出典は、文化人類学者クリスタル・ウィーランさんが関西の文化を訪ね歩いた紀行本。世界コーヒー史の英文が関西旅行の一章だという意外な組み合わせで、終着点が日本である理由もこれで腑に落ちます。
版元のタトル出版は、戦後まもなく東京で創業した日本・アジア関連洋書の老舗です。羽田空港や成田空港の国際線の本屋で見かける本を出版しています。
江戸時代にコーヒーを飲んだ日本人
初めてコーヒーを飲んだ日本人は不明ですが、コーヒー初期の感想として有名なのが、江戸の文人・大田南畝の記録です。要約すると「焦げ臭くて飲めたものではない」。
いまや年間数百億杯を消費するコーヒー大国の第一印象が「まずい」だったわけです。食文化の英文は入試の定番ジャンルなので、コーヒー・茶・砂糖あたりの伝播ルートは教養として持っておくと助かるかもしれません。
大田南畝を見て、時代と業績がピンと来なかった日本史選択者は、すぐに用語集開こうな。
レッスン3:藤女子大学 / 犬が人を飼いならした?

- 原題:We Didn't Domesticate Dogs. They Domesticated Us.
- 著者:ブライアン・ヘア &ヴァネッサ・ウッズ / Brian Hare and Vanessa Woods
- 出題大学:藤女子大学
良質なドキュメンタリーを作ることで定評のある、ナショナルジオグラフィックの2013年の記事からの出題。
「人間が犬を家畜化したのではなく、人懐こいオオカミが人間を選んだ」という、常識を逆立ちさせるタイトルの通りの内容です。
書いたのは進化人類学者のブライアン・ヘアと、サイエンスライターのヴァネッサ・ウッズ。共著の多いコンビ、というより夫婦です。日本語に翻訳された著書もいくつかあります。
本文がまるごとネット上で公開されているので、ネイティブになったつもりで読んでみると楽しいです。
家畜化すると見た目も変わる?!
この説の背後には、20世紀の伝説的な実験があります。
ソ連の遺伝学者ベリャーエフが1959年に始めたキツネの家畜化実験で、「人懐こさ」だけを基準に銀ギツネを選抜交配し続けたところ、数十世代で耳が垂れ、毛にぶち模様が出て、尻尾を振る犬のようなキツネが生まれました。
>>>参考:従順か攻撃的かの遺伝子特定か、ペットのキツネで
性格を選んだだけで見た目まで変わる。本文の主張を先取りで実証していた研究で、この話を知ってから読むと英文の説得力が数段増します。
レッスン4:成蹊大学 / 我発見せり!頭を打つと天才が生まれる
- 原題:Eureka! When a Blow to the Head Creates a Sudden Genius
- 著者:ブライアン・フォン / Brian Fung(The Atlantic、2012年)
- 出題大学:成蹊大学
ボストンで創刊されたアメリカの老舗誌アトランティックの2012年の記事が元ネタ。事故などで頭部に損傷を負った後、突然ずば抜けた才能が現れる「後天性サヴァン症候群」の話です。
記事を書いたのはブライアン・フォン(Brian Fung)氏。
>>Eureka! When a Blow to the Head Creates a Sudden Genius
記事のタイトルになっている「Eureka!」は「我見つけたり!」と訳されるギリシャ語で、アルキメデスが浮力の原理を発見した時の感嘆詞として今でもよく引用されます。
アルキメデスの原理は、王冠が純金か混ぜ物かを、水に沈めて見破ったという有名な話です。
個人的に、TheRules2の中で1番面白く、興味深く読んだ英文でした。
後天性サヴァンと映画の始まり
サヴァン症候群といえば映画「レインマン」ですが、主人公のモデルになったキム・ピークは生まれつきのサヴァンで、見開き2ページを左右の目で同時に読んだという逸話が残っています。
一方この英文が扱う「後天性」のサヴァンは、世界でも報告例が数十件しかない希少な現象。
なお、本文冒頭に登場するマイブリッジの馬の連続写真は、のちの映画技術の原点ともなり、大学で映画系の授業取ると、ほぼ出てくるほど有名です。
レッスン5:龍谷大学 / 語学を習得するのに今が最高?

- 原題:Is this the best time in history to learn languages?
- 著者:ブライアン・ラフキン / Bryan Lufkin(BBC Capital、2018年)
- 出題大学:龍谷大学
イギリスの公共放送局BBC(British Broadcasting Corporation)の2018年の記事が元ネタ。
英文の冒頭には、子供同士が母語を教え合う語学アプリを作った香港の13歳、ヒラリー・イップさんが登場します。アプリを作る側に13歳がいる時代の語学論、というわけです。
雑にいえば、最近の子ども達は、テクノロジーのおかげで、より外国学習環境が整っている旨の話です。
>>>元記事:Is this the best time in history to learn languages?
入試の際は英文だけですが、元ネタは画像がついてるのでイメージがつきやすいのです。
イメージを含まらせながら記憶するために、復習の時は記事を印刷して利用するのもありです。
外国語の文法能力は18歳まで伸びる
「語学は子供のうちにやらないと手遅れ」と聞いて焦っている受験生に、心強い研究をひとつ。
MITのチームが2018年に67万人分のオンラインテストを分析したところ、文法を習得する能力は17〜18歳頃まで高い水準を保つという結果が出ました。臨界期は思われているよりずっと遅いです。
>>>参考記事:Cognitive scientists define critical period for learning language
高校生の今から伸ばせることは、科学が保証してくれています。
逆にいえば、今のうち頑張っておこうな。
レッスン6:国学院大学 / 絵文字を作った人に会いに行こう
- 原題: Meet the man behind the emoji
- 著者:AP通信(2017年)
- 出題大学:国学院大学
AP通信の2017年のインタビュー記事が元ネタ。絵文字の生みの親、栗田穣崇さんの話です。
1998年、NTTドコモの25歳の社員だった栗田さんが、締切に追われながら1ヶ月で作った176個の絵文字が、世界の言語風景を変えました。
原題は「Meet the man behind the emoji:Japanese phone company worker who first created the images reveals he hoped they would end confusion in messages」。
1行に収まらない長さで、記事タイトルというより要約です。
元祖176個の絵文字は2016年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されました。ピカソと同じ屋根の下に、ドコモのドット絵が並んでいるわけです。
2015年にはオックスフォード辞書が「今年の言葉」に泣き笑いの絵文字を選出。単語ですらないものが言葉の代表に選ばれた事件でした。
ちなみに栗田さんは現在、ニコニコ動画を運営するドワンゴの役員です。emojiは英語に定着した数少ない日本語で、英作文でもそのまま通じます。
リンク先の記事は↑読みにくいので、参考程度で大丈夫です。
レッスン7:札幌大学 / ボストン茶会事件
- 原題: Boston Tea Party
- A&Eネットワークス(history.com、2020年)A+Eネットワークス
- 出題大学:札幌大学
世界史でおなじみ「ボストン茶会事件」がテーマ。
元ネタはヒストリーチャンネルを運営するアメリカのA&Eネットワークスが、歴史情報サイトhistory.comに載せた記事です。
元記事は2009年初出で度々更新されているので、現在の掲載文は収録英文と変わっている可能性があります。
「ボストン茶会事件(Boston Tea Party)」という洒落た呼び名は、事件から半世紀ほど経ってから定着したものです。当時の人々はただ「茶の破壊」と呼んでいました。
そして2009年、この250年前の事件名は「ティーパーティー運動」というアメリカの草の根政治運動の名前として再利用されます(反オバマ政権の保守層の運動です)。
札幌は私立、北海道は国立、日本は私立、東京は国立
ちなみに出題大学の札幌大学は私立大学です。北海道の国立大学は、北海道大学です。
似たような関係をまとめると
- 青森大学は私立、弘前大学が国公立
- 神奈川大学は私立、横浜国立が国公立
- 愛知大学は私立、名古屋大学が国公立
- 福岡大学は私立、九州大学が国公立
都市名と県名、どちらのパターンもあります。
ちなみに、最難関国立大学は都市名になりがちです。
- 日本:東京大学
- 韓国:ソウル大学
- 中国:北京大学
レッスン8 :駒澤大学 / ナイロビからケープタウンへの 陸路の旅
- 原題: Nairobi to Cape Town Overland Camping (56 Days)
- 著者:African Overland Tours
- 出題大学:駒澤大学
African Overland Toursという旅行会社の実在のツアー広告から出題。
まさか本物のツアーを元ネタにしているとは思いませんでした。ケニアのナイロビから南アフリカのケープタウンまで、8カ国を56日かけてトラックで縦断するキャンプ旅です。
面白いのは価格の変遷です。英文中のツアー代金は2,905ドルでしたが、同種のツアーを追跡すると2022年5月時点で3,647ドル、2024年8月には10,000ドル超え。
入試英文が期せずして世界的インフレの記録になっています。
オプションの「ゴリラ・トレッキング許可証780ドル」も実在の制度で、ウガンダ政府発行の許可証は現在800ドル前後、ルワンダに至っては1,500ドルでした。
レッスン9:駒澤大学 / ネットを使わないアメリカ人は誰?
- 原題:11% of Americans don't use the internet. Who are they?
- 著者:ピュー・リサーチ・センター(Monica Anderson他、2018年)
- 出題大学:駒澤大学
共通テスト型の図表問題です。
「アメリカ成人の11%はネットを使わない。それは誰か」というタイトル通り、年齢・収入・学歴・居住地域ごとの非利用率をグラフで読ませる問題です。
ピュー・リサーチ・センターはアメリカの世論調査シンクタンクで、社会の変化を数字にする仕事を延々とやっている機関です。
入試英語の統計系英文における最大級の供給源で、この名前を見たら「データが来るぞ」と構えてよいくらいです。
レッスン10:東京福祉大学 / バイリンガル・マインド
- 原題:Bilingual Minds
- 著者:エレン・ビアリストクほか(Psychological Science in the Public Interest、2009年)
- 出題大学:東京福祉大学
カリフォルニア州に拠点を置く、アメリカの独立系出版社SAGE社の2009年の記事が元ネタ。
アメリカ心理学会系の学術誌に載った、バイリンガル研究の大家エレン・ビアリストクらの総説が元ネタです。版元は学術出版のSAGE社、アメリカの独立系出版社です。
バイリンガルやトリリンガルは大学入試あるあるのテーマですが、今回はバイリンガルがモノリンガルよりイケてるという話で、自分を含めた多くの日本人にとっては耳の痛そうな内容でした。
20世紀のバイリンガル研究
バイリンガルの扱いは、20世紀の間にひっくり返りました。かつての学界では「二言語育ちは知能に不利」が定説でした。
種明かしをすると、昔の研究は移民の子供を不得意なほうの言語でテストしていたのです。1962年、モントリオールのピールとランバートがこのバイアスを取り除いて調べ直したところ、バイリンガルの子供がほぼ全てのテストで単一言語の子供を上回りました。
本文はこの逆転劇の延長線上にあります。ビアリストクらの後の研究には、バイリンガルは認知症の発症が平均4年ほど遅いという報告まであります。
語学は脳の筋トレ。そう思えば、受験英語も悪くない気がします。
ちなみに東京福祉大学はルールズ1でも記述問題枠(レッスン4)で登場しています。
レッスン11:琉球大学 / 幼少期の飢えと学業成績
- 原題:Kids Who Suffer Hunger In First Years Lag Behind Their Peers In School
- 著者:リトゥ・チャタジー / Rhitu Chatterjee(NPR、2017年)
- 出題大学:琉球大学
NPR(National Public Radio:米国公共ラジオ放送)の2017年の記事が元ネタ。
>>Kids Who Suffer Hunger In First Years Lag Behind Their Peers In School
生後間もない時期の食料不安が、就学後の学力にまで影を落とすという研究の紹介で、927語は本書最長。ただし構成が素直なので、長さの割に読みやすいはずです。
政府の食料支援プログラム
本文に出てくる「政府の食料支援プログラム」の正体は、アメリカのSNAP(旧フードスタンプ)で、約4,000万人が利用する巨大制度です。
翻って日本でも、子どもの貧困への民間の応答として子ども食堂が広がり、その数は全国1万カ所を超えました。
貧困対策や教育は入試英語の最頻出テーマ群のひとつです。慶應経済2026年のテーマもスバリ「フードバンク」でした。ぜひ押さえておきましょう。
レッスン12:宇都宮大学 / 風をつかまえた少年
- 原題:The Boy Who Harnessed the Wind: Young Readers Edition
- 著者:ウィリアム・カムクワンバ&ブライアン・ミーラー(Dial Books、2015年)
- 出題大学:宇都宮大学
日本語タイトル「風をつかまえた少年」からの出題です。
2001年からの大飢饉で学費が払えず学校を辞めた14歳のマラウイの少年が、図書館の科学書と廃品置き場の部品だけで風車を自作し、村に電気を灯した実話。
著者本人はその後TEDに登壇して世界に知られ、2019年には俳優キウェテル・イジョフォーの初監督作としてNetflixで映画化されました。
学校の英語教科書にも採用されている有名な作品ですが、だからこそ入試では有名な風車の場面は使われていないのかもしれません。
収録されているのは、少年が愛犬カンバと出会う章。元ネタを知っていても気付けない箇所から出題されています。
なお、使われたのは原書ではなくヤングリーダーズ版、つまり語彙を抑えた青少年向けの版です。興味があれば、多読1冊目にどうぞ。
以上、ルールズ2の詳細解説でした!
TheRules徹底解説シリーズ
\ お知らせ /
*未成年の方は、必ず保護者の許可をとった上でご連絡ください。
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