慶應受験の影響は?社会新科目"歴史総合"と"公共"対策のため勉強法と参考書ルート

2025年度から大学入学の社会の新科目として、歴史総合と公共が導入されます。この記事では、それぞれの科目における現状とオススメの対策や参考書を紹介します。

結論としては以下の通りです。

<この記事のまとめ>

  • 「歴史総合」は日本史と世界史の近現代ミックス教科
  • 「公共」は政治経済と倫理を足して薄めた教科
  • 歴史は、最低限の「歴史総合」対策 + 従来の歴史科目対策をする
  • 公民は、最低限の「公共」対策 + 従来の公民科目対策をする
  • ほとんどの浪人生は「歴史総合」「公共」の対策必要ナシ
  • 慶應文系受験生は「歴史総合」対策を念の為する
  • 慶應受験で「公民」は使えない➡️日本史探究or世界史探究がメイン

それでは、それぞれ細かくみていきましょう!

まず、単純に学習範囲が増えます

後述しますが、日本史選択者は世界史の近現代を、世界史選択者は日本史の近現代を学習する必要があります。

同様に、倫理選択者は政治経済の一部を、政治経済選択者は倫理の一部を学習する必要があります。

そのほかに2つの問題点があります。

問題点①:過去問がない

かつて歴史総合や公共が出題されたことも、受験した人もいません。

過去問を使った対策をしようにも、過去問そのものがありません。

共通テストのサンプル問題はありますが、慶應をはじめ難関大学でどのレベルが出題されるかは未知数です。

予想としては、20~25%が配点になるのではないかと思っています。

サンプル問題はこちらからご覧ください>>共通テスト歴史総合サンプル問題

問題点②:参考書が充実していない

過去問がないため、予備校や講師も対策が後手に回ります。

そのため現状、決定版といえる参考書がありません。

新科目に対応している(ベストではなく)ベターな新しい参考書を使うなど、新旧の参考書を組み合わせて使う必要があります。

前述の理由に加え、以下2点の予測ができます。

  • 初年度から挑戦的な出題はしづらい
  • 各出版社が2024年度中に新課程対応の参考書を随時出版する

以上諸々を考慮して、現状の結論は新科目対策は最低限に抑え、以前の歴史や公民の学習方法を継続する」を基本方針としています。

あくまで最低限なので、それなりに学習はします。詳細は後ほど紹介します。

<基本方針の結論>

歴史:最低限の「歴史総合」対策 + 従来の歴史科目対策

公民:最低限の「公共」対策 + 従来の公民科目対策

大事なことなのでもう一度いいます。

歴史総合と公共の大学受験対策は最低限に抑えて、既存の学習を優先してください。

この後の話は、以上を考慮した現状ベストと思われる学習方法です。

状況が変化したら随時更新していきます。

旧課程で学んできた浪人生・高卒生に関して、基本的には特別な対応は不要です。

早稲田大学や明治大学をはじめとして、多くの難関大学が旧課程のまま受験をできるように対応してくれています。

なんなら、河合塾の模試も旧課程対応です。

そのため、既存の参考書やルートで対応できます。

唯一、慶應だけが微妙な態度をとっていますが、おそらく無茶な設問はしてこないと予想されます。

ここでは慶應専門塾として、慶應と新科目の関係を説明しておきます。

慶應義塾大学は既に2025年の方針を発表しており、旧課程受験に対しては「考慮はするが措置は取らない」という微妙な表現をしています。

各学部の変化は以下の通りです。

法学部、経済学部、文学は、従来の日本史or世界史に含めて歴史総合を出題範囲としています。

一方、文系では商学部のみ「日本史探究」or「世界史探究」を出題範囲としています。つまり、歴史総合を出題範囲としていません。

*各学部の変更点について詳しく知りたい方はこちらを記事をご覧ください▶️慶應義塾大学2025年一般入試改革について現時点でわかっていること

理系学部、SFCの総合政策と環境情報は、元より歴史科目がないので変化なしです。

なお、倫理政治経済といった公民科目で受験できる慶應の学部はありません。

結論:法学部・経済学部・文学部を受験するなら、念の為、歴史総合も勉強しよう

慶應経済は特に歴史総合に注意

「考慮はするが措置は取らない」と言っている以上、設問や選択肢に入ってくる可能性はありますが、極力合否には影響ない作問になるよ予想しています(出題されてないとは言っていない)。

ただし、慶應経済は特に注意が必要です。慶應経済の出題範囲は1,500年以降のみで、歴史相互の範囲と完全に被っています

「慶應義塾大学 2025年度以降の『一般選抜』について」より

経済学部の場合、仮に歴史総合の問題が出題されても文句は言え範囲設定なので、経済学部志望の受験生は、積極的に歴史総合対策を行なってください。

結論:法学部・経済学部・文学部を受験するなら、念の為、歴史総合も勉強しよう。特に経済学部。

歴史総合だけを学べる参考書・問題集

各出版社の努力もあり、歴史総合に対応した参考書も続々出てきました(共通テストのサンプル問題を入れただけの問題集も多いですが...)。

しかし「歴史総合+日本史探究or世界史探究」の教材が多く、浪人生や再受験生が"受験レベルの歴史総合"だけを学ぶには向きません。

噛み砕いた講義系参考書に慣れた受験生にはオススメしづらいですが、山川出版の教科書と問題集が現状の最適な対策です。

要点チェックの中身はこんな感じです。

Screenshot

慶應志望で、念の為歴史総合を学習したい受験生は一度検討してみてください。

より良い参考書が出たら、改めて紹介いたします。

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歴史総合は、世界史と日本史の近現代を統合した科目です。

ここでは、新高校2年生(2026年受験)と新高校3年生(2025年受験)の2つに分けて紹介します。

新高校2年生(2026年受験)の歴史総合対策

現在学校で勉強しているはずなので、まずは歴史総合から始めてください。

授業で使用している教科書があるはずなので、それをインプット教材としつつ「歴史総合、日本史/世界史探究の点数が面白いほどとれる本」に着手してください。

非常にボリュームのある本ですが、1冊で歴史総合と日本史/世界史をカバーできます。問題演習も付いているので、追加の問題集も一旦無しで大丈夫です。

プラスアルファで歴史総合の問題演習がしたい場合は、共通テストの模試や予想問題集を使うのがオススメですが、2025年1月の共通テストまで待って、それを演習問題として使うのが良さそうです。

間違っても1周だけして終わりにしないでください。

まずは10周を目標にして、9割以上知識が定着してきたら、この後紹介する日本史探究か世界史探究の学習へ進んでください。

新高校3年生(2025年受験)の歴史総合対策

受験学年の現役生は残念ながら歴史総合にじっくり向き合う余裕はありません。

  • 歴史総合の参考書が充実していない
  • 初年度で各大学も慎重になる可能性がある
  • 初年度で受験生の差がつきにくい

以上の理由で、今すぐ日本史探求と世界史探究の学習をスタートしてください。

日本史探求と世界史探究がある程度形になってきたのち、歴史総合を始めましょう。

以下は、慶應や早稲田を目標として歴史科目参考書ルートです。

日本史探究対策は、旧課程の日本史と変わりません。

「金谷の日本史」を読みながら、「時代と流れで覚える! 日本史B用語」の同じ箇所を覚えてください。

10周でも20周でもいいので、「時代と流れで覚える日本史」を9割以上答えられるようにしてください。

現役生なら遅くとも夏休み前にこのレベルを目指してください。(浪人生はさらになるべく早く)

「時代と流れで覚える日本史」を9割以上覚えられたら次のレベルとして「ヒストリア日本史精選問題集」をやります。

672ページと圧巻の分厚さですが、その分、解説が充実しています。

「ヒストリア日本史精選問題集」9割正解を当面の目標として、後は残り時間と相談です。

既に8月に入っていたら過去問演習へ、まだ7月で夏休みに日本史に割く時間に余裕があれば「日本史標準問題精講」までやってください。

過去問は分厚い問題集みたいなもので、真面目に向き合えば相当の時間を要します

1回解いて終わり、のような使い方は厳禁です!そのため、新規参考書を追加する期限を夏休みとします。

以上が日本史探究の対策です。

日本史探究対策は、旧課程の世界史と変わりません。そして、インプット教材は異なりますが、問題集は日本史と同じシリーズです。

まずは「茂木誠の 世界史Bが面白いほどわかる本」を読みながら、「時代と流れで覚える! 世界史B用語」の同じ箇所を覚えてください。

10周でも20周でもいいので、「時代と流れで覚える世界史」を9割以上答えられるようにしてください。

現役生なら遅くとも夏休み前にこのレベルを目指してください。

「時代と流れで覚える世界史」を9割以上覚えたら、次のレベルとして「ヒストリア世界史精選問題集」をやります。

600ページ以上で圧巻の分厚さですが、その分、解説が充実しています。

「ヒストリア世界史精選問題集」を9割を当面の目標として、後は残り時間と相談です。

既に8月に入っていたら過去問演習へ、まだ7月で夏休みに日本史に割く時間に余裕があれば「世界史標準問題精講」までやってください。

過去問は分厚い問題集みたいなもので、真面目に向き合えば相当の時間を要します

1回解いて終わり、のような使い方は厳禁です!そのため、新規参考書を追加する期限を夏休みとします。

以上が世界史探究の対策です。

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詳しくはこちらから▶︎GOKOについて

公共をざっくり言ってしまえば、旧課程の「現代社会」に似ています。現代社会は、政治・経済・倫理を足して薄めたような科目です。

微妙に違う部分もありますが、まずはそう認識して大丈夫です。

倫理政治経済は、そもそも公民選択の絶対数が少ないため、日本史世界史以上に出版社の対応が後手に回る可能性があります。

倫理と政治経済どっちを選んだらいいの?

結論から言えば、政治経済がオススメです。

理由は、政治経済の方が公共との被りが多いからです。ざっくりですが、公共の3/4が政治経済分野、1/4が倫理分野です。そのため、倫理選択者は結局公共で政治経済を学ばなければなりません

過去の選択者目線で変化をまとめると以下の通りです。

過去の各教科選択者目線の変化

×現代社会→中身はほぼ新教科「公共」だが、公共のみで受験できる大学はほぼなく、入試科目としては不適

×倫理→政治経済分野をかなり覚えなければならず、ほぼ倫理政治経済選択と同じになる。オススメしづらい。

○政治経済→倫理分野を少し覚えればOK

以上と受験可能大学を考えると、考慮すると、公民の選択は基本は公共+政治経済選択になります。

よほど好きではない限り、倫理はオススメできません。

そのうち公共+政治経済、公共+倫理の教材も充実すると思いますが、現状は微妙です。

そのため、政治経済→公共、倫理→公共の順番に勉強してください。

方針:教材の充実している倫理or政治経済→公共の順で勉強する

公共+政治経済は、共通テストまでと次第対策の2パターンに分けて紹介します。

共通テストまでの公共+政治経済

共通テストや偏差値55程度までの大学を目指す場合は、「大学入学共通テスト 公共、政治・経済の点数が面白いほどとれる本」でインプットしてください。

2~3周して慣れてきたら、過去問演習を積みましょう。

政治経済だけなら「蔭山の共通テスト政治・経済」がオススメですが、公共をカバーできていないため次点としています。

レイアウト的に一番オススメは「蔭山の共通テスト」です。

2冊にはなってしまいますが、本屋で実際に手をって検討してみてください。

早稲田・明治・青学:私大入試で8割以上取る政治経済対策

早稲田大学やGMARCH群で高得点を目指す場合は、「 蔭山克秀の 政治・経済が面白いほどわかる本 5訂版」でインプットして、「政治経済標準問題精講」の同範囲を演習してください。

政治経済は日本史や世界史と比べると圧倒的に学習範囲が少ないので、夏休み前までに「政治経済標準問題精講」を2~3周して、後は1日5章を目標に回してください。

全80章なので、16日で1周できる計算です。

標問に飽きてきたら、適宜過去問を解いて、知識が定着してるか確認してください。

早稲田の過去問を解いて、計算問題や記述問題対策が必要だと感じたら、残り時間をよく考えて「政治・経済計算&論述特訓問題集」のプラスを検討してください。

政治経済といえば畠山ルートもあるが。。。

ちなみに、政治経済といえば「畠山のスパっとわかる」ルートもあります。どちらを選ぶかは好みの世界です。

畠山先生の著書は文字情報に圧倒される受験生もいるので、より万人に使いやすい蔭山+標準問題ルートを推しています。

倫理は私大入試で使うことは稀のため、共通テスト対策だけ紹介します。

共通テストまでの公共+倫理

倫理は「 蔭山の共通テスト倫理 改訂版」でインプットして、「マーク式基礎問題集 倫理」の同じ範囲を演習してください。

レイアウト的に一番オススメは「蔭山の共通テスト」です。

2冊にはなってしまいますので、本屋で実際に手をってどちらがいいか検討してみてください。

インプットが終わったら、過去問を使って演習を積みましょう。

倫理は人を覚える科目

思想家の名前と考え方を大量に覚える必要があります。ただ、倫理は人にフォーカスしている分、参考書以外の教材が充実しています。

完全初学で苦労する人は以下の書籍、あるいはドキュメンタリーなどで、キャラ付けしながら"推し"の思想家を見つけてください!

<この記事のまとめ>

  • 「歴史総合」は日本史と世界史の近現代ミックス教科
  • 「公共」は政治経済と倫理を足して薄めた教科
  • 歴史は、最低限の「歴史総合」対策 + 従来の歴史科目対策をする
  • 公民は、最低限の「公共」対策 + 従来の公民科目対策をする
  • ほとんどの浪人生は「歴史総合」「公共」の対策必要ナシ
  • 慶應文系受験生は「歴史総合」対策も一応する
  • 慶應受験で「公民」は使えない→日本史探究or世界史探究がメイン

既に述べた通り、歴史総合や公共は決定版と言える参考書が登場していません。

現在紹介しているのは、その中でベストと思われる選択です。

状況が変化し次第、情報はアップデートしていきます。

現状を嘆くのは簡単ですが、受験日はやってきます。与えられた選択肢の中で、毎日ベストを尽くしていきましょう

日々の努力は裏切りません。頑張れ受験生!!

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