慶應経済2025年英語:解答解説と全文和訳 / ダム建設と地熱発電

2025年2月13日に行われた、慶應義塾大学経済学部一般選抜の英語の入試問題に関して解説しています。

慶應経済2024年の概観

慶應経済では、例年1~2個のテーマに対して、大問の枠を超えて議論させています。

英文自体は難易度は慶應の中では標準ですが、100分で処理するには分量が多いです、時間との戦いになる学部です。

2025年はダム建設とエネルギー政策がテーマでした。

出典英文は、例年通り慶應経済オリジナルの英文だと思われます。その意味で、どんな学生が欲しいか、明確な指針とメッセージを発しています。

なお、大問5の自由英作文で直接引用ではなく、言い換えが求められるようになった点を除き、2024年から形式の変更はほぼありませんでした。

大問1:ダムを造ろう

  • 題名:ダムを造ろう / Just Dam It: Engineering a Greener Society
  • 著者:イゴール・ビーバー / Igor Beever (2020)
  • 語数:750語程度

題名の「Just Dam It」はナイキでも有名な「just do it」=「とにかくやってみよう」ということで、「とにかくダムを造ろう」ということでしょう。

著者名の「Beever」はダムを作る動物「Beaver=ビーバー」でしょうが、邪推すれば「ignore Beaver」=「ビーバーを無視しろ」かもしれません。

【問題文冒頭】

In the twentieth century, dams became top targets of criticism for environmental groups. To list their complaints: dams are too expensive, they harm wetland habitats and aquatic wildlife, displace people, and increase emissions.

かつて環境保護団体から批判されていたダムが、気候変動対策や再生可能エネルギー源として再び注目されていることが述べられています。

ダムは、灌漑、洪水防止、クリーンエネルギー供給など、様々な面で人類の発展に貢献してきました。特に、揚水式水力発電は、太陽光発電や風力発電の欠点を補うことができるため、今後の活用が期待されています。

大問1:解答

2023年の設問数は7でしたが、2024年は11問へ増えました。

問題解答
12
22
32
43
53
問題解答
6,7,83,2,5
92
101
111

大問1:解説

[2]

  1. climatic (気候の)
  2. human-made (人工的な)
  3. inefficient (非効率な)
  4. organic (有機的な)

[3] 2. be it (〜であろうと)

be it A or B 「たとえ AであろうとBであろうと」

[4]

  1. dams preceded the development of ancient agriculture
    (ダムは古代農業の発展に先行した)
  2. dams were jointly developed by ancient societies throughout the world
    (ダムは世界中の古代社会によって共同で開発された):
  3. the history and development of human society has been strongly connected to dams
    (人類の歴史と発展はダムと深く結びついてきた)
  4. the rise and fall of ancient civilizations may be attributed to dam building and their failure
    (古代文明の盛衰はダム建設とその失敗に起因する可能性がある)

[5]

  1. Dam numbers correspond only with the growth of developing regions.
    (ダムの数は発展途上地域の成長のみに対応している。)
  2. Dam numbers correspond only with the growth of large economies.
    (ダムの数は大経済の成長のみに対応している。)
  3. Dam numbers correspond with countries' economic development.
    (ダムの数は国の経済発展と対応している。)
  4. Dam numbers do not correspond with the economic growth of developing countries.
    (ダムの数は発展途上国の経済成長に対応していない。)

[6] 〜[8]

  1. circulates (循環する)
  2. converts (変換する)
  3. drives (駆動する)
  4. makes (作る)
  5. powers (動力を与える)

[9]

  1. corporate (企業の)
  2. economic (経済的な)
  3. grassroots (草の根の)
  4. political (政治的な)

大問1:英文全文和訳

英文の大意としては、以下の通りです。

ダムを造ろう:より環境に優しい社会を築く イゴール・ビーバー (2020)

20世紀、ダムは環境保護団体の批判の的となりました。彼らの不満を列挙すると、ダムは費用がかかりすぎ、湿地や水生生物の生息地を破壊し、人々を移住させ、排出量を増加させます。過激派にとって、ダムは地球の重要な運営システムのバランスを著しく損ない、文明、人類、そして私たちが知っている地球上の生命さえも危険にさらします。しかし、これらの視点は、これらの資源生産技術の恩恵から人々の目をそらしてきました。

今日、ダムはルネサンス期を迎えています。これは、環境に対する文明の無視と、干ばつや洪水などの異常気象の増加に危機感を抱いている、まさにこれらの環境保護団体によって推進されています。このような状況下では、ダム建設は国の水と食料の安全保障にとって不可欠です。ダムは人々を洪水や地滑りから守り、最も古く、最も安定したクリーンエネルギー源の一つです。要するに、ダムは人間が引き起こした気候変動の惨害に対する人為的な解決策なのです。

ダムは、河川や川の流れを遮断し、貯水池と呼ばれる人工湖を作る障壁です。ダムはまた、水位と流量を調整することで灌漑を改善します。歴史的に、これらの貯水池は、乾季に水が不足していた多くの初期都市の成長に不可欠でした。古代メソポタミア、古代インド、中国、ギリシャ、ローマなど、主要な古代文明について考えてみましょう。すべて、農業用水を導き、大規模な洪水を防ぐための独自の広範な灌漑システムを持っていました。東アジアと東南アジア全体では、何千年にもわたるダム建設の影響を、何億人もの人々を養い続けている段々畑の素晴らしいネットワークに見ることができます。このように、人類の歴史と発展はダムと深く結びついてきたのです。

ダムの重要性は今日の世界中で続いており、大規模な経済を持つ国々が多数のダムを抱えていることからも明らかです。世界には推定20万基のダムがあり、中国が最も多く(23,841基)、次いで米国(9,263基)、インド(4,407基)、日本(3,121基)、ブラジル(1,365基)となっています。一方、東南アジア、ラテンアメリカ、東アフリカなどの経済発展途上地域には比較的ダムが少ない。それにもかかわらず、世界で経済的に実行可能なダムサイトの3分の2は未使用のままであり、そのほとんどはこれらの地域にあると推定されています。したがって、これらの地域ではエネルギー、水、食料のニーズがすべて成長すると予想されるため、ダムの需要は継続する可能性があります。ダムの数は国の経済発展と対応しています。

ダムへの関心が再び高まっているのは、ダムがクリーンな再生可能エネルギーを提供できるからです。水力発電は、ダムを流れる自然な水の流れを利用してタービンを回転させます。タービンは発電機を駆動し、発電機は機械エネルギーを私たちの家庭に電力を供給する電気エネルギーに変換します。水力発電は最も広く利用されている再生可能エネルギーであり、2019年の時点で、世界の総発電量の18%以上を占めていました。水力発電は、ダムや貯水池を作るのに最も経済的な環境である、降雨量が多く、丘陵地帯や山岳地帯に好ましいエネルギー源です。

残念ながら、近年、水力発電は再生可能エネルギーとして見過ごされてきました。風力発電や太陽光発電などの他の再生可能エネルギープロジェクトは、主に経済的な魅力から、より多く導入されています。風力発電や太陽光発電は政治的に議論の余地があり、企業や一般の人々の反対も多いものの、石炭などの化石燃料の半分の費用で発電することができます。しかし、風力発電と太陽光発電の欠点は、エネルギー源が間欠的であることです。風力タービンは空気の流れが必要であり、太陽光パネルはせいぜい日中しか発電できない。

ダムは、揚水式水力発電を提供するために建設される可能性があるため、これらの問題に対する最良の解決策となる。揚水式水力発電は、ダムを水の電池に変える。近隣の発電所から生成された電力が需要を超えると、水が上部の貯水池を満たすために汲み上げられ、バッテリーとして機能する。その後、電力需要が急増すると、水がタービンを通って再び放出され、電力を生成する。水の電池は、太陽エネルギーと並行して特にうまく機能する。日中に供給された余剰エネルギーは、日没後に利用できるからである。

地球規模の気候変動が、ある地域では干ばつを引き起こし、別の地域では過剰な洪水を引き起こすなど、予測不可能な気象パターンを生み出しているため、水路の適切な管理がますます重要になっている。単にダムを多く建設するだけでは、完全な解決策にはならない。しかし、起こりうる環境への影響を適切に考慮した、より良く、より多様な種類のダムによって、私たちは様々な人間のニーズに合わせて、重要な水資源を最大限に活用することができる。

大問2:未来をダメにするダム

  • 題名:未来をせき止める:過剰ダムの落とし穴
    Damming Our Future: The Pitfalls of Overengineering Waterways
  • 著者:N. D. ウォールズ / N. D. Walls (2023)
  • 語数:860語程度

大問1がダム賛成派の意見だったので、大問2はダム反対派の意見です。

大規模ダム建設は、宣伝されているほどの恩恵をもたらすものではなく、むしろ多くの問題を引き起こす。ダム建設は人間の傲慢さの表れであり、持続可能な社会の実現のためには、ダムに依存しないエネルギー政策への転換が必要である。

といった内容です。

【問題文冒頭】

Large-scale mega dam projects are underway along the world's most majestic rivers including the Amazon, the Mekong, and the Nile. These large-scale dams are celebrated for their potential to produce green energy, mitigate droughts, and eliminate poverty, just as they are praised as monuments to the brilliance of human engineering.

大問2:解答

問題解答
122
134
143
151
162
173
問題解答
183
193
202
212
222
231
アメリカのフーバーダム

大問2:解説

[12] 解答: 2. It's about time

解説:Paragraph 1では、大規模ダムプロジェクトが称賛される一方で、多くの土地を水没させ、人々を立ち退かせている事実が述べられています。[12]の直前では、「ダムは人間の傲慢さの証として正当に見なされてきた」とあります。

  1. Isn't there time (時間がないのではないか)
  2. It's about time (いい加減に~するべき時だ)
  3. It's not yet time (まだ~する時ではない)
  4. Weren't it time (~する時ではないか)

[13]  解答: 4. The resources provided by the Hoover Dam may eventually decline, causing harm to people.

解説:段落2の要旨として、フーバーダムは、ラスベガスなどの発展に貢献した一方で、野生生物の生息地や漁業に悪影響を与え、建設作業員も犠牲になったことが述べられています。現在、多くの人々がダムの電力と水に依存しており、気候変動によって貯水量が減少する可能性があることが示唆されています。

  1. Building the Hoover Dam has cost more lives than it has saved.
    (フーバーダム建設は救った命よりも多くの命を犠牲にした)
  2. The benefits of the Hoover Dam to society outweigh its drawbacks to the environment.
    (フーバーダムの社会への利益は環境への欠点を上回る)
  3. The negative effects of the Hoover Dam were limited to its early years.
    (フーバーダムの負の影響は初期に限られていた)
  4. The resources provided by the Hoover Dam may eventually decline, causing harm to people.
    (フーバーダムが提供する資源は最終的に減少し、人々に害を及ぼす可能性がある)

[14]  解答: 3. with no assurances that

段落3では、ダムの潜在的な危険性(決壊や地震誘発の可能性)と、維持費の増大について述べられ、ダムの維持管理が適切に行われる保証がない状況で資金提供するのは無責任であるという文脈に合致します。

  1. as long as it is guaranteed that (~が保証されている限り)
  2. whenever it is shown that (~が示されるときはいつでも)
  3. with no assurances that (~という保証なしに):
  4. without ample support for (~に対する十分な支援なしに)

[15] 〜[17]

  1. get along (うまくやっていく、共謀する)
  2. make up (言い訳をする、でっちあげる)
  3. pay off (報われる、賄賂を贈る)
  4. push out (押し出す、追い出す)
  5. take off (離陸する、急増する)

[18]  解答: 3. the loss of heritage and culture of displaced people

解説:三峡ダム建設によって130万人が移住を余儀なくされ、多くの遺跡が水没したことが述べられ、ダムの移転によって、コミュニティの文化が失われることは避けられないと述べられています。

  1. the economic costs to relocate people
    (人々の移住にかかる経済的コスト)
  2. the efforts of residents to hold onto their communities
    (地域社会にしがみ付こうとする住民の努力)
  3. the loss of heritage and culture of displaced people
    (移住者の遺産と文化の喪失)
  4. the massive expenditures needed to preserve archaeological remains
    (考古学的遺物を保存するために必要な莫大な費用)

[19]  解答: 3. the largest, but least talked-about issue

解説:「elephant in the room」は、「誰もが気付いているのに、誰も口に出したがらない大きな問題」を指すイディオムです。段落6では、ダムの負の環境影響について言及されていますが、人々がこの問題を避けていることが示唆されています。

  1. the biggest and most discussed concern
    (最大で最も議論されている懸念)
  2. the heaviest, but least disputed subject
    (最も重いが、最も議論の余地のない主題)
  3. the largest, but least talked-about issue
    (最大だが、最も話題にされていない問題)
  4. the noisiest and cutest topic
    (最も騒々しくてかわいい話題)

[20]  解答: 2. is not immediately obvious

解説: 段落7では、ダムが年間で人間が引き起こす気候変動の約4%を占めることが述べられ、[20]の直前では、この特徴が研究者にとっても「すぐにはわからない」ものであると述べられています。

  1. cries out for silence (沈黙を求めている)
  2. is not immediately obvious (すぐにはわからない):
  3. is widely known (広く知られている)
  4. remains hidden (隠されたままである)
    悩ましい選択肢ですが「すぐにはわからない」というニュアンスがより適切。

[21]  

段落8では、ダムの支持者が小規模ダムの効率性をアピールする一方で、巨大ダムの建設が続いていることが述べられています。[21]の直前では、過去10年間で、いくつかの政府が不要なダムの撤去を建設ペースよりも速いペースで開始したことが述べられています。

  1. Bigger is indeed better
    (大きいことは確かに良いことだ)
  2. It is an example we should all follow
    (それは私たち全員が見習うべき例である)
  3. Long may that decrease
    (その減少が長く続きますように)
  4. They are nations hungry for power
    (彼らは権力を渇望している国々だ)
中国の三峡ダム

大問2:英文全文和訳

英文の大意としては、以下の通りです。

未来をせき止める:過剰ダムの落とし穴

アマゾン川、メコン川、ナイル川など、世界有数の雄大な河川に沿って、大規模な巨大ダムプロジェクトが進行中である。これらの大規模ダムは、グリーンエネルギーの生産、干ばつの緩和、貧困の撲滅の可能性で称賛されると同時に、人間の工学技術の素晴らしさを示す記念碑としてもてはやされている。しかし、ダムは世界中の多くの人々に電気と水を供給する一方で、カリフォルニアよりも広い面積の土地を水没させ、イギリスの総人口よりも多くの人々を立ち退かせてもいる。今こそ、ダムを正当な視点、つまり人間の傲慢さの限界を示す証拠として捉えるべき時である。

フーバーダムのようなアメリカのダムを例にとってみよう。1936年に建設されたこのダムは、ラスベガスやその他の南西部の都市が存在することを可能にした豊富な水力発電と水資源を生み出している。当時、この政府主導のインフラ整備事業は、国が大恐慌から脱却するのを助けるために切望されていた多くの雇用を生み出した。しかし、今となっては、周囲の野生生物の生息地やかつては豊かだった漁場に与えた損害、そして100人の建設作業員の命が失われたことを後悔するしかない。今日、何百万人もの人々がダムからの電力と水に依存している。彼らは、貯水池の水量を減少させる可能性のある気候変動に対して脆弱になっている。

ダムは潜在的に危険である。1975年に決壊した中国の板橋ダムを忘れてはならない。この決壊により、板橋ダムは史上3番目に死者数の多い洪水を引き起こし、約229,000人の犠牲者を出した。しかし、決壊の可能性以外にも、ダムには長期的な維持費と修理費が必要であるという問題がある。人間と同じように、ダムも老朽化し、手入れの費用は年々増加する。ほとんどの新しい巨大ダムプロジェクトは発展途上国を対象としているため、先進国がダム建設に資金を提供するのは無責任であり、ホスト国が適切に維持できるという保証はない。さらに悪いことに、Harsh K. Guptaのような科学者は、ダムによって作られた貯水池からの圧力が地震を引き起こしたことを示しており、記録された中で最も強いものはインドのコンヤで発生したマグニチュード6.3の地震である。これはダムと周辺地域社会をさらに危険にさらしている。

汚職と賄賂は、アフリカのレソト高原水利プロジェクトで実証されているように、ダム建設に関連するさらに多くの問題である。話は単純である。プロジェクトマネージャーや独裁的な独裁者は、多国籍の大企業の有力者と仲良くなろうとし、有利な建設契約を得ようとする。資金はしばしば世界銀行からの融資という形で提供されるため、世界銀行は建設企業や地方政府をほとんど疑わないため、プロジェクトマネージャーは「予期せぬ」遅延をでっち上げ、建設プロセスを長期化させ、より多くの資金を必要とするインセンティブがある。建設費の増加は、汚職政治家に支払い、ビジネスエリートを豊かにすることにのみ役立つ。世界銀行の元総裁であるジェームズ・D・ウォルフェンソンは、これを「汚職の癌」と呼び、最終的にこれらの融資を返済しなければならない貧しい国の市民を傷つけると述べた。

さらに、中国の湖北省の揚子江沿いに建設された三峡ダム発電所は、約130万人の住民を移住させざるを得なくなり、これは単一のダムとしては記録的な数である。また、これは移住者の遺産と文化の喪失の一例でもある。揚子江周辺地域は中国文明の発祥の地と考えられており、考古学調査では200万年前には居住地があったことが明らかになっている。考古学者はなんとか1,087の遺跡を調査したが、数え切れないほどの遺跡が水位の上昇とともに流失した。13以上の都市、140の町、1,350の村が水没し、これらのコミュニティは多様な文化を失った。コミュニティの文化は、そのユニークな歴史と環境との相互作用に結びついているため、これはダムの移転では避けられないことである。

さて、ここで誰もが触れたがらない問題、つまり負の環境影響について触れよう。ダムがほぼすべての場所で野生生物の生息地を傷つけるという圧倒的な証拠があるにもかかわらず、このことはめったに言及されない。さらに、ダムは貯水池に水を貯めることで水を保全するように見えるが、ダムが実際には水の損失を促進する方法については、人々は議論することを避ける。これは、河川が湖に変えられるときに表面積が増加するために起こる蒸発によるものである。世界的な水の損失は、年間約1,700億立方キロメートル、または人間が消費するすべての淡水の7%に相当する。

さらに憂慮すべきことに、過去110年間のいくつかの環境影響調査によると、貯水池は人間が引き起こす気候変動の年間約4%を占めている。研究者にとっても、ダムのこの特徴はすぐに明らかではない。なぜなら、それは樹木や他の植物の分解を調査する、十分に研究されていない分野に起因しているからである。ダムは、貴重な炭素捕捉林や湿地の数と規模を減少させる。ダムは、特に熱帯地域にあるものは、その寿命を通じて、石炭ベースの発電所よりも多くの汚染物質を排出すると推定されている。

最終的に、ダムは自然、資源、そして人々に対する力と支配に関わるものである。ダムの支持者はしばしば、より小さなダムの効率性を訴えることで批判を反論しようとする。このアプローチの問題は、巨大ダムが増殖し続けていることである。ダムが大きくなればなるほど、国際紛争、水戦争を誘発する可能性が高まり、あるいは意図的な破壊の標的となる可能性さえある。ついに、過去10年間で、一部の政府は、不必要なダムを建設するよりも速いペースで水路から撤去し始めている。これは、私たち全員が見習うべき例である。

大問3:地熱発電の良いところ

  • 題名:再生可能エネルギーの刷新:地熱エネルギー再考
    Renewing Renewables: Geothermal Energy Reconsidered
  • 著者:D. N. アージ / D. N. Urgee (2024)
  • 語数:1,130語程度

大問3は地熱発電がテーマ。

語数は1,000語を超え、いわゆる超長文の部類に入ります。

内容的には地熱発電を推奨する内容です。

【問題文冒頭】

Despite this year's CO2-driven record temperatures, too little is being done to ensure humanity's survival into the next century. The global economy remains heavily dependent on fossil fuels. Coal power generation reached a record high in 2021, benefiting from the rebound of post-COVID economic recovery, and coal demand is set to achieve an all-time high from 2022 to 2025.

大問3:解答

問題解答
241
254
262
273
282
問題解答
293
302
311
324
332

大問3:解説

24. 解答: 1. Global climate patterns reflect this

段落[24]の前の文では、2020年の大気中のCO2濃度が過去10年間よりも急速に増加し、2021年にはさらに増加したと述べられています。この文脈を踏まえると、[24]に続く文は、CO2濃度の増加が地球規模の気候パターンにどのような影響を与えているかを説明する必要があります。

  1. Global climate patterns reflect this
    (地球規模の気候パターンはこれを反映している
  2. Local weather shows a clear contrast to this
    (局地的な気象はこれと明確な対比を示す):
  3. The results are not obvious
    (結果は明白ではない)
  4. We need scientific research to understand this
    (これを理解するためには科学的研究が必要である)

25. 解答: 4. should suitably be contrasted with

前の文では原子力発電のコストについて言及しています。この文では、風力発電の利点について述べており、原子力発電と対比させる文脈が適切です。「contrast with」は「~と対比される」という意味で、文脈に合致します。

  1. is a marginal improvement over (わずかな改善)
  2. is on the same level to (同じレベル)
  3. resonates with the recent trends of (最近の傾向と一致する)
  4. should suitably be contrasted with (適切に対比されるべき)

26. 解答: 2. competes

バイオガスは効率的で環境に優しいように見えるが、土地を農業と競合しているという文脈です。「compete with」は「~と競合する」という意味で、文脈に合致します。

  1. compensates (補う)
  2. competes (競合する)
  3. generates (生み出す)
  4. rivals (対立する)

27. 解答: 3. since they are limited by climatic conditions

風力や太陽光は間欠的な電源であり、天候に左右されるという文脈です。「since」は「~なので」という意味で、天候条件によって制限される理由を説明する話に合致します。

  1. because they are difficult to install (設置が難しいから)
  2. given their widespread use (広く使われているから)
  3. since they are limited by climatic conditions (気候条件によって制限されるから)
  4. without relying on batteries (バッテリーに頼る必要がないから)

28. 解答: 2. 1%

カリフォルニア州のエネルギー需要の20%を賄える可能性があるボトルロック発電所が、現在は55MWの発電量で、これはニーズの約1%に相当するという話です。

  1. 0.5% (0.5%)
  2. 1% (1%)
  3. 10% (10%)
  4. 55% (55%)

29. 解答: 3. exploited

「Ring of Fire(環太平洋火山帯)」に位置する国々は、大規模な地熱ポテンシャルを活かしているという文脈です。「exploit」は「~を開発・利用する」という意味で、文脈に合致します。

  1. excelled (優れていた)
  2. exhausted (枯渇した)
  3. exploited (開発した)
  4. extended (拡張した)

30. 解答: 2. However, thinking long term, might such initial costs be, in reality, a small price to pay?

  1. Given the long-term nature of the climate crisis, why would anyone take such a risk?
    (気候危機の長期的な性質を考えると、なぜそのようなリスクを冒すのだろうか?)
  2. However, thinking long term, might such initial costs be, in reality, a small price to pay?
    (しかし、長期的に考えると、そのような初期費用は、実際には小さな代償かもしれない?)
  3. Thus, wouldn't relying upon gas power be a more cost-effective long-term choice?
    (したがって、ガス発電に頼る方が、より費用対効果の高い長期的な選択肢ではないだろうか?)
  4. Ultimately, could such criticism eliminate most initial costs?
    (最終的には、そのような批判はほとんどの初期費用を解消できるのだろうか?)

31. 解答: it is usually possible to discover the causes of such quakes

  1. it is usually possible to discover the causes of such quakes
    (そのような地震の原因を突き止めることは通常可能である。)
  2. no major earthquake has occurred due to geothermal exploitation
    (地熱開発によって大きな地震が発生したことはない。)
  3. only a handful of sites have experienced such problems
    (そのような問題が発生したのはほんの一握りの場所だけである。)
  4. the risk of a disaster is always present
    (災害のリスクは常に存在する。)

32. 解答: 4.volcanic activity

  1. government subsidies (政府の補助金)
  2. high installation costs (高い設置費用)
  3. local demand for technology (地域技術の需要)
  4. volcanic activity (火山活動)

33. 解答: 2. however it is managed

どのような再生可能エネルギーを採用しても、社会的または文化的なコストは避けられないという話です。

  1. as far as it is concerned (懸念される限り)
  2. however it is managed (どのように管理されても)
  3. whatever is measured (何が測定されても)
  4. whenever it is located (どこに位置していても)

大問3:英文全文和訳

英文の大意としては、以下の通りです。

再生可能エネルギーの刷新:地熱エネルギー再考

① 今年のCO2に起因する記録的な高温にもかかわらず、来世紀にかけての人類の存続を確実にするために行われていることはあまりにも少ない。世界経済は依然として化石燃料に大きく依存している。石炭火力発電は、COVID後の経済回復の反動から恩恵を受け、2021年に過去最高を記録し、石炭需要は2022年から2025年にかけて過去最高を達成すると予測されている。したがって、当然のことながら、科学者たちは、大気中のCO2の世界濃度が過去10年間よりも2020年に急速に上昇し、2021年を通してさらに増加したことを発見した。地球規模の気候パターンがこれを反映している。 2017年から2021年までの5年間で、記録的な平均表面温度が北アフリカ、中東、東アジア、およびアメリカ東部の大部分で観測された。今日、これらの記録は再び塗り替えられた。それでは、人類の将来の課題の多くはすでに決定されている。

② これに対応するため、私たちは長期的な思考で気候危機に取り組まなければならない。これは特にエネルギー部門に当てはまる。発電所には耐用年数と環境負荷があり、エネルギー生成中のCO2排出量だけでなく、関連するすべての生産コストと将来のコストについて考える必要がある。例えば、原子力は温室効果ガス排出量がゼロであるため魅力的だが、ウランの採掘、輸送、処理にはエネルギーを必要とする。当然、廃棄物の貯蔵とプラント閉鎖のコストも考慮しなければならない。一例を挙げると、これは風力発電と適切に対比されるべきであり、風力発電ではタービンの95%はすでに完全にリサイクル可能であり、新しい取り組みにより、残りの5%(炭素繊維ブレード)もまもなく再利用できるようになるかもしれない。

③ さらに、産業規模で地熱発電を行うように設計された設備でさえ、比較的狭い土地面積しか使用しない。例えば、カリフォルニア州のガイザーズ複合施設の一部であるボトルロック発電所は、900メガワット(MW)の容量を持ち、州のエネルギー需要の20%を賄う可能性がある。現在、この需要の約1%に相当する55MWを生産している。重要なことに、140ヘクタールのリースエリア内でわずか2.4ヘクタール(ha)しか占有しておらず、世界最大の地熱複合施設である。比較のために、オーストラリアに新しく建設されたウェスタンダウンズ太陽光発電所は、400MWの予測生産量に対して1,500ヘクタールを占めている。

④ 当然のことながら、地熱発電開発に適した地域とそうでない地域がある。例えば、活火山の存在は通常、大規模な地熱ポテンシャルの良い兆候であるため、「環太平洋火山帯」に位置する国々は有利である。実際、インドネシア、フィリピン、コスタリカは、自国の状況を開発した良い例である。地熱利用の他の優れた例は、高温が地表近くでも見られるアイスランドとニュージーランドである。

⑤ 大規模な地熱発電所の批評家は通常、2つの主な欠点を指摘する。1つ目は、耐用年数全体を通して費用対効果が高いにもかかわらず、初期費用が高いことである。これは、気候危機が今後何世代にもわたって続くという事実を見落としている懸念である。このような地熱発電所の費用は、キロワット時(kWh)あたり4,000ドルから6,000ドルになる可能性がある。それにもかかわらず、ユーティリティ規模の太陽エネルギーはkWhあたり1,250ドル以下である。風力エネルギーも同様に設置が安く、kWhあたり1,550ドルである。したがって、地熱発電は、他の一般的な再生可能オプションよりも初期段階で大幅に高価である。ガスを利用する古いタイプの発電所と比較すると、地熱エネルギーは初期段階で4〜6倍高価である。しかし、長期的に考えると、そのような初期費用は実際には小さな代償かもしれない?

⑥ より大規模で野心的な地熱発電所のさらなる問題は、地震の形で地震活動が増加する可能性である。数千もの小規模な地震が、多くの発電所の近隣で記録されている。それにもかかわらず、そのような地震の原因を突き止めることは通常可能である。実際、そのような問題はしばしば、蒸気を生成するための流体の過剰消費に関連している。流体を補充できれば、問題は通常解決できる。カリフォルニア州では、これが革新的で環境に有益な協力を促した。例えば、サンタローザの地方自治体は現在、すべての廃水をパイプで65km離れたガイザーズ地熱発電所複合施設に送り、そこで地下に再注入して蒸気と安定性を維持している。廃水がロシア川に流出することはなく、Win-Winの取り決めとなっている。

⑦ しかし、地熱の重要な利点となる可能性のあるのは、火山活動を必要とせずにプラントが稼働できる地域規模での有用性である。ヒートポンプは、個々の住宅の暖房と冷房から、オフィスや工場まで、さまざまな地域のエネルギーニーズに対応する魅力的なソリューションである。それらは、採掘、掘削、または溶岩の熱に頼ることなく、地球の熱を利用する。例えば、フィンランドでは、国の補助金の助けを借りて、ヒートポンプの使用率が急上昇している。今日、ヒートポンプの総エネルギー出力は約10テラワット時(TWh)であり、フィンランドの住宅および商業ビルの暖房ニーズの約15%を満たしている。設置費用が高いにもかかわらず、約270万世帯の国で、すでに100万台以上のヒートポンプが設置されている。

⑧ 最終的には、今後数十年にわたって採用する再生可能エネルギーの組み合わせは、必然的に社会的または文化的なコストをもたらすだろう。多くの人にとって、風車は自然の風景への醜い侵入であり、ダムは人間と野生生物の両方を立ち退かせ、地熱は、どのように管理されても、温泉や近くのリゾート地の水圧を変えるリスクがある。それにもかかわらず、化石燃料からの転換はもはや単なる政治的選択ではない。それは生存の問題である。

大問4:バイオガス 忘れられた再生エネルギー

  • 題名:バイオガス 忘れられた再生エネルギー?
  • 著者:太田峻司(2024)

2024年に引き続き、日本語の文章を読み、英語の質問に答える問題です。

バイオガスは、有機廃棄物を有効活用できる再生可能エネルギー源として可能性がある旨を話しています。

【問題文】

① 持続可能なエネルギー生産は、しばしば議論の対象になっています。すでに風力発電・太陽光発電・地熱発電などが導入されていますが、それらを活用するためには多額の費用をかけて新たな用地を確保し、電力網を全国的に拡張しなくてはなりません。さらに、風力や太陽光はエネルギーを安定的に供給できないので、それを貯蔵するためのインフラ整備にも高額の投資が必要です。〜〜〜

大問4:解答

問題解答
a4
b2
c3
d3

大問4:設問和訳

a. 以下のどのテーマが、Urgee氏(大問3)と太田氏(大問4)の両方によって言及されていますか?

  1. 古い国のインフラを新しいエネルギー生産に適応させること
  2. 風力発電や太陽光発電の設置における見えないコスト
  3. ウラン採掘の長期的なコスト
  4. 再生可能エネルギーにおける廃水利用

b. 太田氏はUrgee氏の記事を明確には参照していませんが、以下のうち太田氏がUrgee氏の作品に対して最も批判する可能性が高いのはどれですか?

  1. 化石燃料は廃棄物管理コストがほとんどかからないため、特に有利である。
  2. エネルギー生産における将来のコストは計算が難しい。現在のコストに焦点を当てる方が安全である。
  3. 地熱発電は再利用可能性が低いため、他の持続可能なエネルギーよりも劣る。
  4. エネルギー効率に関連する数値を見つける方が、将来の投資が実際の国家経済にどれほどの利益をもたらすかを示すよりも簡単である。

c. 以下のどのテーマが、Urgee氏と太田氏のどちらも言及していませんか?

  1. 老朽化したプラントの閉鎖コスト
  2. 潜在的に収益性の高い廃棄物からエネルギーを生み出す可能性を特定する必要性
  3. より多くの再生可能エネルギー源を導入するための政治的圧力
  4. 燃料源としての石炭使用における最近の国際的な高まり

d. 以下のうち、Urgee氏と太田氏のどちらも同意しない点はどれですか?

  1. エネルギー供給の変更は、持続可能な開発を促進する上で非常に重要である。
  2. 人類は持続不可能なエネルギーシステムを作り出しており、変化を起こす必要がある。
  3. 地方自治体は、エネルギー需要をどのように満たすかを決定する主要な役割を果たすべきである。
  4. エネルギーミックスにどのような変更を加えるにしても、健全な経済的論理に基づいている必要がある。

大問5:自由英作文

設問と解答例のみ掲載いたします。

高尚な文章を書く必要はなく、使える表現を駆使して、無理のない文章を作成してください。

【問題文】

以下の設問(A), (B) の中から一つ選んで、問題文I~IVを基にして、自分の意見を解答用紙BのV. 欄に英語で論じなさい。注意点をよく読んでから書くこと。

(A) Should the Japanese government support dam building? Why or why not?

(B) Should the Japanese government support energy projects alternative to fossil fuels? Why or why not?

注意点:

(1) 解答欄の左上に注意すること。選択した設問 (A・Bのどちらか)を丸で囲みなさい。

(2) 自分の意見と異なる見解に言及し、それに反論すること。

(3) 問題文I, II, IIIまたはIVで言及されている見解やことがらを最低一つ取り上げること。その際には、問題文から丸写しするのではなく、自分の言葉で言い換えて、参照した箇所には著者名と出版年を記すこと。

(A)の解答例

The Japanese government should stop building more dams. Dams helped Japan grow a lot in the past, especially when the economy was booming. But now, the bad things about dams are much bigger than any good they might do.

First, dams are really bad for the environment. They cause forests to be cut down, animals' homes are destroyed, rivers get messed up, and there are more landslides. Water quality also gets worse. Japan is a small country with lots of mountains, so these environmental problems are a big deal. Like Walls (2023) says, dams around the world have flooded more land than the whole state of California and forced more people to move than live in the entire United Kingdom. That shows how much damage they can do.

Second, dams cost too much. Building and taking care of them is super expensive, and they don't last forever. Also, because of climate change, there are more droughts. This means we can't even be sure if dams will have enough water in the future. Walls (2023) also talks about how big dam projects can lead to corruption and money problems. He gives an example of the Lesotho Highlands Water Project in Africa.

So, the Japanese government shouldn't build any more dams. The environmental, money, and social problems are just too big. There are better ways to manage water. It's time for Japan to use more sustainable methods.

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