慶應小論文①:各学部の配点から見る受験戦略とよくある質問
この記事では慶應小論文対策として、入試の基本情報と各学部の違いを紹介します。
入試対策を立てる上で前提となる情報や考え方をまとめました。

慶應小論文のあるある質問集
先に、慶應小論文あるある質問の結論だけお伝えします。
詳しくは後述していきますので、気になる方は記事を読み進めてください。
小論文を捨てるのはアリですか?
帰国子女などで英語が非常に得意で突出しているなら、小論文は最低限の対策で合格できるかもしれません。
...が、この質問をしてた生徒で英語がそこまで得意だった例は残念ながらありません。大人しく対策するのがオススメです。
本気で目指しているのなら、毎日数十分の時間を捻出できないことはないと思います。
通学中や休み時間に以下で紹介している入門書を読むことから始めてみましょう。
小論文はノー勉でいけますか?
あなたが1万人に1人ぐらいの非常にセンスのいい人ならノー勉でいけるかもしれません。しかし、多くの受験生にとってノー勉での受験は厳しい戦いになります。
通学中や休み時間の数分間に入門書を読むことから始めてみましょう。
厳しくいえば、日本最難関の大学に合格しようとするにあたり、消極的な姿勢はあまりオススメできません。
...と毎年のように繰り返してもノー勉勢がいるので、そんなノー勉勢のための直前指南書を書きました。
>>>小論文ノー勉の受験生が直前期にできる"現実的"な慶應小論文対策
直前で焦ると精神衛生上も良くないので、なるべく早く対策を始めましょう!
小論文対策いつからすればいいですか?
素直に回答すれば「できるだけ早く」です。
それを言ってはお終いなので、質問の意図を「(小論文の勉強まで全然手が回ってなくて現状全く対策できてないんですが、そんな私は遅くとも)いつぐらいから小論文対策すればいいですか?」だと仮定して回答します。
志望学部や学力にもよりますが、現役生が7~9月頃から対策して間に合うことはあります。
しかし、ギリギリになってはしまうため、推奨はしません。
推奨はしませんが、例えば他2教科が既に合格圏内である場合など、数ヶ月の対策で勝負することは可能です。
小論文に限らず、受験勉強は早ければ早いほど有利です。できるだけ早く対策を始めるのがオススメです。
慶應小論文対策の参考書ルートを教えてください
参考書ルートはこちらにまとめました。
この記事内でも言及していますが、小論文は添削の有無で伸びが多く変わります。
弊塾を含め、学校の先生、家庭教師、予備校の先生などの添削を受けるようにしてください。

慶應小論文の入試基本情報
まずは基本情報をみてみましょう。
2026年度入試をもとに整理していますが、経済学部は2027年より小論文が休止になるので、その点注意してください。
| 学部・方式 | 配点 | 満点 | 配点率 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| 総合政策学部 | 200 | 400 | 50.0% | 120分 |
| 環境情報学部 | 200 | 400 | 50.0% | 120分 |
| 文学部 | 100 | 350 | 28.6% | 90分 |
| 商学部 (論文テスト) | 100 | 400 | 25.0% | 70分 |
| 法学部 | 100 | 450 | 22.2% | 60分 |
| 経済学部 (~2026年) | 70 | 420 | 16.7% | 60分 |
受験計画を立てる大前提の知識として、ぜひ頭の隅に入れておいて下さい。
各学部の小論文配点
では次に、学部ごとの小論の配点をみていきましょう。
| 学部 | 教科/科目 | 配点 | 配点率 | 満点 |
|---|---|---|---|---|
| 経済学部 | 英語 | 200 | 47.62% | 420 |
| 数学or 地歴 | 150 | 35.71% | ||
| 小論文 | 70 | 16.67% | ||
| 商学部 | 英語 | 200 | 50.00% | 400 |
| 地理歴史 | 100 | 25.00% | ||
| 数学or 論文テスト | 100 | 25.00% | ||
| 文学部 | 外国語 | 150 | 42.86% | 350 |
| 地理歴史 | 100 | 28.57% | ||
| 小論文 | 100 | 28.57% | ||
| 法学部 | 英語 | 200 | 44.44% | 450 |
| 地理歴史 | 150 | 33.33% | ||
| 小論文 | 100 | 22.22% | ||
| 総合政策 環境情報 | 選択科目 | 200 | 50.00% | 400 |
| 小論文 | 200 | 50.00% |
わかりやすく小論文の配点率の高い順に抜き出すと、以下の通りです。
【慶應小論文の高配点順】
- 総合政策&環境情報:50.0%
- 文学部:28.6%
- 商学部:25.0%
- 法学部:22.2%
こうしてみると
- 学部ごとに配点が大きく違う
- 総合政策と環境情報以外は配点30%以下
の2点が分かります。
1番配点が低いのが法学部の22.2%、配点が最も高いのがSFC(総合政策&環境情報)の50%です。
各学部の英語の配点
では次に各学部の英語の配点をみていきましょう。
| 学部 | 教科/科目 | 配点 | 配点率 | 満点 |
|---|---|---|---|---|
| 経済学部 | 英語 | 200 | 47.62% | 420 |
| 数学 or 地歴 | 150 | 35.71% | ||
| 小論文 | 70 | 16.67% | ||
| 商学部 | 英語 | 200 | 50.00% | 400 |
| 地理歴史 | 100 | 25.00% | ||
| 数学 or 論文テスト | 100 | 25.00% | ||
| 文学部 | 外国語 | 150 | 42.86% | 350 |
| 地理歴史 | 100 | 28.57% | ||
| 小論文 | 100 | 28.57% | ||
| 法学部 | 英語 | 200 | 44.44% | 450 |
| 地理歴史 | 150 | 33.33% | ||
| 小論文 | 100 | 22.22% | ||
| 総合政策 環境情報 | 選択科目 | 200 | 50.00% | 400 |
| 小論文 | 200 | 50.00% |
より見やすくするために、英語の配点部分だけを抜き出したのが以下です。
| 学部・方式 | 英語の配点 | 満点 | 配点率 |
|---|---|---|---|
| 商学部 | 200 | 400 | 50.0% |
| 総合政策・環境情報 | 200 | 400 | 50.0% |
| 経済学部 (2027年~) | 200 | 400 | 50.0% |
| 法学部 | 200 | 450 | 44.4% |
| 文学部 | 150 | 350 | 42.9% |
意外にも1番低いのが文学部の42.9%、続いて法学部の44.4%、それ以外の学部は50%です。
このように英語の配点が極めて高いことから、英語を制するものが慶應受験を制すると言われています。
英語を制するものが慶應受験を制する
配点から見えてきた通り、慶應入試では残念ながら小論文よりも英語の勉強が優先する必要があります。
まずは英語で戦えるように、以下の記事を参考にして河合塾の偏差値で65以上を目指してください。

小論文の平均点は実はほとんど変わらない
ここからがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。
慶應が公表している受験者平均点を6年分並べてみました。いずれも100点満点です。
| 試験 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 振れ幅 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 文学部 | 54.26 | 55.59 | 52.83 | 52.63 | 55.61 | 55.01 | 2.98 |
| 法学部:法律 | 48.33 | 46.91 | 51.36 | 48.15 | 47.48 | 46.66 | 4.70 |
| 法学部:政治 | 48.28 | 45.98 | 49.23 | 48.01 | 47.32 | 44.14 | 5.09 |
| 商学部:論文 | 65.44 | 74.71 | 57.80 | 64.03 | 57.22 | 62.17 | 17.49 |
文学部の小論文は6年間、52点台から55点台の間に収まっています。振れ幅はわずか3点。法学部も5点程度です。
切り取り方次第で様々な解釈ができますが、難易度が安定しているとも言えるでしょう。
商学部の論文テストだけはブレがあるので、しっかり過去問を解いて対策しておいてください。
慶應小論文と足切り
慶應には小論文を採点するにあたり足切りを設けている学部があります。
明言しているのは法学部と経済学部で、足切りの基準は英語の得点です。
つまり、英語で最低点を取らないと小論文は採点すらされないのです。
以下は、慶應義塾大学2021年度一般選抜得点状況からの抜粋です。

経済学部:A方式65%、B方式60%が目安
経済学部は珍しく数値を公開しています。A方式は英語の一部と数学の一部の合計160点満点、B方式は英語の一部だけの90点満点で判定されます。
なおこの足切りは2027年度以降も続く可能性があります。A方式なら英語と数学の残りの問題、B方式なら英語の残りと地理歴史が、採点の対象から外れわけです。
ただし数学と地理歴史の配点が変わるため、1次選考の満点も変わる可能性があります。以下の表は2026年度までの満点を前提とした参考値として見てください。
| 年度 | A方式(160点満点) | 得点率 | B方式(90点満点) | 得点率 |
|---|---|---|---|---|
| 2021 | 105 | 65.6% | 65 | 72.2% |
| 2022 | 85 | 53.1% | 51 | 56.7% |
| 2023 | 99 | 61.9% | 51 | 56.7% |
| 2024 | 102 | 63.7% | 50 | 55.6% |
| 2025 | 107 | 66.9% | 52 | 57.8% |
| 2026 | 108 | 67.5% | 58 | 64.4% |
| 直近5年平均 | 100.2 | 62.6% | 52.4 | 58.2% |
現実的な目標としては、まずはA方式で65%、B方式で60%を安定して超えられる状態を作ってください。年度によって10ポイント以上動くので、あくまでボーダラインと考えるのが吉です。
過去問を見てもらえればわかりますが、経済学部は前半がマーク式、後半が記述式の入試で、記入欄も異なります。前半大問1~3のマーク問題で足切りをしています。過去問演習では、前半だけを時間を測って解く練習を組み込んでください。
法学部:英語と歴史で250点越えを目指せ?
次に法学部を見てみましょう。
経済学部と違い法学部は足切りの点数が公開されていません。
ただし条件が2つあることは明記されています。ひとつは外国語と地理歴史の合計点(350点満点)。もうひとつは地理歴史単独の得点(150点満点)。いずれもが一定の点数に達した受験生だけが、小論文を採点してもらえます。
見落とされがちなのが2つ目です。英語で高得点を取っても、地歴が基準に届かなければアウトになります。英語頼みの受験生は要注意です。

注意点として、2026年は英語が異常に簡単で、平均点がとんでもないことになっています。例年は100~110点ぐらいです。
目安として受験者平均を見てみましょう。法律学科の数値です。
| 年度 | 英語(200) | 日本史(150) | 世界史(150) |
|---|---|---|---|
| 2025 | 105.34 | 49.02 | 65.60 |
| 2026 | 147.28 | 85.22 | 82.41 |
2025年度と2026年度でこれだけ動きます。英語だけで42点、日本史で36点の差です。
年度差がここまで大きいと、絶対点で目標を置くのは危険です。「350点中で何点」ではなく、「英語も地歴も受験者平均を確実に上回る」を目標にしてください。それができれば、足切りで落ちる心配はまずありません。
合格という意味では、今後、英語と歴史(合計350点中)で250点以上取るが(それなりに厳しいですが)順当合格の基準になりそうな気がしています。
それができれば小論文が並(平均点程度)でも合格できと予想しています。

学部別の方針
小論文対策せずにノー勉で捨てる選択肢はあるか?
この記事冒頭で回答した質問ですが、ここまでを踏まえてもう少し具体的に回答してみましょう。
ここまででわかった通り、学部ごとに回答が変わります。
法学部
既に述べた通り、法学部と経済学部は小論文採点の足切りがあります。そのため、まずは英語と選択科目を優先して下さい。
小論に時間を割くかどうかは残り2教科の成績次第ですが、英語と選択科目を合格点に持っていくだけでもかなり時間がかかります。
そのため、小論対策に時間を割くにしても、勉強時間全体の10%程度が現実的なラインになると思います。
1週間に60時間勉強するなら6時間、1週間に80時間勉強するなら8時時間のイメージです。
文学部とSFC(総合政策/環境情報)
文学部、総合政策、環境情報を志望している受験生は、ノー勉、捨てる選択肢はありません。
文学部とSFCの2学部は配点も高いため、ある程度時間をかけて対策する必要があります。
こちらの参考書ルートを参考にしつつ、実際に書いて先生や講師の添削を受けて下さい。
商学部
過去問を見ればわかりますが、商学部の小論は特殊です。小論というより数的処理、中学受験の算数に近いテストです。
実際入試要項でも「論文テスト」と表記し、商学部の矜持を出しています。

ハッキリ言って小論文とは別物なので、しっかり過去問を解いて対策しておいてください。
既に商学部受験を決めている場合は、世界一わかりやすい慶應の小論文の冒頭にて、商学部の論文テストが詳しく解説されています。
実際の過去問に触れる前に、考え方をインストールしておくとスムーズです。
また、数学受験のA方式と比べて、論文テストのB方式は募集人数1/4とかなり不利な戦いを強いられます。そのことは念頭に置いておいて下さい。

小論文はいつから対策するのがいいか
もちろん早いに越したことはありません。
正論を述べれば受験日から逆算して1年ほど時間かけたいとこです。ただ、英語や地歴に時間を取られることもあると思います。それでも、遅くとも8〜9月からは対策を始めたいとこです。
小論文は、実際に手を動かして書かない限り上達しません。
インプットは隙間時間でできますが、書くにはまとまった時間が必要です。
直前期に他教科を圧迫しないためにも、余裕を持って学習を開始しましょう。
高1~2年は現代文で偏差値60を目指せ
高校1~2年生は本格的な小論文の勉強を始める前に、現代文の偏差値60(河合塾)以上を保つことを目標にして下さい。
慶應の小論文は、堅く長い文章が課題分としてが出題されます。
現代文を文章を素早く正確に読む能力がなければ、そもそも課題分に書いてあることわからず、書いてある意味が分からなければ、適切な主張もできません。
そのため、まずは現代文の偏差値60以上を目標に、正しい読解力を身につけて下さい。早稲田や難関私大では受験科目として求められる力なので、決して無駄にはなりません。
以下で慶應志望生向けの国語の参考書ルートを紹介しています。
高校1~2年生は、まずはここから始めてください。

具体的な小論文勉強法
論理的思考や言語化能力など、小論文で求められる力はさまざまです。しかし、小論文対策として勉強すべきことをざっくり言ってしまえば、
- 書き方
- 背景知識
この2点です。
小学生でも習う記述のルールを守り、主張と理由をセットにした論理的な文章を作る。
主張に説得力を持たせるため、社会や世界の諸問題に対する知識を身につける。
こちらの参考書ルートで具体的な書籍に触れつつ、学習法を紹介しています。
超直前期で余裕がない受験生は、以下の方法を試してみてください。
今回は以上です。
試験直前期に焦らないように、少しずつでもいいので、できるだけ早く準備していきましょう!
\ お知らせ /
*未成年の方は、必ず保護者の許可をとった上でご連絡ください。
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