慶應義塾大学2025年一般入試改革について現時点でわかっていること
*2024年2月16日:法学部入試の配点変更を追記しました。今後も定期的に更新していきます。
2022年10月31日、慶應大学から入試改革に関するお知らせがありました。
今回はその変更について現時点でわかっていることを噛み砕きつつ報告します。
よくよく詳細をみてみると、変化の大きい学部と少ない学部があります。
変化の有無だけまとめると、次の通りです。
改革あり | 文学部、法学部、総合政策学部、環境情報学部、薬学部 |
ほぼ変化なし | 経済学部、商学部、理工学部、医学部 |
ほぼ変化なしは、数学や歴史の指導要領が変わり、若干範囲が変わる程度、実質的な改革は行われません。
まずは、大きな改革ありの5学部(文学部、法学部、総合政策学部、環境情報学部、薬学部)について説明していきます。
SFC総合政策・環境情報:"情報"だけの受験不可へ
前提として、数学と情報を使わない受験生にとってはほぼ変化ありません。
そのため。数学と情報を使う受験生向けに説明します。
情報だけの受験が不可
今までは、「情報+小論文」の2教科が受験ができましたが、情報は数学もセットで選択する必要があるようになりました。
情報が学校教育で取り入られるようになり、選択数が増えることへの対策かもしれません。
今まで | 改革後 |
---|---|
外国語(英語) + 小論文 | 変化なし |
外国語(英語) + 数学 + 小論文 | 変化なし |
数学 + 小論文 | 環境情報は数3Cへ |
情報 + 小論文 | 情報 + 数学 + 小論文 |
SFCの入試は4タイプですが、受験科目の数事態が変わるのはこの方式のみです。
《慶應発表文》
第1時限は「数学」あるいは「情報および数学」あるいは「外国語」あるいは「外国語および数学」の4つの中から1つを出願時に選択することとします。なお,各教科の出題範囲等は次のとおりとします。
2025 年度以降の慶應義塾大学「一般選抜」の変更点について
環境情報は数学のみ受験で数3C導入へ
数学のみ受験の場合は、総合政策学部と環境情報学部で違いが生まれます。
総合政策学部は変化なしですが、環境情報学部は新課程の数学3Cまで出題範囲に変化します。
双子の学部として、長らく同じ形式だった歴史を考えると思い切った改革です。
英語受験生にとっては何の変化もないので印象論ですが、総合政策の文系化、環境情報の理系化を感じる変化です。
文学部:英語外部試験「英検」が追加
文学部は、他学部に先んじて英語の外部試験を導入します。
他大学が外部試験を積極的に導入する中、静観していた慶應としては興味深い動きです。
英語の外部試験追加と書きましたが、大前提これまでの入試形式は継続される予定です。そのため「英検を受験しないと文学部受験できない!」とはなりません。
注意すべきは、求められる英検スコアが高い点です。
外部試験入試を選択するためには、英検スコア(CSEスコア)2500以上が必須です。どの程度かといえば、以下の図でスコアをご参照ください。
つまり、スコア2500を言い換えると、
- 英検2級:4技能でほぼ満点
- 英検準1級:筆記でほぼ満点、4技能で余裕を持って合格
- 英検1級:割とギリギリの合格
*注意:上記3つが同レベルというわけではありません。試験難易度が異なるため、スコア換算を考慮しても英検1級>準1級≧2級で取得難易度が高いです。
ぐらいのレベルです。
IELTSやTEAPのスコアと比較しても、それなりのレベルであることがわかります。
スコアは同じでもこの3つは全然違います。
現実的な戦略を考えるなら、2級ほぼ満点や準1級余裕合格を目指しましょう。
慶應の英語外部試験を使うべきか
慶應の英語外部試験利用の恐ろしい点が、スコア2500が最低ラインだということです。
準1級満点取れる学生や、1級を余裕で取得のできる帰国生が出願してきた場合、普通の学生は勝てる要素がありません。そして、慶應の入試なら全然起こりそうな事態です。
その意味で、外部試験利用入試は、英語レベルが超高校級の受験生向け入試になると予想されます。
一般的な受験生においては、英検入試を考えず、従来通りの入試形式で挑むの懸命です。
もちろん、英語学習のため、英検準1級をベンチマークとして学習することは引き続き推奨されます。
《慶應発表文》
外国語の選択科目に「英語(外部試験利用)」を新設し,「中国語」を廃止します。
「英語(外部試験利用)」は実用英語技能検定(英検)CSE総合スコアが2500以上(受験級および合否結果は問わない)であり,2025年度入試の場合は2023年1月1日から2024年12月31日までに受験し,本学一般選抜の出願期間中にスコアを提出できるもの(英検2022年度第3回実施分以降)を有効とします。
外部試験の得点は外国語の得点に換算します。「英語(外部試験利用)」を選択した場合,一般選抜の試験当日は第2時限以降のみ受験します。
2025 年度以降の慶應義塾大学「一般選抜」の変更点について
法学部:歴史の配点が1.5倍へ
法学部の大きな改革は歴史をより重視するようになったこと。
配点も試験時間も1.5倍になったことに加え、従来のマークシートのみ試験から、記述問題も追加されるようになりました。
一言で言えば、経済学部の地歴入試に近づいた感があります。
改革以前は、英語の配点が全体の配点50%を超え、英語で稼いで他教科は平均点+αの戦略もありました。
相対的に英語の配点が減ることで、今後はその手法は少し難しくなるかもしれません。
伝統の完全マークシートから記述式を加えるなど、並々ならぬ地歴改革を感じます。
科目 | 改革内容 |
---|---|
外国語 | 変化なし |
歴史 | 形式:マークシートに加え、記述形式が追加 試験時間:60分→90分へ 配点:100点→150点 |
論述力 | 名前が「小論文」へ変更 試験時間が90分→60分へ |
「論述力」が「小論文」に変わり、出題傾向の変化も予想されます。
実際に2024年2月の試験では、これまでとは異なる傾向が見て取れました。
今後も注意が必要です。
《慶應発表文》
地理歴史の試験時間と配点を変更し,マークシートによる解答と記述式による解答を求めることとします。
また,これまでの「論述力」を「小論文」へと変更し,試験時間を変更します。
2025 年度以降の慶應義塾大学「一般選抜」の変更点について
慶應法学部の日本史&世界史の論述対策
法学部の日本史と世界史記述問題は、既にサンプル問題が公開されています。
サンプル問題を見る限りでは250~300字の記述問題が追加されます。おそらく記述問題でプラスの50点分の設問になると考えています。
(あまり大きな声では言えませんが、東京大学や一橋大学の日本史・世界史対策をしていると有利な形式です)
記述問題自体は文学部や経済学部でも出題されますので(字数は法学部>文学部>経済学部の順になりそう)、特別な対策は必要なく、他学部と同様、歴史の背景や因果関係を抑えながら学習していけば解答できる問題になっています。
日本史選択であれば「考える日本史論述」「日本史の論点」を、
世界史選択であれば「判る!解ける!書ける!世界史論述」「世界史論述練習帳」あたりを使って、記述対策を行なっておきましょう。
記述は通史学習が終わった後でいいので、まずは通常の歴史学習を終えた後に取り組んでください。
▶︎慶應受験の影響は?社会新科目"歴史総合"と"公共"対策のため勉強法と参考書ルート
学校配布で記述問題集を持っている場合、特に上記を買い直さなくて大丈夫です。
薬学部:数学3C追加へ
薬学部は理系には珍しく、数学1A2Bだけ受験できました。
それが、数学3Cまで必要になります。
ここからは、そこまで大きく変化のなかった4学部(経済学部、商学部、理工学部、医学部)について触れていきます。
経済学部:日本史の出題範囲が微変
本質的な変化はありません。
歴史総合(=近現代の日本史と世界史のミックス)が高校必修になった変更を踏まえ、日本史世界史いずれの出題範囲にも入りました。
地歴総合が加わった結果、日本史の出題範囲が変わりました。以前は1600年以降(つまり江戸時代以降)だった出題範囲が、世界史と同じ1500年以降になりました。
ただ、日本の戦国時代(1500~1600年)が慶應経済の歴史範囲に入るかと言えば微妙な気がするので、本質的には変化なしだと予想できます。
また、指定校推薦枠を30名増やすとのことで、一般受験の募集人数が30名減ります。
商学部:歴史総合は不要
一つ前の経済学部と比較してほしいですが、商学部の日本史と世界史には歴史総合は含まれていません。
どちらか一方に集中できるので、受験生的には助かります。
ただし、募集人数の配分から、文系受験者(=B方式・非数学受験者)には変わらず厳しい学部でしょう。
2024年度の入試でも、A方式は480名、B方式は120名が定員と、4倍差があります。
医学部:入試日程が2月9日へ
内容に大きな変化はありませんが、入試日程に変更があります。
2024年までは2月19日だった入試日が、2025年以降は2月9日へ変更になります。
一般的な受験生には影響ありませんが、医学部受験生にとっては併願校戦略が影響しそうな変化です。
理工学部:相変わらず生物不可
特に変化なしです。
注意点は、慶應理工は生物受験ができないこと。
理工志望者は物理と化学、頑張りましょう👍
まとめ
今回は慶應の2025年入試改革についてまとめました。
これを読んでいるあなたは、きっと未来の慶應受験生だと思います。
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