関正生の英語長文ルールズ4:難易度やレベル、出題大学や英文出典まで徹底レビュー
この記事では、関正生先生の著書「TheRules4」で出題されている英文の、出題大学やその出典元を紹介します。
Webで公開されている記事はリンクから飛べば中身を読むことができます。
TheRules4購入前に、英文のレベルを確認するなどご活用ください。
この記事を読むメリット
- TheRules購入前に収録英文を読むことができる
- 自分の英語力を確認することができる
- 面白かった英文の出典を知ることができる、前後の内容を読むことができる
それでは早速いってみましょう!
TheRules4のレベルと難易度
TheRules4の公式設定レベルは私大難関〜国公立難関となっています。
では、実際に収録されている出題大学と問題数をみてみましょう。
- 東京大学 1題
- 京都大学 2題
- 一橋大学 1題
- 大阪大学 1題
- 名古屋大学 1題
- 慶應義塾大学 3題(経済学部・医学部・商学部)
- 早稲田大学 3題(国際教養・理工学部・文学部)
国立6題、私立(といっても早慶だけですが)6題のバランス。
いずれにしても、東大京大、旧帝大、早慶など、最難関大学志望者向けの長文問題集であると言えます。
- 共通テストは安定して8割超えている
- marchの過去問は合格点が取れてきた
- ルールズ3はやりこんで完璧
こんな受験生にオススメできそうです。
TheRules4の出題大学と語彙数
以下がTheRules4に収録されている問題の概要です。
合計は8,299語です。ルールズ3の合計が8696語なので、語数だけ行けば4<3となってます。
見ての通り、早慶や東大京大、阪大名古屋一橋といった名門大学の過去問から出題されています。
このレベルの大学になると、作問者も気合と意図を込めて問題をつくるので、英文自体が非常に面白くなってきます。
ルールズ4とポラリス3の違い
よく「ルールズ4とポラリス3のどちらを使ったらいいですか?」と聞かれますが、結論として、ルールズ4をオススメします。
大前提どちらも良い長文問題集ですが、ポラリスはテーマや背景知識に重きを置いているのに対して、ルールズは問題の解き方を重視しています。
ルールズほど詳細に解き方を解説した参考書はないので、弊塾ではポラリスよりもルールズを推奨しています。
難易度的には、ルールズ4の方がやや難しいぐらいですが、使い始めるレベルは同じくらいです。
ルールズを使うにしてもポラリスを使うにしても、キチンと精読して何度も音読するのが大事です。
ポラリスがどうしても気になる場合は、ルールズ4と並行して、息抜きにポラリス2を演習したり、
ルールズ4を一通り終わらせてから、ポラリス3へ進むと良いです。
お知らせ
ルールズ4の出題大学と元ネタまとめ
では、その英文の出典は一体どこなのか?
少しの解説も交えながら、一緒に見ていきましょう。
レッスン1:名古屋大学2019年/死がいつ起こるのか定義つけるべき理由
- 原題:Why we need a clear definition of when death occurs
- 著者:ソニー・ダーナニ / SONNY DHANANI
- 出題大学:名古屋大学 2019年度 大問2
カナダ最大の全国紙、グローブ・アンド・メールの2018年の記事が元ネタ。
ネット公開されていますが、メンバー登録しないと本文を読むことはできません。
死とは何か?がテーマの入試問題はかなりありますが、今回はその中でも「脳死」がテーマです。
とはいえ、生きるとは?死ぬとは?みたいな哲学的な話ではなく、書類上の死、医者が判断する死のラインの話です。
【問題文冒頭】
Ontario Superior Court Justice Lucille Shaw released her long overdue decision this week in the case of a young woman pronounced dead in September, 2017, six months after closing arguments ended. Shaw concluded that the woman, 27, is in fact dead, rejecting arguments presented by her family that she was alive and had the right to continuing mechanical life support.
本文を読んでもわからなかった人向けに少しだけ解説すると、
死とは「脳が機能を停止し、元に戻らないと医者が判断した」状態
一旦これだけおさえてつつ「なぜ死を定義しなきゃいけないのか?」を意識しつつ読んでみてください。
レッスン2:慶應経済2020年/漁業と補助金の関係
- 原題:Caught in their own traps? Governments, subsidies, and fish
- 著者:M.T. Nettes
- 出題大学:慶應義塾大学 経済学部 2020年 大問3
大学が出典を明記しているので元ネタは自体はわかるのですが、慶應経済は例年オリジナル英文を出題することで有名ですので、検索しても出典は出てきません。
慶應の図書館検索や国立国会図書館でもリサーチしましたが詳細不明です。
漁師の話なので著者名が「Nettes」(網)の遊び心が入っています。
慶應大学経済学部の2020年度入試、大問3で出題されました。
内容を雑にまとめると「政府の補助金が海洋資源危機の一環だよ」的な話です。
単に経済的な話をするだけではなく、そこから政治的な話や国防の話まで及ぶのが面白ポイントです。
【問題文冒頭】
In every ocean, fish numbers are rapidly declining. Fishing subsidies, usually in the form of financial assistance, are one of the key factors behind this collapse. As far back as 2009, these subsidies were estimated by the Canadian researcher Rashid Sumaila to total about $35 billion globally, and they create incentives for fishermen around the world to increase their catch.
規模的に大きいとは言えない漁業に、なぜ積極的に補助金をばら撒くのは?
そこには、単なる産業を超えた、主権や国の威信が関わってくるという話です。
レッスン3:一橋大学2015年 / 子どもを褒める代わりに一緒にいよう
- 原題:The Examined Life: How We Lose and Find Ourselves
- 著者:スティーヴン・グロシュ / Stephen Grosz
- 出題大学:一橋大学 2015年 前期
精神分析医のスティーヴン・グロスの2013年の著書が元ネタ。
25年間のキャリアと、5万時間以上に及ぶ対話から得られた経験をもとに、人間のさまざまな側面を描くエッセイ集です。
【問題文冒頭】
Nowadays, we praise our children. Praise, self-confidence and academic performance, it is commonly believed, rise and fall together. But current research suggests otherwise — over the past decade, a number of studies on self-esteem have come to the conclusion that praising a child as "clever" may not help her at school. In fact, it might cause her not to try her best.
一橋大学の2015年前期入試で出題されましたが、全く同じ英文が、早稲田大学国際教養学部2020年AO入試の筆記審査で出題されました。
英文は基本同じですが、出題箇所や方法が違うため、早稲田の問題に取り組めば2度美味しい英文です。以下にリンクを貼っておきますので、ぜひ挑戦してみて下さい。
教育業界では「こどもは結果ではなく、過程で褒めるのが大事」という定説があります。しかしそれだけでは終わらず、
- なぜ我々はこどもを褒めようとするのか?
- 褒めることに意味があるのか?
- 結局どうすればいいのか?
など、もう2~3歩踏み込んだ展開になっていきます。
内容に関して、乱暴に要約するなら「こどもは褒めるよりも、一緒にいろ!」です。
よくよく考えれば当然の結論ですが、教育業界に身を置くものとして、非常に面白く読みました。
レッスン4:早稲田国際教養2011年 / 健全な精神は健全な身体に宿る
- 原題:Mens sana in corpore sano
- 著者:エコノミスト / The Economist
- 出題大学:早稲田大学 国際教養学部 2011年
イギリスの経済誌「エコノミスト」の2010年の記事が元ネタ。翌年2011年の早稲田大学国際教養学部の入試に使われました。
元ネタのタイトルは「Mens sana in corpore sano」、ラテン語で「健康な体の健康な心」という意味です。
日本では「健全な精神は健全な身体に宿る」と訳されることが多い有名なフレーズです。
元ネタの冒頭は「企業は従業員の体の健康にコストをかけているが、心理的な幸福にもっと注意を払うようになっている」的な話からスタートします。(出題部分は別)
では、問題文の冒頭を見てみましょう。
【問題文冒頭】
Human intelligence is a puzzle. Although using IQ scores as a measurement of intelligence is controversial, some scientists believe we can use them to argue that intelligence is higher, on average, in some places than in others. And it seems to have been rising in recent decades. Why these two things should be true is also controversial.
冒頭はIQの話で始まりますが、これが国の健康状態とどう関係しているか?という話に展開していきます。
結論は「健康状態の良い国は、IQスコアも高い」です。
不健康だと、本来脳の成長に使われる栄養が別のところに使われてします。言われてみれば納得の理由です。
ただし、注意点もあります。
今言った結論は相関関係であり、因果関係ではないことです。(相関関係と因果関係は、総合政策2017年の小論文のテーマになるなど、慶應ではあるあるのテーマです。)
因果関係
因果関係とは、原因と結果が直接結びついている状態です。
例えば、
- 風邪をひいた→発熱してダルい
- いっぱい寝た→今日は元気
- 勉強を頑張ったから→テストで高得点
このような関係です。
相関関係
一方、相関関係は原因と結果が間接的に結びついている状態です。言い換えれば、原因と結果が直接は結びついていない状態です。
有名な例で「朝ご飯を食べる子は成績が良い」という相関関係があります。
「朝ご飯を食べる子は成績が良い」は一見「真」に見えますが、よく考えれば朝ご飯を食べても頭は良くなるわけではありません。朝ごはんと成績の良さに直接の因果はないのです。
正しくは、
- 朝ご飯を食べる子(それができている子は、規則正しい生活をしている、自分を律することができる、適切な時間に起こしてくれる面倒見の良い親がいる、朝食を食べる経済的余裕がある、十分な睡眠時間が確保されている、といった要因を持っている)
- 学業にキチンと取り組めるor取り組んでいる
- 成績が良い
の関係です。
確かに「朝ご飯を食べる子は成績が良い」のかもしれませんが、途中の因果や要因をすっ飛ばして一般化させてフレーズなのです。
その他の有名な例として
- 犯罪者の98%はパンを食べている。
- パンを日常的に食べて育った子供の約半数は、テストが平均点以下。
- 暴力犯罪の90%は、パンを食べてから24時間以内に起きている。
といったジョークもあります。
朝ご飯を食べてもテストで高得点を取れるわけではありません。
世の中の相関関係詐欺にご注意ください。
国別のIQスコア
最後に、以下が国別IQスコアをまとめた画像です。
IQは人間の一要素でしかありませんが、何となくの傾向はあるので常識として覚えておいてください。
今回の英文でまんま出てきますが、赤が低い地域、紫が高い地域を表しています。
アフリカ大陸は低めで、極東アジア(日中韓)は高めですが、この英文を読んだ後ならその理由がわかるはずです。
レッスン5:京都大学2000年 / 心の仕組み
- 原題:How the Mind Works
- 著者:スティーブン・ピンカー / Steven Arthur Pinke
- 出題大学:京都大学 2000年後期(確認中)
【問題文冒頭】
The gap between robots in imagination and in reality is my starting point, for it shows the first step we must take in knowing ourselves : appreciating the fantastically complex design behind activities of mental life we take for granted.
はっきり言って難しいです。これがサクッと読めたらかなり高い英語力があると思います。
出典は、世界的に著名な認知心理学者、スティーブン ピンカーの1997年の著書から。
確認中ですが、おそらく京都大学の2000年後期入試の英文です。
内容としては、「人間が当たり前だと思っている活動は、実はとんでもない(すごい)ぞ」的な話です。
脳科学やロボット工学の話だと割と定番の話で、竹岡先生の英文熟考をはじめ、英文解釈系の参考書でも頻繁に扱われるテーマです。
スティーブン・ピンカーは大学入試で頻出
スティーブン・ピンカー氏の著書は大学受験頻出で、出典の2000年以外にも、長きに渡りたびたび出題されています。
例を挙げると、
- 2021年 大阪大学 外国語学部 大問2 (出典「The Sense of Style」)
- 2016年 東京大学 大問1B(出典「Why free speech is fundamental」)
- 2015年 上智大学 理工学部 大問2(出典「The language instinct」)
- 2011年 東京大学 大問1A (出典調査中)
- 2009年 早稲田大学 教育学部 大問1(出典「the faculty of language what's special about it」)
- 2003年 明治大学 商学部 大問2 (出典「The language instinct」)
など、様々な著作から出典されています。
全てを読むことは不可能だと思いますが、この手の硬い文章に慣れたければ、上記の他大学の英文を解いてもいいかもしれません。
短いが難しい京都大学の英語
京都大学の英語は、量的には少ないですが骨太な英文が出題されます。
下記は設問になっている後半の英文ですが、これだけでもその片鱗を見ることができます。
実際に和訳問題になっている箇所なので、ぜひトライしてみてください。
【設問3】
I believe that the discovery by computer science of the technical challenges overcome by our everyday mental activity is one of the great revelations of science, an awakening of the imagination comparable to learning that the universe is made up of billions of galaxies or that 30 a drop of pond water is full of microscopic life.
今回出題の京大の英語は、(ほぼ)英文和訳と和文英訳だけで構成されているので、慶應文学部を目指すのであれば、ワンランク上の演習として特に相性が良い大学でもあります。
科学、歴史、美術、人間など、出題テーマも慶應文学部に近いです。
無生物主語の第3文型は受身っぽく訳す
先ほどの和訳問題の解説は、かなり気合が入っており、それ故、読んでも理解できない受験生もいるかもしれません。
そのため、一部のヒントとして「無生物主語の第3文型は受身っぽく訳す」についていくつか例を挙げたいと思います。
"Practice makes perfect."
「練習が 完璧にする」➡︎「練習によって 完璧になる」
"Time heals all wounds."
「時間が 全ての傷を癒す」➡︎「時の経過によって すべての傷が 癒される」
Knowledge conquers fear."
「知識は 恐怖を 克服する」➡︎「知識によって 恐怖は 克服される」
"Time reveals truth."
「時間は 真実を 明らかにする」➡︎「時間が経つことによって 真実は 明らかになる」
上記を頭に入れた上で、改めて解説を熟読してみてください。
レッスン6:大阪大学2020年/容認発音後の英語~現在の英国標準発音
- 原題:English After RP: Standard British Pronunciation Today
- 著者:ジェフ・リンジー / Geoff Lindsey
- 出題大学:大阪大学 2020年 前期 外国語学部
- 文字数:1,372語
1,372語あり、TheRules4で最長の英文です。
2020年の大阪大学外国語学部で出題された問題で、2019年に書かれた本が元ネタです。
現在の標準的なイギリス英語の話し方が、前世紀の上流階級のアクセントであるReceived Pronunciationとどのように変わってきているがを解説した本。
実際に出題された部分は、歴史的な部分のみで、現在の英語発音に関しては軽く触れている程度です。
イギリス標準発音(Received Pronunciation:RP)は容認発音と呼ばれ、イギリス英語を学ぶ人々のモデルになってきた発音です。
しかし、イギリスの社会構造が大きく変わり、上流階層と結びつけて受け止められるRPは、嘲笑の対象にすらなっているとのこと。
標準発音(PR)はむしろイギリス南部標準発音(Standard Southern British accent:SSB)と呼ばれるべきもので、ごく一部の人たちが使ってきた発音で、標準発音とは言い難い!
ざっくりそんな話です。
【問題文冒頭】
Around the beginning of the nineteenth century, something remarkable happened in Great Britain. All over the country, people at the top of society began to change the way they spoke: they began to adopt the speech patterns of the upper classes in the London area.
英文はそこまで難しいわけではありませんが、それなりの量があるため、頭の中で話を整理しながら読む必要があります。
長さ的にはSFC向けの音読教材としてよく、国公立型のバリバリ記述形式は、慶應文学部のトレーニングにはもってこいの設問でした。
レッスン7:慶應医学部2020年/フードロス対策で日本をリードする京都
出題は、泣く子も黙る慶應医学部の2020年度大問1から。
医学部の過去問なので、慶應志望者にとっても見慣れない形式だっと思いますが、医学部はいわゆる国公立に多い記述型の形式です。
- 原題:For Kyoto, a chance to lead Japan in fight against food loss
- 著者:エリック・ジョンストン / Eric Johnston
- 出題大学:慶應義塾大学 医学部 2020 大問1
- 文字数:633語
元ネタは、英字新聞「ジャパンタイムズ」のお偉いさん、エリック・ジョンストン氏の2018年の記事。
著者のエリック・ジョンストン氏は1988年から日本でのキャリアを持ち、20年以上日本と関わりを持っています。
ピッツバーグ大学を卒業後来日してますが、最初は京都で英語の先生をしていました。
【問題文冒頭】
Compared with constitutional revision, the economy, celebrity gossip and pontificating (if not panicking) over geopolitical changes in East Asia and Japan’s role in those changes, Japan’s mainstream media and politicians had, until recently, given environmental issues less attention.
Suddenly, though, the environment is back on the agenda. A record-hot summer and natural disasters in Kansai and western Japan, including the flooding of Kansai airport, drove home the importance of dealing with climate change. But in cities like Kyoto, where international tourism drives large sectors of the local economy, waste and garbage and the environmental challenges it presents are the more immediate, pressing problems.
「For Kyoto, a chance to lead Japan in fight against food loss」 https://www.japantimes.co.jp/news/2018/10/20/national/kyoto-chance-lead-japan-fight-food-loss/
英文の内容は、食品流通における京都市の取り組みを引き合いに出しながら、観光業で栄えてる同市が、環境問題だけでなく食品ロス問題でも規範となるべきであることを説いています。
3分の1ルール
本文中に出てくる「3分の1ルール」とは、「食品の納入期限を賞味期限の3分の1以内」とする流通・小売業界特有の商慣行を指します。
なので、別に京都だけのルールではなく、日本中にある商習慣で、なんなら欧米にも存在します。ただし、欧米の場合は「3分の2ルール」や「2分の1ルール」的な感じで、日本より緩い慣習になっています。
こちらに京都を例にまとめてある記事があったので、内容がよくわからなかった人はご参照ください。
レッスン8:京都大学2001年/夢の持つ意味
- 原題:The Dream Encyclopedia
- 著者:ジェイムズ・R. ルイス / James R Lewis
- 出題大学:京都大学 2001年 大問2
- 字数:403字
元ネタは1995年の本で、書いたのは宗教学や哲学が専門のジェームズ・R. ルイス教授。
教授は中国の武漢大学で教鞭をとっていたみたいですが、残念ながら2022年10月にお亡くなりになったみたいです。
出題の英文部分は、夢がでたらめな理由は多分コレ!落下系の夢を見る理由は多分こう!といった感じの身に覚えのある身近な内容。
元ネタの本は「夢のメカニズム」大百科的な感じですが、夢の持つ意味として、以下のものが紹介されていました。
- 飛行機の夢:人の「上に立つ」力を持っている、あるいは「制約から抜け出したい」という願望
- 落下する夢:失敗した、または生活の中で "落ちた "という感覚
- 乗馬の夢:自分の人生をコントロールしていると感じている
- 動物園の夢:複数のことを片付ける必要がある状況
ご参考まで。
【問題文冒頭】
There are various ways of accounting for dreams. Some claim that they are mysterious experiences in which the soul travels out of the body. Others assert that they are the reflections of hidden desires or socially unacceptable urges. Still others are inclined to think that they do not conceal any deep significance.
Some dreams are little more than traces of recent experiences. If, for instance, we spend the day driving across the country, it would not be unusual to dream about driving down a highway. While such dreams are reasonably straightforward, many others appear disconnected and nonsensical. The fact that most dreams have a surrealistic quality — a quality that causes them to be highly resistant to interpretation — has influenced many people to dismiss dreams as altogether meaningless.
京都大学の過去問ですが、内容も身近で英文はそこまで難しくありません。設問になっている和訳の巧さが合否を分けるポイントになりそうです。
機械的な翻訳ではできない訳が求められますが、そこはTheRulesの解説をよく読んで技術を獲得してください。
レッスン9:慶應商学部2020年/論破はダサい?建設的な議論をするのに大切なこと
- 原題:The Art of Logic:How to Make Sense in a World that Doesn't
- 著者:ユージニア・チェン / Eugenia Cheng
- 出題大学:慶應義塾大学 商学部 2020 大問2
- 文字数:814字
英国の数学者でピアニストのユージニア・チェン氏、その2018年の著書からの出題。
原題は「The Art of Logic:How to Make Sense in a World that Doesn't」
意訳すると「論理の技法:論理的でない世界で筋を通すには」
日常ではロジハラという言葉があるように、論理的であることは、冷たく、共感に乏しく、人間味のない印象を与えます。
しかしこの本では、数学者らしく論理的であることの有用性を解いています。
出題英文をざっくりまとめると、
議論の目的は、相手を論破することではなく、互いが相手を理解すること。建設的な議論には、論理も感情も両方必要。
慶應の問題らしく、選択肢は直接的な表現をしていませんが、以上のことがわかっていれば正しい解答にたどり着けます。
【問題文冒頭】
I want to see more good arguments in which logical and emotional elements fuse together. A good argument is like a well-written mathematical paper, as it has a fully watertight logical proof, but it also has a good explanation in which the ideas are sketched out so that we humans can feel our way through the ideas as well as understand the logic step by step. A good discussion also addresses apparent inconsistencies in which the logic seemingly contradicts our intuition.
「The Art of Logic:How to Make Sense in a World that Doesn't」 by Eugenia Cheng
今回の英文の出題は慶應商学部。
商学部は大問1~3が同程度の長文、大問4~8が短めの問題。90分で大問7~8個を解かなければならないので、頭を切り替えながらサクサク解いていく必要があります。
英文自体はそこまで難しくありませんが、選択肢で振い落としてくる、慶應らしい設問でした。
レッスン10:東京大学2012年/作家と音楽の関係
- 原題:Making An Elephant
- 著者:グレアム・スウィフト / Graham Swift
- 出題大学:東京大学 2012年 第4問
- 字数:357字
東大の2012年の問題ですが、ルールズ4の中で、唯一東京大学の過去問から出題です。
現代英国文学を代表する作家、グレアム・スウィフトのエッセイ集が元ネタ。残念ながら、著者の日本での知名度は低く、翻訳されている著書も少なめです。
英国最高峰の作家さんということで、巧みな英語(受験生的には"読みにくい")表現が多々あります。
元々は2009年に出版されたエッセイですが、ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロ氏へのインタビューの回顧録部分から出題されています。
出題部分にギターのくだりが出てきますが、その後、カズオさんからギター選びのアドバイスがあったみたいです。
カズオ・イシグロとは何者か?
今回の英文に出てくるインタビュー相手のIshは、ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロ氏です。戦後すぐに長崎で生まれた、日系イギリス人。
名前と顔は日本人ぽいですが、歴っとした英国人です。せっかくなのでノーベル賞を受賞した時のご本人の様子を見てみましょう。
日本を離れたのは5歳の時で、日本の事はかつて居た(と言われている)ふるさとのように話されます。
自認されてるナショナリティは間違いなく英国でしょうが、古き良き記憶として日本のことを大切に思っていることも伝わってきます。
代表作は、英国で映画され、日本でも綾瀬はるか主演でテレビドラマ化された「わたしを離さないで」。
プチ解説
今回の英文として難しかったのが、次の部分
原文:though a great many people who've grown up and read books have perhaps felt it.
東大英文:though a great many people who didn't grown up and read books have perhaps felt it.
東大で出題された際には上記のようにわかりやすく変更されていましたが、原文はなんとなく読んでいたら意味を取り違えそうな表現です。
直訳すると「大人になって、そして、本を読んだ人」といった感じで、「子どもの時に本を読まなかった人」と言い換えることができます。
レッスン11:早稲田理工2019年/不安との向き合い方〜脳の個性を才能に変える
- 原題:The Power of Neurodiversity:Unleashing the Advantages of Your Differently Wired Brain
- 著者:トーマス・アームストロング / Thomas Armstrong
- 出題大学:早稲田大学 理工学部 2019年 大問3セクションB
早稲田大学理工の文整序、段落整序問題から出題。
テーマは「不安との向き合い方」ということで、恐怖症やPTSDの対処方が紹介されました。受験にで心が潰されそうな受験生にも効くいい英文です。
出てきたのは、
- 系統的脱感作(Systematic Desensitization)
- マインドフルネス療法
の2つの両方。
系統的脱感作は、関西の人気番組「探偵ナイトスクープ」でもよく使われる、徐々に恐怖対処に慣らしてしく療法。ただし、VRを使うのがこれまでと違う新しい点でした。
マインドフルネスは、意識を集中させるテクニックの一つ。Googleといった世界的IT企業で採用されるなど、情報の多い現代で注目されている技術です。
今回の元ネタは、メディアに出まくりの教育研究、トーマス・アームストロング氏の2011年の著書。
出典は「The Power of Neurodiversity」(神経多様性の力)。発達障がいと呼ばれるこども達に対し、こんな長所や特徴があるんだよ、と教えてくれる本です。
トーマス氏曰く、自閉症はシステム化能力に、ADHDは発想力に、ディスレクシア(読み書きが苦手)は視空間能力に長けていることが多いとか。
反響が大きかったみたいで、日本語版も出てきます。
肝心の問題は、パラグラフごとの並べ替えなので、文章の流れと指示語に注意が必要です。
早稲田の理工を受ける受験生はもちろん、慶應法学部大問5の整序対策にも有効です。
この形式の問題解説は貴重なので、人に解説レベルを目指してやり込んでください。
レッスン12:早稲田文学部2014年/本の移り変わり~電子書籍の出現と見通し
- 原題:不明
- 著者:不明
- 出題大学:早稲田大学 文学部 2014年 大問5
現在のところ出典不明ですが、おそらく早稲田大学オリジナルの英文です。
TheRulesの出版社である旺文社も著作者を探しているみたいです。
出題は早稲田の文学部ですが、文化構想学部でも毎年出題されている形式です。
200~400字の英文を読み、一文で要約する問題。
要約で読解力を測ることができるので、文学部らしい、英語で国語力を測る問題です。
【問題文冒頭】
We are in the middle of a revolution. Not since the invention of typography, or letterpress printing technique, by Johannes Gutenberg in the 15th century have there been so many changes in the way we read.
というわけで、今回は「TheRules4」で出題されている英文の、出題校とその出典元をまとめて紹介しました。
引き続き英語学習頑張っていきましょう!
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