関正生の英語長文ルールズ4:難易度やレベル、出題大学や英文出典まで徹底レビュー

この記事では、関正生先生の著書「TheRules4」で出題されている英文の、出題大学やその出典元を紹介します。

Webで公開されている記事はリンクから飛べば中身を読むことができます。

TheRules4購入前に、英文のレベルを確認するなどご活用ください。

この記事を読むメリット

  • TheRules購入前に収録英文を読むことができる
  • 自分の英語力を確認することができる
  • 面白かった英文の出典を知ることができる、前後の内容を読むことができる

それでは早速いってみましょう!

TheRules4のレベルと難易度

TheRules4の公式設定レベルは私大難関〜国公立難関となっています。

では、実際に収録されている出題大学と問題数をみてみましょう。

  • 東京大学 1題
  • 京都大学 2題
  • 一橋大学 1題
  • 大阪大学 1題
  • 名古屋大学 1題
  • 慶應義塾大学 3題
  • 早稲田大学 3題

国立6題、私立(といっても早慶だけですが)6題のバランス。

いずれにしても、東大京大、旧帝大、早慶など、最難関大学志望者向けの長文問題集であると言えます。

  • 共通テストは安定して9割超えている
  • marchの過去問は合格点が取れてきた
  • ルールズ3はやりこんで完璧

こんな受験生にオススメできそうです。

TheRules4の出題大学と語彙数

以下がTheRules4に収録されている問題の概要です。

合計は8,299語です。ルールズ3の合計が8696語なので、語数だけ行けば4<3となってます。

見ての通り、早慶や東大京大、阪大名古屋一橋といった名門大学の過去問から出題されています。

このレベルの大学になると、作問者も気合と意図を込めて問題をつくるので、英文自体が非常に面白くなってきます。

ルールズ4とポラリス3の違い

よく「ルールズ4とポラリス3のどちらを使ったらいいですか?」と聞かれますが、結論として、ルールズ4をオススメします。

大前提どちらも良い長文問題集ですが、ポラリスはテーマや背景知識に重きを置いているのに対して、ルールズは問題の解き方を重視しています。

ここまで詳細に解き方を解説した参考書はないので、ルールズを推奨しています。

難易度的には、ルールズ4の方がやや難しいぐらいですが、使い始めるレベルは同じくらいです。

ルールズを使うにしてもポラリスを使うにしても、キチンと精読して何度も音読するのが大事です。

ポラリスがどうしても気になる場合は、ルールズ4と並行して、息抜きにポラリス2を演習したり、

ルールズ4を一通り終わらせてから、ポラリス3へ進むと良いです。

ルールズ4の出題大学と元ネタまとめ

では、その英文の出典は一体どこなのか?

少しの解説も交えながら、一緒に見ていきましょう。

レッスン1:死がいつ起こるのか定義つけるべき理由

  • 原題:Why we need a clear definition of when death occurs
  • 著者:ソニー・ダーナニ / SONNY DHANANI
  • 出題大学:名古屋大学 2019年度 大問2

カナダ最大の全国紙、グローブ・アンド・メールの2018年の記事が元ネタ。

ネット公開されていますが、メンバー登録しないと本文を読むことはできません。

Why we need a clear definition of when death occurs - The Globe and Mail

An Ontario Supreme Court Justice got it right in a recent case about a young Brampton woman’s death. People need and deserve to know with simplicity, clarity a…

死とは何か?がテーマの入試問題はかなりありますが、今回はその中でも「脳死」。

生きるとは?死ぬとは?みたいな哲学的なテーマではなく、書類上の死、医者が判断する死のラインの話です。

本文を読んでもわからなかった人向けに少しだけ解説すると、

死とは「脳が機能を停止し、元に戻らないと医者が判断した」状態

一旦これだけおさえてつつ「なぜ死を定義しなきゃいけないのか?」を意識しつつ読んでみてください。

レッスン2:漁業と補助金の関係

  • 原題:Caught in their own traps? Governments, subsidies, and fish
  • 著者:M.T. Nettes
  • 出題大学:慶應義塾大学 経済学部 2020年 大問3

大学が出典を明記しているので元ネタは自体はわかるのですが、それ以上の情報は不明です。

慶應の図書館検索や国立国会図書館でもリサーチしましたが詳細不明です。

慶應大学経済学部の2020年度入試、大問3で出題されました。

【問題文冒頭】

In every ocean, fish numbers are rapidly declining. Fishing subsidies are one of the key factors behind this collapse. / Subsidies create incentives for fishermen around the world to increase their catch.

内容としては「政府の補助金が海洋資源危機の一環だよ」的な話です。

単に経済的な話をするだけではなく、そこから政治的な話や国防の話まで及ぶのが面白ポイントです。

レッスン3:どのように自分を見失い、どのように見つけるのか

  • 原題:The Examined Life: How We Lose and Find Ourselves
  • 著者:スティーヴン・グロシュ / Stephen Grosz
  • 出題大学:一橋大学 2015年 前期

精神分析医のスティーヴン・グロスの2013年の著書が元ネタ。

25年間のキャリアと、5万時間以上に及ぶ対話から得られた経験をもとに、人間のさまざまな側面を描くエッセイ集です。

【問題文冒頭】

Nowadays, we praise our children. Praise, self-confidence and academic performance, it is commonly believed, rise and fall together. But current research suggests otherwise — over the past decade, a number of studies on self-esteem have come to the conclusion that praising a child as "clever" may not help her at school. In fact, it might cause her not to try her best.

一橋大学の2015年前期入試で出題されましたが、全く同じ英文が、早稲田大学国際教養学部2020年AO入試の筆記審査で出題されました。

英文は基本同じですが、出題箇所や方法が違うため、早稲田の問題に取り組めば2度美味しい英文です。以下にリンクを貼っておきますので、ぜひ挑戦してみて下さい。

内容に関して、乱暴に要約するなら「こどもは褒めるよりも、一緒にいろ!」

教育業界では定説の「こどものは結果ではなく、過程で褒めるのが大事」から話が始まり、なぜ我々はこどもを褒めようとするのか?褒めることに意味があるのか?結局どうすればいいのか?など、もう2~3歩踏み込んだ展開になっていきます。

よくよく考えれば当然の結論ですが、教育業界に身を置くものとして、非常に面白く読みました。

慶應専門塾GOKOについて

レッスン4:健全な精神は健全な身体に宿る

  • 原題:Mens sana in corpore sano
  • 著者:エコノミスト / The Economist
  • 出題大学:早稲田大学 国際教養学部 2011

イギリスの経済誌「エコノミスト」の2010年の記事が元ネタ。翌年2011年の早稲田大学国際教養学部の入試に使われました。

Mens sana in corporation sano

Companies are paying more attention to the psychological well-being of their workers

元ネタのタイトルは「Mens sana in corpore sano」、ラテン語で「健康な体の健康な心」という意味です。意訳して「健全な精神は健全な身体に宿る」と訳されることが多い有名なフレーズです。

元ネタの冒頭は「企業は従業員の体の健康にコストをかけているが、心理的な幸福にもっと注意を払うようになっている」的な内容です。

では次に問題文の冒頭を見てみましょう。

【問題文冒頭】

Human intelligence is a puzzle. Although using IQ scores as a measurement of intelligence is controversial, some scientists believe we can use them to argue that intelligence is higher, on average, in some places than in others. And it seems to have been rising in recent decades. Why these two things should be true is also controversial.

冒頭はIQの話で始まりますが、これが国の健康状態とどう関係しているか?という話に展開していきます。

結論は、健康状態の良い国はIQスコアが高いです。

注意点として、これは相関関係であり、因果関係ではないことです。(相関関係と因果関係は、過去慶應でまるまる小論のテーマになったこともあるから押さえておきましょう)

因果関係

因果関係とは、原因と結果が直接結びついている状態です。

例えば、

  • 風邪をひいた→発熱してダルい
  • いっぱい寝た→今日は元気
  • 勉強を頑張ったから→テストで高得点

このようなのような関係です。

相関関係

一方、相関関係は原因と結果が間接的に結びついている状態です。言い換えれば、原因と結果が直接は結びついていないのです。

有名な例で「朝ご飯を食べる子は成績が良い」があります。

一見「真」に見えますが、朝ご飯を食べても頭が良くなるわけではないので、直接の因果がありません。

正しくは、

  • 朝ご飯を食べる子(それができている子は、規則正しい生活をしている、自分を律することができる、適切な時間に起こしてくれる面倒見の良い親がいる、朝食を食べる経済的余裕がある、十分な睡眠時間が確保されている、といった要因を持っている)
  • 学業にキチンと取り組める、取り組んでいる
  • 成績が良い

の関係です。

「朝ご飯を食べる子は成績が良い」は、途中の因果や要因をすっ飛ばして一般化させてフレーズなのです。。

朝ご飯を食べてもテストで高得点を取れるわけではありません。世の中の相関関係詐欺にご注意ください。

国別のIQスコア

最後に、いかが国別IQスコアをまとめた画像です。

IQは人間の一要素でしかありませんが、何となくの傾向はあるので常識として覚えておいてください。

今回の英文でまんま出てきますが、赤が低い地域、紫が高い地域を表しています。

アフリカ大陸は低めで、極東アジア(日中韓)は高めです。

レッスン5:心の仕組み

  • 原題:How the Mind Works
  • 著者:スティーブン ピンカー / Steven Arthur Pinke
  • 出題大学:京都大学

世界的に著名な認知心理学者、スティーブン ピンカーの1997年の著書から出題。

確認中ですが、おそらく2000年前後の後期入試の英文です。

京都大学の英語は、量的には少ないですが骨太な英文が出題されます。

下記は冒頭の一文ですが、これだけでもその片鱗を見ることができる明文です。実際に和訳問題になっている箇所なので、ぜひトライしてみてください。

【問題文冒頭】

The gap between robots in imagination and in reality is my starting point, for it shows the first step we must take in knowing ourselves : appreciating the fantastically complex design behind activities of mental life we take for granted.

話としては、「人間が当たり前だと思っている活動、実はヤベー(すごい)ぞ」的な話です。

脳科学やロボット工学の話だと割と定番の話で、竹岡先生の英文熟考をはじめ、英文解釈系の参考書でも頻繁に扱われるテーマです。

今回出題の京大の英語は、(ほぼ)英文和訳と和文英訳だけで構成されているので、慶應文学部を目指すのであれば、ワンランク上の演習として特に相性が良い大学でもあります。

科学、歴史、美術、人間など、出題テーマも慶應文学部に近いです。

レッスン6:容認発音後の英語:現在の英国標準発音

  • 原題:English After RP: Standard British Pronunciation Today
  • 著者:ジェフ・リンジー / Geoff Lindsey
  • 出題大学:大阪大学 2020年 前期 外国語学部
  • 文字数:1,372語

1,372語あり、TheRules4で最長の英文です。

2020年の大阪大学外国語学部で出題された問題で、2019年に書かれた本が元ネタです。

現在の標準的なイギリス英語の話し方が、前世紀の上流階級のアクセントであるReceived Pronunciationとどのように変わってきているがを解説した本。

実際に出題された部分は、歴史的な部分のみで、現在の英語発音に関しては軽く触れている程度です。

イギリス標準発音(Received Pronunciation:RP)は容認発音と呼ばれ、イギリス英語を学ぶ人々のモデルになってきた発音です。

しかし、イギリスの社会構造が大きく変わり、上流階層と結びつけて受け止められるRPは、嘲笑の対象にすらなっているとのこと。

標準発音(PR)はむしろイギリス南部標準発音(Standard Southern British accent:SSB)と呼ばれるべきもので、ごく一部の人たちが使ってきた発音で、標準発音とは言い難い!

ざっくりそんな話です。

【問題文冒頭】

Around the beginning of the nineteenth century, something remarkable happened in Great Britain. All over the country, people at the top of society began to change the way they spoke: they began to adopt the speech patterns of the upper classes in the London area.

英文はそこまで難しいわけではありませんが、それなりの量があるため、頭の中で話を整理しながら読む必要があります。

長さ的にはSFC向けの音読教材としてよく、国公立型のバリバリ記述形式は、慶應文学部のトレーニングにはもってこいの設問でした。

レッスン7:フードロス対策で日本をリードする京都

出題は、泣く子も黙る慶應医学部の2020年度大問1から。

医学部の過去問なので、慶應志望者にとっても見慣れない形式だっと思いますが、医学部はいわゆる国公立に多い記述型の形式です。

  • 原題:For Kyoto, a chance to lead Japan in fight against food loss
  • 著者:エリック・ジョンストン / Eric Johnston
  • 出題大学:慶應義塾大学 医学部 2020 大問1
  • 文字数:633語

元ネタは、英字新聞「ジャパンタイムズ」のお偉いさん、エリック・ジョンストン氏の2018年の記事。

For Kyoto, a chance to lead Japan in fight against food loss - The Japan Times

Compared with constitutional revision, the economy, celebrity gossip and pontificating (if not panicking) over geopolitical changes in East Asia and Japan

著者のエリック・ジョンストン氏は1988年から日本でのキャリアを持ち、20年以上日本と関わりを持っています。

ピッツバーグ大学を卒業後来日してますが、最初は京都で英語の先生をしていました。

【問題文冒頭】

Compared with constitutional revision, the economy, celebrity gossip and pontificating (if not panicking) over geopolitical changes in East Asia and Japan’s role in those changes, Japan’s mainstream media and politicians had, until recently, given environmental issues less attention.

Suddenly, though, the environment is back on the agenda. A record-hot summer and natural disasters in Kansai and western Japan, including the flooding of Kansai airport, drove home the importance of dealing with climate change. But in cities like Kyoto, where international tourism drives large sectors of the local economy, waste and garbage and the environmental challenges it presents are the more immediate, pressing problems.

「For Kyoto, a chance to lead Japan in fight against food loss」 https://www.japantimes.co.jp/news/2018/10/20/national/kyoto-chance-lead-japan-fight-food-loss/

英文の内容は、食品流通における京都市の取り組みを引き合いに出しながら、観光業で栄えてる同市が、環境問題だけでなく食品ロス問題でも規範となるべきであることを説いています。

3分の1ルール

本文中に出てくる「3分の1ルール」とは、「食品の納入期限を賞味期限の3分の1以内」とする流通・小売業界特有の商慣行を指します。

なので、別に京都だけのルールではなく、日本中にある商習慣で、なんなら欧米にも存在します。ただし、欧米の場合は「3分の2ルール」や「2分の1ルール」的な感じで、日本より緩い慣習になっています。

こちらに京都を例にまとめてある記事があったので、内容がよくわからなかった人はご参照ください。

京都市の「食品販売期限の延長」要請。フードロス削減に有効か | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

食品ロスを減らすために有効だと言われるのが、3分の1ルールとよばれる商習慣を変えること。京都市がこれに自治体レベルで取り組んでいます。同市は2015年に「新・京都市…

レッスン8:夢の持つ意味

  • 原題:The Dream Encyclopedia 
  • 著者:ジェイムズ・R. ルイス / James R Lewis
  • 出題大学:京都大学 2001年 大問2
  • 字数:403字

元ネタは1995年の本で、書いたのは宗教学や哲学が専門のジェームズ・R. ルイス教授。

教授は中国の武漢大学で教鞭をとっていたみたいですが、残念ながら2022年10月にお亡くなりになったみたいです。

出題の英文部分は、夢がでたらめな理由は多分コレ!落下系の夢を見る理由は多分こう!といった感じの身に覚えのある身近な内容。

元ネタの本は「夢のメカニズム」大百科的な感じですが、夢の持つ意味として、以下のものが紹介されていました。

  • 飛行機の夢:人の「上に立つ」力を持っている、あるいは「制約から抜け出したい」という願望
  • 落下する夢:失敗した、または生活の中で "落ちた "という感覚
  • 乗馬の夢:自分の人生をコントロールしていると感じている
  • 動物園の夢:複数のことを片付ける必要がある状況

ご参考まで。

【問題文冒頭】

There are various ways of accounting for dreams. Some claim that they are mysterious experiences in which the soul travels out of the body. Others assert that they are the reflections of hidden desires or socially unacceptable urges. Still others are inclined to think that they do not conceal any deep significance.

Some dreams are little more than traces of recent experiences. If, for instance, we spend the day driving across the country, it would not be unusual to dream about driving down a highway. While such dreams are reasonably straightforward, many others appear disconnected and nonsensical. The fact that most dreams have a surrealistic quality — a quality that causes them to be highly resistant to interpretation — has influenced many people to dismiss dreams as altogether meaningless.

京都大学の過去問ですが、内容も身近で英文はそこまで難しくありません。設問になっている和訳の巧さが合否を分けるポイントになりそうです。

機械的な翻訳ではできない訳が求められますが、そこはTheRulesの解説をよく読んで技術を獲得してください。

レッスン9:論破はダサい?建設的な議論をするのに大切なこと

  • 原題:The Art of Logic:How to Make Sense in a World that Doesn't
  • 著者:ユージニア・チェン / Eugenia Cheng
  • 出題大学:慶應義塾大学 商学部 2020 大問2
  • 文字数:814字

英国の数学者でピアニストのユージニア・チェン氏、その2018年の著書からの出題。

http://eugeniacheng.com/

原題は「The Art of Logic:How to Make Sense in a World that Doesn't」

意訳すると「論理の技法:論理的でない世界で筋を通すには」

日常ではロジハラという言葉があるように、論理的であることは、冷たく、共感に乏しく、人間味のない印象を与えます。

しかしこの本では、数学者らしく論理的であることの有用性を解いています。

出題英文をざっくりまとめると、

議論の目的は、相手を論破することではなく、互いが相手を理解すること。建設的な議論には、論理も感情も両方必要。

慶應の問題らしく、選択肢は直接的な表現をしていませんが、以上のことがわかっていれば正しい解答にたどり着けます。

【問題文冒頭】

I want to see more good arguments in which logical and emotional elements fuse together. A good argument is like a well-written mathematical paper, as it has a fully watertight logical proof, but it also has a good explanation in which the ideas are sketched out so that we humans can feel our way through the ideas as well as understand the logic step by step. A good discussion also addresses apparent inconsistencies in which the logic seemingly contradicts our intuition.

「The Art of Logic:How to Make Sense in a World that Doesn't」 by Eugenia Cheng

今回の英文の出題は慶應商学部。

商学部は大問1~3が同程度の長文、大問4~8が短めの問題。90分で大問7~8個を解かなければならないので、頭を切り替えながらサクサク解いていく必要があります。

英文自体はそこまで難しくありませんが、選択肢で振い落としてくる、慶應らしい設問でした。

レッスン10:作家と音楽の関係

  • 原題:Making An Elephant
  • 著者:グレアム・スウィフト / Graham Swift
  • 出題大学:東京大学 2012年 第4問
  • 字数:357字

東大の2012年の問題ですが、ルールズ4の中で、唯一東京大学の過去問から出題です。

現代英国文学を代表する作家、グレアム・スウィフトのエッセイ集が元ネタ。残念ながら、著者の日本での知名度は低く、翻訳されている著書も少なめです。

英国最高峰の作家さんということで、巧みな英語(受験生的には"読みにくい")表現が多々あります。

元々は2009年に出版されたエッセイですが、ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロ氏へのインタビューの回顧録部分から出題されています。

ギターのくだりが出てきますが、その後、カズオさんからギター選びのアドバイスがあったみたいです。

今回の英文に出てくるインタビュー相手のIsh、ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロ氏。戦後すぐに長崎で生まれた、日系イギリス人。

ノーベル賞受賞時は、日本のマスメディアから取材されまくっていましたが、さも日本人であるかのような扱いに困惑した様子が画面上から見て取れました。

代表作は、英国で映画され、日本でも綾瀬はるか主演でテレビドラマ化された「わたしを離さないで」。

今回の英文として難しかったのが、次の部分

原文:though a great many people who've grown up and read books have perhaps felt it.

東大英文:though a great many people who didn't grown up and read books have perhaps felt it.

東大で出題された際には上記のようにわかりやすく変更されていましたが、原文はなんとなく読んでいたら意味を取り違えそうな表現です。

直訳すると「大人になって、そして、本を読んだ人」といった感じで、「子どもの時に本を読まなかった人」と言い換えることができます。

レッスン11:不安との向き合い方〜脳の個性を才能に変える

  • 原題:The Power of Neurodiversity:Unleashing the Advantages of Your Differently Wired Brain
  • 著者:トーマス・アームストロング / Thomas Armstrong
  • 出題大学:早稲田大学 理工学部 2019年 大問3セクションB

早稲田大学理工の文整序、段落整序問題から出題。

テーマは「不安との向き合い方」ということで、恐怖症やPTSDの対処方が紹介されました。

出てきたのは、

  • 系統的脱感作(Systematic Desensitization)
  • マインドフルネス療法

の2つ。

系統的脱感作は、関西の人気番組「探偵ナイトスクープ」でもよく使われる、徐々に恐怖対処に慣らしてしく療法。ただし、VRを使うのがこれまでと違う新しい点でした。

マインドフルネスは、意識を集中させるテクニックの一つ。Googleといった世界的IT企業で採用されるなど、情報の多い現代で注目されている技術です。

今回の元ネタは、メディアに出まくりの教育研究、トーマス・アームストロング氏の2011年の著書。

https://www.institute4learning.com/thomas-armstrong/

出典は「The Power of Neurodiversity」(神経多様性の力)。発達障がいと呼ばれるこども達に対し、こんな長所や特徴があるんだよ、と教えてくれる本。

トーマス氏曰く、自閉症はシステム化能力に、ADHDは発想力に、ディスレクシア(読み書きが苦手)は視空間能力に長けていることが多いとか。

反響が大きかったみたいで、日本語版も出てきます。

肝心の問題は、パラグラフごとの並べ替えなので、文章の流れと指示語に注意すれば解ける問題でした。

レッスン12:本の移り変わり / 電子書籍の出現と見通し

  • 原題:不明
  • 著者:不明
  • 出題大学:早稲田大学 文学部 2014年 大問5

現在のところ出典不明、TheRulesの出版社である旺文社も著作者を探しているみたいです。

旺文社:権利者を捜しています

出題は早稲田の文学部ですが、文化構想学部でも毎年出題されている形式です。

200~400字の英文を読み、一文で要約する問題。

要約で読解力を測ることができるので、文学部らしい、英語で国語力を測る問題です。

【問題文冒頭】

We are in the middle of a revolution. Not since the invention of typography, or letterpress printing technique, by Johannes Gutenberg in the 15th century have there been so many changes in the way we read.

というわけで、今回は「TheRules4」で出題されている英文の、出題校とその出典元をまとめて紹介しました。

引き続き英語学習頑張っていきましょう!

◆TheRules徹底解説シリーズ

◆受験関連記事

投稿者

GOKO編集室
GOKO編集室
GOKOでは慶應義塾大学に進学したい受験生のために、役立つ情報の発信をおこなっています。こんな記事が読みたいなど、希望がありましたらお問合せページよりご連絡ください。