【2026年最新】慶應義塾大学の入試改革まとめ|2027・2028・2029年度の変更点を学年別に解説

慶應義塾大学の入試改革について、現時点で公表されている変更点をまとめました。

以前この記事では2025年度改革を扱っていましたが、あの改革はすでに2025年度・2026年度の2回にわたって実施され、いまや通常の入試仕様になっています。代わりに動き出しているのが2027年度以降の変更です。しかも慶應の看板学部である経済学部で、四半世紀続いた科目がひとつ消えます。

自分がどの変更に当たるのか、まずは学年から確認してください。

学年別・変更点の早見表

2026年7月時点の学年で整理しました。

受験年度現在の学年変更のある学部内容
2027年度(2027年2月実施)高3経済学部小論文を休止、2教科入試へ
2027年度高3総合政策・環境情報外国語からドイツ語・フランス語が消える
2027年度高3総合政策・環境情報(AO)多言語能力評価を導入
2028年度(2028年4月入学)高2法学部(FIT入試)A方式・B方式を統合
2029年度(2029年2月実施)高1医学部数学に「整数の性質」を追加

一般選抜だけを見るなら、高3は経済学部とSFC、高1は医学部志望者が対象です。高2は一般選抜の変更がなく、FIT入試を考えている人だけが該当します。

それぞれ詳しく見ていきます。

【2027年度・現高3】経済学部の小論文が休止されます

今回いちばん大きな変更です。2024年12月6日に経済学部から発表されました。

何が変わるのか

科目2026年度まで2027年度から
外国語(英語)200点・100分200点・100分
数学(A方式)150点・80分200点・100分
地理歴史(B方式)150点・80分200点・100分
小論文70点・60分なし
満点420点400点

小論文の70点が消え、その分が数学と地理歴史に移りました。配点で50点、試験時間で20分の増加です。A方式は英語と数学、B方式は英語と地理歴史。それぞれ200点ずつの純粋な2教科入試になります。

慶應の発表では「廃止」ではなく「休止」という言葉が使われています。経済学部の小論文は1991年度に一度休止され、1999年度に復活した経緯があるので、この言い回しには意味があると読むべきでしょう。

慶應が挙げた理由

発表文では、小論文で測ろうとしてきた能力は他の科目でも測れると判断した、と説明されています。経済学部の英語と地理歴史では近年、論述問題が一定の割合を占めているためです。

もう一つ、試験科目を絞ることで志願者の精神的負担を軽減できる、という言及もあります。

受験生への影響

出題範囲と基本的な出題方針に変更はないと明記されています。英語・数学・地理歴史の対策方針そのものは変わりません。

変わるのは時間配分です。数学と地理歴史が80分から100分になり、配点も1.33倍。この2科目の重みが一気に増します。英語200点、数学または地理歴史200点で半々ですから、どちらかが崩れたら終わりです。

もう一点、採点の足切りは継続します。A方式は英語の一部と数学の一部、B方式は英語の一部が一定の得点に達した受験生だけが、残りの答案を採点してもらえます。この仕組みは小論文がなくなっても残ります。

理系志望者が併願しやすくなる、という見方も出ています。小論文という心理的なハードルが消えるためです。志願者が増えれば競争は激しくなります。楽になったと考えるのは早計でしょう。

【2027年度・現高3】SFCの外国語が英語だけになります

総合政策学部と環境情報学部で、一般選抜の「外国語」および「外国語および数学」の出題範囲が英語のみになります。2024年4月4日の予告です。

これまでは3つのパターンから試験当日に選べました。

パターン2026年度まで2027年度から
(a)英語のみ英語のみ
(b)英語+ドイツ語廃止
(c)英語+フランス語廃止

もともとドイツ語やフランス語は英語の代わりではなく、英語に上乗せする形でした。そのため「ドイツ語で受験するつもりだったのに」という受験生は、実はそれほど多くないはずです。とはいえ第二外国語を武器にするルートは、一般選抜から完全に閉じます。

消えた分はAO入試へ

代わりに、2027年度のAO入試から多言語能力評価が導入されます。2025年3月3日の発表です。

出願時に「多言語能力評価」を申請すると、一次審査では多言語(ドイツ語またはフランス語)を用いた入学後の構想と、語学の証明書を提出します。証明書はゲーテ・インスティトゥート検定試験、TestDaF、独検、DELF/DALF、仏検、TCFなどで、出願締切日から2年以内に取得したものが対象です。

二次審査の面接では、選択した言語で入学後の構想を口頭で説明します。

慶應は「提出される言語能力試験の証明書のみで判断することはありません」と明記しています。検定を持っているだけでは評価されず、その言語で研究構想を語れるレベルが求められるということです。

ドイツ語やフランス語に強みがある受験生は、一般選抜ではなくAO入試に軸足を移すことになります。

SFCの帰国生・外国人留学生入試も動きます

総合政策・環境情報の帰国生対象入学試験は、2026/2027年度(2026年9月および2027年4月入学)から募集停止です。2025年7月に出願受付が始まった2025/2026年度が最後の実施でした。

外国人留学生対象入学試験も2027年度以降、募集を停止します。

慶應はどちらについても、AO入試または一般選抜での出願を検討するよう案内しています。SFCが総合型選抜に一本化していく流れの一部と見ていいでしょう。

【2028年度・現高2】法学部FIT入試がひとつになります

2025年12月23日、法学部から発表されました。一般選抜には影響しません。

これまでのFIT入試はA方式とB方式に分かれていましたが、2028年度入試から統合され「新FIT入試(仮称)」になります。理由は、両方式を併願する受験者が増えたためです。

出願要件は2つ。調査書の全体の学習成績の状況が3.7以上であること、そして外国語学習を含むさまざまな活動に積極的に取り組んだことです。この書類で第1次選考を行います。

第2次選考は模擬講義および論述試験、総合考査、口頭試問の3つ。いずれもA方式かB方式で使われてきた選考方法を踏襲しています。

実務的に効いてくるのは2点です。調査書の提出が必須になること。そしてB方式にあった地域ブロックがなくなること。ただし南関東(東京・神奈川・埼玉・千葉)以外の地域ブロックの成績優秀者に対する奨学金は継続予定とされています。

詳細は2027年6月上旬頃に公開される募集要項で確認してください。

【2029年度・現高1】医学部の数学に「整数の性質」が入ります

2026年6月12日に発表された、いちばん新しい変更です。

項目変更前変更後
数学A「図形の性質」「場合の数と確率」「図形の性質」「場合の数と確率」「数学と人間の活動」のうち「整数の性質」
数学B「数列」「統計的な推測」変更なし
数学C「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」変更なし

数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・Cという大枠は変わりません。数学Aの範囲に整数の性質が加わるだけです。

慶應は理由として、整数の性質が他の数学分野と密接に関係していること、情報科学の基盤になっていることを挙げています。

範囲がひとつ増えるとはいえ、整数問題は難関大学の頻出テーマです。慶應理工と薬学部はすでに整数の性質を出題範囲に含めているので、医学部だけが例外だった状態が解消されたと見るのが自然でしょう。東大や京大の医学部を併願する層にとっては、むしろ対策が揃って楽になる面もあります。

すでに実施済みの変更点(2025年度改革のおさらい)

ここからは2025年度入試から始まり、現在も続いている仕様です。過去問を解く際、2024年度以前のものは形式が違う点に気をつけてください。

文学部:英語外部試験が使えます

外国語の選択科目に「英語(外部試験利用)」が新設され、中国語が廃止されました。

英検CSE総合スコア2500以上(受験級と合否は問わない)が条件です。これを選ぶと外部試験の得点が外国語の得点に換算され、試験当日は小論文と地理歴史の2時限だけの受験になります。

スコア2500は、英検2級ならほぼ満点、準1級なら余裕を持った合格、1級ならぎりぎりの合格に相当します。準1級満点クラスや帰国生と同じ土俵で戦うことになるため、一般的な受験生には従来形式をおすすめします。

法学部:地理歴史が150点になりました

配点が100点から150点、試験時間が60分から90分へ。マークシートのほかに記述式が導入されました。同時に「論述力」が「小論文」に名称変更され、こちらは90分から60分に短縮されています。

英語の配点比率が相対的に下がったため、英語で稼いで他は平均点プラスαという戦い方は通用しにくくなりました。

記述問題は250〜300字程度。日本史選択なら「考える日本史論述」「日本史の論点」、世界史選択なら「判る!解ける!書ける!世界史論述」「世界史論述練習帳」あたりで対策できます。通史が終わってから取り組んでください。

SFC:情報だけの受験ができなくなりました

「情報+小論文」の2教科受験が廃止され、情報を選ぶ場合は数学とセットの「情報および数学」になりました。

数学をまったく使わずに済む選択肢は、現在は外国語受験だけです。

環境情報:数学単独選択に数Ⅲ・数Cが入りました

これは総合政策との差が生まれた変更です。

学部・選択出題範囲
総合政策・数学数Ⅰ、数Ⅱ、数A、数B
環境情報・数学数Ⅰ、数Ⅱ、数Ⅲ、数A、数B、数C
環境情報・外国語および数学数Ⅲ・数Cを除く
環境情報・情報および数学数Ⅲ・数Cを除く

環境情報の数学単独選択だけが理系範囲まで踏み込みます。実際、2026年度の環境情報では複素数平面が大問1つ分まるごと出題されました。同じ年の総合政策には該当する出題がありません。

長く双子の学部として同じ形式を保ってきたことを思うと、思い切った改革です。総合政策の文系化、環境情報の理系化と言っていいでしょう。

薬学部:数Ⅲ・数Cが必要になりました

理系には珍しく数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bだけで受験できた薬学部ですが、数Ⅲ・数Cまで範囲に入りました。

医学部:試験日が2月9日になりました

2024年度までは2月19日でしたが、2025年度から2月9日に移動しています。2026年度も2月9日でした。医学部志望者の併願戦略に効いてくる変更です。

なお2026年度からは栃木県地域枠が新設され、1名が募集されています。

経済学部・商学部:歴史総合の扱いが分かれました

経済学部は歴史総合が出題範囲に入り、日本史の範囲が1600年以降から1500年以降に広がりました。ただし実際に戦国時代が問われるかは微妙なところで、実質的な変化は小さいと見ています。

商学部の日本史・世界史には歴史総合が含まれません。どちらか一方に集中できる分、受験生には助かる仕様です。

まとめ

改めて整理します。

高3で経済学部を志望している人は、小論文対策が不要になりました。その時間を英語と数学、または地理歴史に回してください。ただし他学部を併願するなら、文学部・法学部・商学部B方式・SFCでは小論文や論文テストが依然として課されます。

高3でSFCを志望していて、ドイツ語やフランス語に強みがある人は、AO入試を検討する価値があります。

高2で法学部のFIT入試を考えているなら、調査書の成績が3.7以上という要件を早めに確認してください。今から間に合う話です。

高1で医学部を目指すなら、整数問題を早いうちから触れておきましょう。

そして全学年に共通して言えるのは、慶應は毎年のように入試の仕様を動かしているということです。この記事も定期的に更新していきますが、出願前には必ず受験年度の一般選抜要項で確認してください。2027年度の要項は2026年11月上旬に公開される予定です。

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GOKO編集室
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