慶應商学部2026年英語:解答速報と全文和訳 / 系統学とファミリーツリー
2026年2月14日に行われた、慶應義塾大学商学部・一般選抜の英語入試問題を解説します。
慶應商学部2026英語大問1:系譜学とファミリーツリー
- 題名:系譜学と写本研究の歴史 ― 文化横断的かつ時代超越的なアプローチのための新たな視点 / History of Genealogy and Manuscripts Studies: New Perspectives for a Crosscultural and Trans-epochal Approach
- 著者:マルクス・フリードリヒ / Markus Friedrich
- 単語数:750語程度
- https://www.degruyterbrill.com/document/doi/10.1515/9783111382876-001/pdf?licenseType=open-access
非常に読みにくい英文だったと思います。
こうした概念系の内容はそもそも抽象的で読みにくいですが、さらに著者がハンブルク大学教授が書いたゴリゴリの学術論文だったことも読みにくさを加速させています。
著者はマルクス・フリードリヒ氏。ドイツが産んだ経済の2大巨頭、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスを足して2で割った名前なのも、個人的ポイント高かったです。
50字要約
系譜学は、特権的知から広く開かれた社会的実践へと変化し、世代を超えて更新され続ける知識生産活動である。
系譜学とは何か?
一言で言うと「家族や血縁の歴史を、資料に基づいて調べ、記録し、受け継いでいく社会的活動」です。
もっとわかりやすく言うと、たとえば、夏休みの自由研究で「自分の家系図」を作るとします。
- 祖父母に話を聞く
- 古い戸籍や寺院の記録を調べる
- 先祖の職業や移住の歴史を整理する
このように、証拠を探し、つながりを形にし、記録として残す作業が系譜学です。
単なる「家族調べ」との違いは、系譜学の学問的・社会的性格です。
記憶だけでは不十分で、写本など物的証拠が必要。誰が、何の目的で、どのように記録したかには、その時代の政治・社会構造が反映される。一つの成果が次世代の出発点になる。
こうした部分が学問としての質を担保している様です。個人レベルの家系図作りも流行っているみたいで、参考動画を置いておきます。
大問1:解答解説
| 問題 | 解答 | 解説 |
| (1) | 3 | shared。直後で系譜学が曖昧な包括的用語(vague umbrella term)であり、多様な慣習を繋いでいると述べられているため、「共通の」特徴を見つけるのは困難であるという文。 |
| (2) | 2 | Nonetheless。直前で写本の存在は「歴史的必然ではない」としつつ、直後で「多くの文化に存在してきた」と述べているため、逆接・譲歩の論理関係になる。 |
| (3) | 2 | Quite the contrary。「人々が家族のことを知っていると仮定するのは間違いだ」という前文の内容を、「実際には知識は限られている」と強い反論を強調する流れ。 |
| (4) | 2 | once。系譜学の成果が固定されたものではなく、「かつては最終成果だったものが、次のプロジェクトの出発点になる」という動的な更新プロセスを説明。時間を表す副詞 once 。 |
| (5) | 4 | 第1段落。かつては「エリートの特権」だったが、現在は「あらゆる階層の人々の趣味」になった。つまり誰でも行えるものになった。 |
| (6) | 2 | 第3段落。系譜学的な写本は、多くの文化において「極めて顕著な特徴(highly prominent feature)」であり、広く存在した(wide presence)という記述と一致。 |
| (7) | 2 | 一致しないものを選ぶ。本文では連続的な活動やグローバルな視点とあるが、選択肢2は「断絶された(disconnected)」「局所的な(local)」としており、内容が矛盾する。 |
| (8) | 1 | 第5段落。系譜学は「生きているテキスト」であり、分析結果が記録され、新しい世代へと受け継がれながら更新されていくという記述がある。 |
| (9) | 3 | 第4段落。専門機関による蓄積だけでなく、「個人の主体性(individual initiatives)」に依存する場合があるという記述から、個人の役割が重要であることが示されている。 |
| (10) | 1 | 文章全体のテーマ。系譜学を単一の定義ではなく、時代を超え(trans-epochal)、文化を横断する(cross-cultural)多様な探索として捉える内容に最も合致する。 |
大問1:全文和訳
① 系譜学(Genealogy)とは、本質的には「親族」とみなされる歴史上の人物や現存する個人に関する広範な知識を作り出す社会的実践であり、21世紀の今日、かつてないほど一般的で広まっています。デジタル技術の誕生とDNA検査は、系譜学に新たな視点を与えました。長い間、エリート層の特権と見なされてきましたが、今ではあらゆる階層の人々に愛される娯楽となっています。学者の中には、系譜学はより民主的になったと言う者さえいます。彼らは、新しい技術が血統、家系、親族、そして家族に関する現代的な理解にどのように関連しているかを調査しています。こうした最近の議論は重要かもしれませんが、系譜学的実践の深い歴史や歴史的多様性を評価するには至らないことが多いのです。確かに、すべての文明が独自の系譜学的実践を発展させたわけではありませんが、それにもかかわらず、多くの文明がそうしました。系譜学という分野には、千年に及ぶ豊かな歴史があるのです。
② 系譜学の歴史の莫大な豊かさを、特に時代を超えたグローバルな視点から見た場合、[共通の]特徴を特定することは困難です。実際、系譜学が最終的に獲得したさまざまな用途や形態を考慮すると、この用語自体は、異なる、そしてしばしば区別される実践や文化的背景を結びつける、いくぶん曖昧な包括的用語のようにさえ見えます。しかし、異なる時代や地域の多くの系譜学的文化を有意義な対話へと導く一つの方法は、それらが作り出してきた物質的産物を注意深く調査することにあります。
③ 時空を超えた系譜学的活動の、最も研究されている物質的な現れの一つは、写本です。写本、つまり手書きの資料は、関連情報を保存・提示するために他のメディアが併用されている場合であっても、多くの、おそらくはほとんどの系譜学的文化において、極めて顕著な特徴です。系譜学的な写本は、物質的生産が社会の中に組み込まれているという性質を浮き彫りにします。系譜学的写本がどのような外見をしているか、どのような写本が保存されているか、どのような種類の写本が誰によって公開されているか。これらすべては、複雑な形ではありますが、絶えず変化する家族や親族構造の性質と強く結びついており、それがまた、より広範な社会的、文化的、政治的な現実を反映しているのです。系譜学的写本の存在自体、歴史的な必然ではありません。[それにもかかわらず]、系譜学と系譜学的な手書き資料は、世界中の多くの異なる文化に存在してきました。
④ 系譜学の定義の話に戻ると、系譜学とは不明確な用語です。多くの意味を区別することができます。一つの例として、系譜学が知的なプロジェクトや専門知識の領域、あるいは独自の学問分野を指す場合があります。また、系譜学は誰もが行い、追求できるものでもあります。それは、日常的な知識を超えた、特定の家族の過去および現在の構成員を組織的かつ自覚的に祝うものと定義される、社会的実践あるいは共同の取り組みです。しかし、人々が自分の家族のことを単に知っていると仮定するのは間違いでしょう。[それどころか]、日常的で習慣的な家族の知識は、しばしば限定的なものです。系譜学について学ぶという行為自体が複雑で困難であり、しばしば広範な情報検索を必要とします。そしてそれがまた、研究に関連した興味深い一連の写本を生み出してきました。多くの資料が、系譜学的知識の生産が非常に複雑で、しばしば多大な不満を伴い、決して終わりのない性質のものであることを証明しています。系譜学的活動は、専門家(系譜学者)や専用の社会機関によって高度に専門的な方法で行われることもあれば、先祖に関する知識へのこうした集中的な配慮が個人の主体性に依存する場合もあります。プロセスあるいは活動として、系譜学は、時には多世代の参加者を巻き込む社会的実践として分析されなければなりません。
⑤ 系譜学を一連の継続的な活動として理解することは、前述の系譜学的写本や碑文など、今なお存在する物質的な痕跡にどのようにアプローチすべきかについて、重要な示唆を与えてくれます。実践としての系譜学は時空を超えて広がるため、予備的な結果を書き留めるという中間段階にしばしば依存してきました。これらは保存され、プロセスの他の参加者、特に新世代の系譜学者へと伝えられる可能性があります。系譜学を、関連情報の調査、公開、更新、改善、修正、再公開という無数の循環を含む継続的なプロセスとして捉えることは、学者に対して、写本の生産と利用を継続的かつ動的な活動として理解することを求めています。どのような系譜学的写本も、単独で研究されるべきではありません。むしろ、社会的プロセスとしての系譜学は、絶えず改訂され更新される一連の写本実践に依存しているのです。
⑤ したがって、系譜学的写本はおそらく、その生涯を通じて機能を変化させます。それらは「生きている」テキストであり、常に再解釈、更新、改善、そして拡張を必要としているのです。[かつては]系譜学プロジェクトの最終成果であったものが、将来のプロジェクトの出発点となり、その結果、改訂や他の形態の利用の対象となることもあるのです。
大問2以降は塾生のみ公開中です。
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